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165/231

◇165 結界の先

このバリア(結界)のせいで、みんな先に行けなかったんですよ。

 林の奥にやって来た私達。

 大体四十五分程経った。

 フォレストクロウの姿も見かけなくなると、私達は本当に何でもない時間を過ごす。


「ねぇ、古代遺跡が見つからないよー」

「私に言うな」

「えー、ねぇねぇアキラー」

「私にも訊かないでよ」


 フェルノは痺れを切らしていた。

 私やNightに訊ねて来る。

 だけど答えられない。だって知らないから。


「ベル、空気は変わったか?」

「そうね。変わった訳じゃないわ」


 Nightはベルに訊ねる。

 指先に竜巻が巻き起こる。

 小さいけれど風を巻き上げ、空気の微妙なブレを教えて来る。


「残念ね。なんにも起きないわ」

「そんなこともできるんですね」

「索敵を誰かがしないとダメでしょ? だからできるようにしたの」

「流石だな。頼りにするぞ、ベル」


 正直ベルが居なかったら安心感が違った。

 私達は怯えながら進むことになっていた。

 本当に遠距離特化の人が居てくれて助かると、私達は悠々と先に進む。


「このまま何事もなく辿り着ければいいけど」

「そうだな」

「そうだなって、なにかありそうな言い回ししないでよ……うわぁ!」


 ついよそ見をしてしまった。すると私はぶつかる。

 もちろん障害物なんて一切無かった。

 だけど体が壁っぽいものに当たった。


「どうしたんだ、アキラ?」

「なに急に立ち止まるのよ」

「ご、ごめん。でもなにか……ん?」


 Nightとベルに眉根を寄せられた。

 私だってわざと立ち止まった訳じゃない。

 一体何が起きたのか、右腕をソッと伸ばす。


「コレは、えっ?」


 私は何かにぶつかった。

 手のひらは宙を描く。

 確かに指先を物体が掴んだ。


「これ、バリアかな?」


 私は一番最初に、頭の引き出しに入っていた言葉を取り出す。

 それが“バリア”だった。透明で何も見えないけど、確かに何かある。


「確かに何かあるな。全体的な壁のようだが……」

「見えないわね」

「ですね。確かにアキラさんの言う通り、コレはバリアのようですね」


 如何やら本当に私達はバリアに立ち塞がれてしまったらしい。

 困った顔をしてしまうと、私はNightに訊ねた。


「なんでバリアなんかあるのかな?」

「考えるだけ野暮だろ。この先になにかあるんだ」

「なにかって?」

「例えば私達の目的地、古代遺跡だな」

「「「あっ!」」」


 考えるまでもなかった。

 バリアが邪魔をする理由は決まっている。

 この先にプレイヤーを行かせたくないから。人間の心理的に、逆に行きたくなる。


「ねぇ、なんとかしていく方法は無いかな?」

「なんとかとは?」

「ネットの情報だと、ここまでの事実はあるんだよね? それならこの先に誰も知らない情報があるんだよ」

「うーん」


 Nightの顔色は頗る悪かった。

 私の必死の思いは確かに伝わっている。

 もちろんみんな分かっているけれど、難しいのは分かっている。

 だって、誰もこの先に行ったことが無いから。


「ねぇ、この先には行けないの?」

「そうだな……うーん」


 Nightは何もない空間を触る。

 手のひらで触れてみると、確かにバリアがある。

 何も無いように見えて、実際には形がある。コレがバリア、本当に見えない。


「もう。こんなのぶっ壊そうよー」

「フェルノ、それができたら苦労しない」

「ドーン!」

「聞け、忠告を」


 フェルノは全く忠告を聞かなかった。

 それどころか思いっきり体当たりをする。

 とても痛そう。肩からショルダーアタックを繰り出すも、フェルノの衝撃はバリアに完全吸収される。


「い、痛い……」

