表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【リメイク版】VRMMOのキメラさん〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!?  作者: 水定ゆう
5ー2 太陽の遺跡と挑戦状

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

169/234

◇169 //充電完了

完全に他人事、人任せ。

だがそれでいい。そう、人間らしい。

 あれから二時間弱が経った。

 私達はゲーム内時間の本当に二時間を過ごした。

 それも仕方が無くて、なんとこの太陽の古代遺跡、シャンベリ―と全く同じ仕様。

 現実の一日と全く同じ時間を進んでいた。


「頑張るわね、フェルノ」

「そうですね。大丈夫でしょうか?」


 ベルと雷斬は心配していた。

 フェルノはこの二時間を戦い抜いている。

 ずっと同じ姿勢、体が痛そう。私達はそんなフェルノを讃えた。


「なんかオブジェみたいね」

「そうだな。逆に面白い」

「逆にが分からないけどね」


 フェルノの姿が生きるオブジェになっていた。

 私達四人、目を逸らすことなく見続けている。

 ここまでやり続けたら逆に面白い気もした。


「なんだろう。大昔の人がやってそうな動きだよね」

「雨乞いとかか?」

「そうじゃないけど……あれ?」


 フェルノは体を左右に動かしていた。

 体の軸を腰に据えて、右に左に右往左往。

 太陽の光を水晶に集める動きが、大昔の人が神様に祈りを捧げるような、不思議なダンスに見えて仕方が無かった。


「筋が消えた?」

「どうして? なんで水晶に光が……うわぁ!」


 太陽から受け取った光が、筋の様になっていた。

 けれどそれが途絶えてしまった。

 完全に見えなくなってしまうと、私達は焦る。

 まさかの失敗? そんな時間泥棒あり? と悩むものの、心配の必要が無かった。


「な、なにっ!?」

「分からないわ。でも前が見えない……」

「皆さん、目は大丈夫ですか」

「絶対に見るな。この光は全身を焼くぞ」


 強烈な熱と光が襲い掛かった。

 世界が一瞬でホワイトアウトしてしまう。

 真っ白な光に包まれると、私達は視界を奪われてしまい、そこから五分間白亜の世界を生きた。


「ううっ……」


 ようやく解放されると、視界がチカチカした。

 目を擦って何とか視界を良好にしようとする。

 全員とりあえずは無事。今のは一体何だったのか、私達はフェルノの元に向かった。


「フェルノ、大丈夫!」

「今の光、お前は無事だったか」


 私とNightが声を掛けた。

 するとフェルノは「えっ?」とバカっぽい声を出す。

 「なんのことー?」とか言いそうで、状況がまるで分かっていない。


「どうしたのー、そんなに慌てて」

「慌ててって、今の光」

「光―? ああっ、眩しかったよねー。なんかさー、昭和の時代のさー、みんなが躍る所のクルクル回ってるボールみたいな感じだったよねー」


 慌てて駆け寄った私達を前に、フェルノはポケーッとしていた。

 全く話が通じず、寧ろ平行線を辿っている。

 私達が受けた光による脅威も、フェルノにとってはダンスホールと変わらない。

 あやふやな説明で記憶を呼び覚ますと、Nightは首を捻る。


「ミラーボールのことか?」

「ああ、それかもー」

「それかもって、アレとは比べ物にならない光量だっただろ。熱量も全身を焼き払う様だった」


 確かに水晶はミラーボールの様な輝きを放っていた。

 とは言え信じられないダメージを受けたのは事実。

 HPもMPも大幅に削られると、心底滅入ってしまった。


「うーん。分かんなーい。だって私、水晶の真下にいたし―、<ファイアドレイク>だよー? 熱にはめっぽう強いからねー」


 フェルノはどれだけ言っても分からなかった。

 けれど決まっていたことだ。結局あの光は、水晶から溢れ出た光が周囲に降り注いだだけ。つまり水晶の真下にずっと居たフェルノには効かなかった。

