◇16 アイテム屋:Deep Sky
※Deep Skyは本作品に置いて、度々登場する重要キャラ達です。
大体ここから始まります。
私は寝付けなかった。
いくらベッドに入っていてもちっとも眠くない。
スマホを時間は深夜〇時を回っている。
なんでこんなに眠れないんだろう。私は布団を頭まで被るけど、全く以って意味が無かった。
「ううっ、眠れない……」
私は困り果ててしまった。
だって、ベッドに入ってから丸一時間。
私は一切の睡魔にも襲われずに、今もこうして眠れない地獄に落ちていた。
「どうしよう。このままじゃ眠れない……しょうがない。CUにでも行ってみよう」
私は絶対にやっちゃダメなことをした。
VRドライブを起動し、CUにログインする。
この二日間。夜にログインしたことは無かったし、丁度ソウラさんに納品しに行こうと思っていた。
こういうのは早くても良い気がする。ログインしているかは分からないけれど、私は早速ソウラさんを捜しに向かった。
「まずはソウラさんがいるのかだけど……ログインしているみたい」
私はメニューを開くと、早速フレンド欄を確認した。
すると唯一のフレンド、ソウラさんの名前がある。
おまけに名前の隣の灰色の丸が赤色に点灯している。確か、この灰色の丸が点灯していると、ログインしている証拠になるらしい。
「でも何処に行ったら会えるのかな?」
正直、ソウラさんが何処にいるのか知らない。
ここは一回、メッセージを送ってみよう。
私はソウラさんの名前をタッチすると、そのままメッセージを送信することにした。
「えーっと、えっと、[今晩はソウラさん。灰色の爪を手に入れたんですけど、何処に持って行けばいいですか]っと。気が付いてくれるかな……速っ!?」
私がメッセージを送ると、即座に返信が返ってきた。
まさかの三秒。あまりの速さに私は開いた口が塞がらない。
むしろ恐怖さえ感じてしまうも、返信を確認する。
〔ありがとうアキラ〕
[灰色の爪を入手してくれたのね。それじゃあ私の居る場所まで持って来てくれるかな? 場所は添付してあるマップを見て来てね]
「凄すぎるよ、ソウラさん。どうしてこんなメッセージをたったの三秒で? しかも添付してある地図って……うわぁ!?」
私は添付してある地図を見た。
それはスタットの街を上から見た地図で、赤い矢印と円で目的地が記されていた。
如何やら今私が居る噴水広場からの地図みたいで、私はとりあえず見ながら行ってみることにした。
「えーっと、とりあえず大通りの方に出るみたいで……あれ? こっちのほうが近いけど……うーんと、考えても仕方ないよね。とりあえず行ってみよう!」
考えるのは一回止めてみた。
ここは意識を切り替えて、足を動かすことにする。
リアルだと夜の筈なのに明るいCUの世界で、私はベンチから立ち上がり、スタスタ目的地を目指した。
「えーっと、この矢印道理だと、多分こっちで……」
私は早速大通りを通るコースを外れた。
というのも単純で、大通りは人通りが多い。
だから細い路地を通ってショートカット。
私は人目を気にしながら、短い路地をすり抜ける。
「ふぅ、とりあえずショートカットは成功……あれ?」
しかしショートカットした私を待っていたのは、頭を悩ませる事態だった。
まさか目の前に広がっているのは大通り? 反対側の通路と全く同じような景色が広がっていた。
「ちょっと待ってよ。あれ? 私、もしかして瞬間移動した……んじゃないの?」
一回振り返って確認してみた。
しかし反対側にも同じような大通りが広がっている。
これはおかしい。どうしてこんなに多様な道がと思ったのも束の間。
ここは日本っぽい大陸だけど、全然日本っぽく無い街が広がっていることを思い出す。
「ま・さ・か……やっぱりだ。この街、真ん中に大きな円があって、そこから大通りが何本も伸びてるんだ。本当にヨーロッパみたい」
私は地図を改めて確認すると、ヨーロッパ風感がより一層強まった。
だけどそのせいで余計に分からなくなる。
私は頭を掻き毟ると、地図を一度確認し直し、矢印の方向に歩く。
「ってことは、こっちってこと? うーん、ん?」
私は歩き出して早々、足を止めて地図を睨む。
この矢印の方向、それから目的地の円。
如何やらスタットの端の方。商業区画の中に合った。
「こっちなんだよね? えーっと、突き当りを曲がって、更に曲がって、真っ直ぐ、真っ直ぐ、曲がって、ここ?」
私は地図通り歩いて進んだ。
すると現れた建物はかなり特徴的でした。
「なにこれ? ここじゃないよね?」
目の前に現れた建物。それは“木”そのものだった。
カフェとカフェの間に挟まれた大きな木。
太い木の幹には扉と窓が備え付けられていて、手作り感の強い横長看板が掛けられている。
「えーっと、アイテム屋:Deep Sky?」
英語表記でDeep Skyって書いてある。
とりあえずここが目的地らしい。
私は一瞬だけ躊躇ってしまい、周囲を確認して回った。
というのも、両サイドのカフェは流行っているのに、異様に立ち尽くすこの店だけ、誰一人として見向きもしていないのだ。
「なんだか怖いな。でも、ソウラさんもDeep Skyとかなんとか言ってたから間違いないだろうし……行ってみよう」
ここは勇気を出して入ってみるしかない。いや、入るしか選択肢が無い。
私はDeep Skyの重くもない木の扉を開ける。
だけど気持ちだけは何故か重く緊張してしまい、私は無駄なことを考えながら店に入った。
全く、ここまで時間が掛かっちゃった。バカみたいなことをしたなと思いつつも、街の散策は結局楽しかった。
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