「バカ、壊せる訳ないだろ」

「強行突破は無理そうですね」


 捨て身で挑んでくれたフェルノの行動も虚しい。

 バリアを強硬手段で破壊することは不可能。

 物理攻撃でダメなら、きっと斬撃も効かない。

 取れる手段が一つ削れた。


「弾丸はどうだ?」


 Nightは試しに拳銃を引き抜く。

 今回は拳銃(回転式拳銃(リボルバー))を取り出す。

 試し打ちのため、一発だけ。発砲してみたが弾丸の威力は完全に殺され、薬莢だけが地面に落ちた。


「ダメか」

「それじゃあ上はどうかしら?」


 ベルは弓を構える。狙うは上空。

 バリアの向こう側に辿り着ければ万々歳だったが、射た弓矢は何かに弾かれる。


 カツン!


「チッ、ダメね。この先には行けないわ」


 ベルの弓矢は落ちて来た。

 地面に落ちると、鏃も節も全部無事。

 回収すると、腰に携えた筒の中に戻した。


「ダメみたいよ。普通に回りくどいことしないとダメみたい」

「そっか……」

「うーん、面倒だよー」


 完全に私達プレイヤーの発想を折りに来ている。

 いや、最初からそう言う理屈なんだろうけど、結構凹む。

 今までのやり方が、全然通用しなかった。


「コレは厄介だな。なにをやっても無意味と来たか」

「ダメってこと?」

「そうみたいだな。なるほど、適切な手段を取らなければこの先には行けないと」


 適切な手段を取らなければこの先には決していけない。

 確かに頑丈な仕掛けのようで、私達は根本の迷路に迷っていた。

 もちろん、迷路と言うには雑。答えは単純、手段を見つければいいのだが、とは言えそれが分からない。


結局バリアが邪魔をしている以上、誰も先には進めない。

 近くを見回しても、バリアの抜け道があるようには思えない。

 フェルノが体当たりをしても無駄。Nightの放った弾丸も、ベルの矢も貫通しないし、通り過ぎない。

 これじゃあ先には進めそうになかった。


「どうしよう。このままじゃ先に進めないよ」

「私に言われてもな……そうか。アキラ、歯車は持っているな」

「えっ? 持ってるけど」


 Nightは考える素振りを見せていたが、何か閃いたらしい。

勢いそのままに促されると、私はインベントリから、歯車を取り出す。

 太陽の模様が描かれている。

 あまりにも関係がありすぎる。この歯車が何かしてくれるのかな?


「取り出したけど、どうするの? うわぁ!」


 歯車を手のひらに乗せた。

 すると突然バリアが機能を失う。

 もたれかかっていた私の体を引き摺りこむと、完全にバリアは消滅してしまい、バリアの向こう側にやって来た。


「痛たたたたぁ」

「大丈夫ですか、アキラさん?」

「うん。大丈夫だけど、なにがあったの?」


正直私には珍紛漢紛だ。

 多分だけど、歯車が関係しているのは分かる。

 私は差し伸べられた雷斬の手を取り立ち上がると、Nightに訊ねる。


「どうやらバリアが解除されたらしいな」

「解除って、急過ぎないかな?」

「そんなことないだろ。お前が取り出した歯車の効果だ」

「えっ?」


 確かに私が歯車をインベントリから取り出した瞬間に、バリアが消えた気がする。

 もしかして関係してる? いや、絶対そうだよね。


「歯車が関係してるの?」

「お前が歯車を取り出した瞬間、急にバリアが消えた。つまり、このバリアを攻略するには、その歯車が必須だった訳だ」

「そうだったんだ……」


 つまりこの歯車は通行許可証ってことだ。

 無くしちゃいけないものを手に入れちゃったな。

 私はギュッと手の中に包んだ。


「それじゃあ先に……行く?」

「当然だ」

「だよね。気を付けようね」


 誰が言ってるんだかって話だ。

 だけど私達は誰も気にしなかった。

 バリアの先、未知の世界へと、私達は繰り出した。

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