 おまけにフェルノは<ファイアドレイク>。炎や熱を味方に付ける、特殊な竜系の種族。

 私達と同じようなダメージは全く無く、むしろピンピンしていた。


「うーん、面白かったー。疲れたけどー」


 フェルノは首をグルグル回す。何か決まったのか、腕を振り下ろすと、何故か元気一杯だった。

 アレだけの苦行を無事に乗り越えてこの態度だ。

 本当に底なしの体力だと親友ながら思い知らされた。


「でさー、これでOK?」

「ああ、いいと思うぞ」

「あやふやね。もっと確証はないの?」

「ないな。それより、太陽の遺跡に戻るぞ」


 全体的にあやふやで曖昧だった。

 それも仕方が無く、誰も正しさが分かっていない。

 そのせいか、とりあえず試すしかなかった。

 まずは太陽の遺跡に戻ってみよう。


「おっしゃー。じゃあ行こう行こう」


 水晶を米俵みたいに抱え込んだ。

 だけど米俵よりは流石に軽い。

 それでも楽々肩に担ぐと、太陽の遺跡へ全速力で走る。


「あれ、結構重そうよね?」

「そうですね。五キロ程度でしょうか?」

「五キロ……そんなもの持って走れるなんて」

「女子高生じゃないな」


 雷斬曰く、あの水晶は五キロくらいの重さらしい。

 如何計算したのかは分からないけど、Nightも否定しない。

 つまり本当に五キロあるんだ。


 正直そんなもの走れるなんて思いたくない。

 だけどフェルノは現実で普段から鍛えている。

 その賜物? かもと思ったけど、女子高生っぽさは皆無だった。



 私達は太陽の古代遺跡に戻った。

 まあ、目と鼻の先の距離だ。

 一度歯車を嵌めたおかげで面倒な作業もなく、古代遺跡内部に入った。


「よーし。じゃあコレを嵌めるねー」

「いいかフェルノ、向きを考えろよ。後、外す方向とは逆に回せ」


 早速水晶を戻そうとするフェルノに、Nightは忠告した。

 まあ分からないでもないかも。フェルノなら最悪やりかねない。

 ベルもコクコク首を縦に振ると、あまりにも心外だった。


「あはは、分かってるよー」


 流石にフェルノもそこまでバカじゃない。

 笑って否定するけれど、あまりにもバカっぽい。

 Nightは不安になるが、水晶を抱えたフェルノは、脚立の段に足を掛けた。


「せーのっ!」


 脚立に登ったフェルノは、水晶を凹凸部に嵌めた。

 クルクル回して電球交換の様。

 私はふと今っぽくない反応をすると、カチッの音で目が覚める。


「これでいいかなー?」

「いいんじゃないか?」

「適当だねー」


 フェルノの問い掛けに、Nightは適当に返す。

 仕方ないことだけど、Nightが確認したわけじゃない。

 雷斬が抱っこしたら届きそうだけど、流石に恥ずかしくて嫌みたいだ。


「よいしょっと。さぁてと、光れ!」


 フェルノは水晶から離れる。

 脚立から飛び下りると、両手を広げた。

 胸を貸す様に命じるも、声に反応しない。

 もちろんそれだけじゃなくて、空気も静まり返っていた。


「……反応ないね」

「そうだな」


 水晶に変化はなかった。

 何か起きるのでは? ついに謎が解けるのでは?

 期待を勝手に寄せていたけれど、何も起きない。


 とは言えすぐに変化が起きると思っちゃダメだ。

 私達はしばらく待ってみることにした。

 そう、五分くらい待ってみたけど、何にも起きる気配がない。


「反応、無いね」

「ああ」


 結局反応は無かった。

 水晶がピカピカ光ることもなく、世界を白亜色に染めもしない。

 詩人みたい感想を心の中で唱えるも、結局何も起きなかった。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


下の方に☆☆☆☆☆があるので、気軽に☆マークをくれると嬉しいです。(面白かったら5つ、面白くなかったら1つと気軽で大丈夫です。☆が多ければ多いほど、個人的には創作意欲が燃えます!)


ブックマークやいいねに感想など、気軽にしていただけると励みになります。


また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