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162/230

◇162 ガセネタを信じよう

ガセネタを信じる勇気……とは何か?

※今回も長いです。ごめんなさい。それにしても◇157~◇162までで、大体19000文字って、自分で書いててヤバいと思いました。なんでここだけこんなに長いのか……ああ、筆が乗ったのか? それとも、ちゃんと書こうとしたのか。ああ、指が痛くて辛い。

「と言うことだ」


 ギルドホームに集められた私達。

 Nightに提案された話を最後まで聞き切った。

 突然のことに驚くと、私は必死に言葉を探す。


「Night、そんな話を信じるの?」

「そうだな」

「そうだなって……」


 私はポカンとしてしまった。

 いつものNightらしくない。

 冒険のし過ぎで疲れちゃったのかな? 私はそう心配すると、ベルは口を開く。


「バカみたいね。Nightって、もっと賢い筈でしょ?」

「勘違いするなよ」

「はっ?」

「勘違いだな。このネタは真実だぞ」


 何故か強引に押し通そうとするNight。

 明らかに嘘臭い話を真実だと肯定する。

 それにはベルも黙っていない。目を覚まさせようと必死だ。


「真実って……どう考えてもガセネタでしょ」

「ガセネタか。それがガチのネタだったらどうする?」

「どうするもなにも無いでしょ。そんな胡散臭い有象無象の醜態を信じる方がどうかしてるわ」


 ガセとかガチとかの枠組みから逸れ始めた。

 有象無象の意見を、荒唐無稽の話を信じていることにベルは動揺する。

 もちろんそこに真実はあるかもしれない。そうでなくてもいろんな意見が飛び交うかもしれない。しかし冷静な筈のNightが言い出すと話はややこしくなる。


「厳しいこと言うね、ベル」

「実際、ソースもなにも無いでしょ。井戸端会議と同じよ」

「ディベートにもならないってことか」

「そうよ。そんなつまらない罠に引っかかるなんて、Nightらしくないでしょ?」


 ベルの言葉はナイフのように尖っていた。

 おまけに鏃のように鋭くなっている。

 そのせいか、情報の壁を粉々に破壊すると、批判的な態度を取った。


 もちろん面白おかしく言い合うのなら全然許せる。

 ベルも澄まして笑ってしまうかもしれない。

 けれどNightがそんな罠に引っかかるなんて、流石に〈《継ぎ接ぎの絆》〉の頭脳(ブレイン)を心底心配するのが普通だ。


「確かにそうかもしれないな」

「Night!?」


 まさか折れてしまった!? 流石にそんな訳ないよね?

 私は驚きが止まらず、瞬きをしてしまう。

 けれどNightはベルの言い分に一理あるらしい。


「ほら、やっぱりガセネタで」

「そんなことは無い。実際、私はここにある情報をまとめた」


 Nightはネタ自体は否定しない。

 それを示すように、地図を表示する。

 スライドさせ指で弾くと、赤い点が浮かんだ。


「地図?」

「そうだ。スタットから三十キロほど離れたこの場所、林があるだろ」

「うん、あるね」


 赤い点が示しているのは確かに林。

 鬱蒼としていて気味が悪い。

 現地に行った訳じゃないけれど、地図上でも広大だ。


「ここはプレイヤーやNPCの出入りが少ないらしい。古代遺跡が新たに建造されたとしても気付かれないだろうな」

「新たにって?」

「ゲームのアップデートで、追加されたオブジェクトの可能性があるだろ。私はそれを睨んでいる」


 確かに随時アップデートはされている。

 その間はゲームにログインができない。

 大抵は丸一日から三日間程度。今回もそれくらい空いていた。


 だからこの期に新しい建築物ができていてもおかしくない。

 あの歯車はそのフラグだったのではないか。

 Nightはそこまで計算していた。


「実際、言論には妙な信憑性もあった。だから珍しく、私は賭けてみることにした」

「うーん」

「はっ」


 確かに計算自体は間違ってない気がする。

 言いたいことも、根拠も分かる。

 だけど俄かには信じがたいレベルで、ベルは悪態を付く。


「バカバカし話ね」

「そのバカバカしさには同意だ。だが、ガセと決めつけるのは早いだろ」

「早いって、いつものNightなら切るでしょ?」

「そうだな。だが今回は違う」

「根拠は?」

「スレットを立てた張本人の言葉に限定性と秘匿性を感じたからだ」

「そんなのただの悪戯かもしれないでしょ?」

「仮にそうだとしても、完全否定は私はしない。今回に限ってはな」


 Nightとベルのディベート合戦が始まった。

 お互いに譲る気はないらしい。

 それもそのはずお互い面倒事は嫌い。だからいつも悲観的だ。


 だけど今回は違った。

 どっちもの意見がぶつかり合っている。

 喧嘩するほど仲がいいとは言うけれど、流石に止めないと。


「ど、どうしよう」

「あはは、ヒートアップしてるねー。いいぞ、もっとやれー」

「感心しないで。あと茶化さないでよ!」


 私はフェルノに助けを求める。

 けれどフェルノ自身、この言い合いを楽しんでいる。

 助けを求めるのが間違っていたと痛感した私は、なんとか前に出ようとした。

 そんな中、ここまで黙っていた雷斬が口を開く。


「あの、一度ギルド会館に行ってみるのはどうでしょうか?」

「そうだよね。そうしようよ、みんな」


 ここまで落ち着いて話を聞いていた雷斬が手を挙げた。

 それはあまりにもナイスな案だ。

 私は賛成すると、ギスった空気を脱却する。


「ミーNaさんも情報を集めてるかもしれないでしょ? とりあえず行ってみない?」

「……そうだな」

「そうね。ゲーム内の情報なら、ガチの方が高そうよね」


 運営側が公式で提示してくれた情報なら、ゲーム内で反映する筈。

 それなら一番情報の信憑性が高い所に向かうのが的確。

 私はたどたどしく伝えると、二人は乗ってくれる。


「ふぅ。なんとかなったかな」

「あはは、それじゃあ行ってみよー!」

「フェルノはいつも楽しそう。楽観的でいいな」


 私はフェルノの楽観的な性格を羨ましく思った。

 何だか大変な気持ちになる私。

 胸がチクチクすると、心臓がバクバクして、本当にまとめるのって大変だと感じた。




「あの、ミーNaさん」


 私達はギルド会館に足を運んだ。

 スタットのギルド会館はあくまでも支部だ。

 それでも今日も忙しそうで、私達は隙間を縫うようにして、ミーNaの元まで辿り着く。


「あっ、〈《継ぎ接ぎの絆》〉の皆さん。丁度良い所にお越しくださいましたね」

「「「丁度いい?」」」」


 明らかにタイミングを計っていた。

 私達は声を揃えてしまうと、首を捻る。

 それから気を取り直し、平凡に訊ねた。


「えっと、なにかあったんですか?」

「はい。先日提示してくださった太陽の模様が描かれた歯車の正体。それについて、少しですが分かったことがあります」

「分かったこと? このタイミングで!?」


 流石に陰謀論を疑ってしまう。

 何せNightがネタを掴んだのとほぼ同タイミングだ。


 絶妙に背筋がゾクリとする。

 肝臓の方が冷え冷えになりそうで怖い。

 だけど聞くしかないので、私は息を飲んだ。


「それで、なにが分かったんですか?」

「実はですね、ここから三十キロほど離れた林、ゲッテツ林と呼ばれる古代林があります」

「ゲッテツ林!?」


 それってNightが地点(ポイント)として示した場所だ。

 何だか余計に怖くなる。怖さ倍増で、本当に怖い。

 私が恐る恐るミーNaさんの話に耳を傾けると、更に怖いことを言われた。


「先日、この辺りに立ち寄られたプレイヤーの方が、謎の古代遺跡を発見されたそうです」

「古代遺跡!?」

「ちょっと、ソレって……」


 あまりにも内容が被っている。

 もしかして本当の話なのかな?

 私達は慄いてしまうと、ミーNaさんの話が続いた。


「当ギルド会館支部も簡単ですが調査した結果、確かにゲッテツ林の中に古代遺跡を発見致しました」

「嘘っ!? って、ここは調査してくれるんだ」

「前回のことがありますので。えっと、その辺りの話はご内密にお願い致しますね」


 ミーNaさんは小声になった。

 実際、こうやって随時情報提供をしてくれるのは、公平じゃない。

 それでも情報をくれるのは、ミーNaさん達の落ち度がある。そのせいで、贔屓みたいになっていた。


 だけど諦めて貰うしかない。別に私個人はいいんだけど、ギルド会館側としてみれば痛い話だと思う。

 何せ前回のことがある以上、調査は必須だ。下手なことをしたらギルド会館の信頼は無くなる。

 そのおかげか、ガセネタじゃなくてゲーム内でガチネタに昇華。かなり調べてくれた筈。

 本当の話だと分かっただけ、Nightの予想が正しかったことを証明した。


「古代遺跡があったんだな」

「そうですね。ですが内部には立ち入ることができませんでした」

「できなかった?」

「はい。結界が張られているようです」


 古代遺跡は見つけることができたらしい。

 けれど内部には立ち入れなかった。

 まさか結界が張られていたなんて。あまりにも内容が酷似している。


「結界? ……あまりにも酷似しているな」

「ってことは、まさか!?」


 Nightも同じことを思っていたらしい。

 私は嫌な予感がした。

 如何やらミーNaさん的にも、同感らしい。


「ですが立ち入る方法があるようです。なんでも、古代遺跡の扉部分に太陽の模様が描かれていたそうです。なにか心当たりはありませんか?」

「歯車、だよね?」

「私も同じ事を思っていました」


 確認を取らなくてもあの歯車が関わってくる。

 実際、ここまで一致していれば、何かしら関係があるのではと推察する。

 私達全員、「確かに」と唸ってしまうと、ミーNaさんは目を伏せた。


「今の所、ここまでしか情報は集まっていません」

「ううん、充分です」


 これだけ情報が集まれば充分だ。

 私達はミーNaさん達、ギルド会館の職員達に感謝する。

 後は実際にこの目で確認をするだけ。それくらいしかできることは無い。


「あの、くれぐれも情報提供のことは……その、ご内密に」

「分かってます。それじゃあ……行ってみる?」

「当然だ」

「だよね……あはは」


 こうなった以上言って確認を取るしかない。

 もはやNightが掴み取った情報の手のひらで踊る。

 私達はミーNaさんに感謝をし、一礼してからスタットのギルド会館支部を離れた。


「Night、疑って悪かったわね」

「別に気にしてはいない。だが、ちゃんとやれよな」

「分かってるわよ」


 ベルはNightに謝った。

 Night自身もあまり気には留めていないらしい。

 けれど強く念押しをされると、その必要は無さそうだ。


 私は一旦胸を撫でて安心する。

 とりあえず向かうはゲッテツ林。

 そこに古代遺跡が待っているらしい。

 私達は装備もほどほど、とりあえず現地に向かった。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


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