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◇153 荒野にやって来たけど?

タンクライノス編。

まさかこんな長くなるなんて……とほほ。

 私達は荒野にやって来た。

 始めて来る場所だ。

 正直緊張する。何せどんなモンスターが生息しているか分からないからだ。


「ついに来たね、ゴテゴテ荒野」

「そうだねー。本当にゴテゴテしてるねー」

「足下、超が付く程悪いわ」


 ゴテゴテ荒野の名前の由来。

 子供騙しもいい加減なくらい単純。

 なんと地形がゴツゴツゴテゴテしている。

 そのせいで歩き辛くて、ここまで来るのが大変だった。


「それにしても、時間が掛かったわね」

「仕方ないが無いよ。だって、車輪が取られちゃったんだから」


 何より馬車の車輪が取られてしまった。

 それもその筈で、すぐにパンクしちゃう。

 それくらい地形が最悪で、私達は苦戦した。


「ううっ、肩が……腰が……」

「Nightさん、大丈夫ですか?」

「ああ、問題は無いが……最悪なスタートだ」


 Nightは運動不足がたたっていた。

 地獄を請け負ってしまうと、全身がボロボロになる。

 途中で馬車が進まなくなったせいか、私達は全力で後ろを押すことになったんだ。

 そのせいか、Nightが一番ダメージを受けていた。体中がバキバキになると、動けなくなってしまう。


「Nightさん、体をほぐしましょうか?」

「できるのか?」

「はい。痛いですが、やってみますね」


 Nightは雷斬の提案を飲む。

 ゴテゴテした地面の中でも、できるだけ痛くない、平らな場所を探す。

 そこにお尻を付けると、早速ストレッチを始めた。


「それはいいとして、今回のモンスターだけど」

「タンクライノスよね?」

「うん」


 今回の狙いはタンクライノス。

 名前の通り、戦車(タンク)サイ(ライノス)が掛け合わさっている。

 想像は固くない。だけどどんなモンスターの生態か、流石に初見だと分からない。


「強いよね、きっと」

「そうだな。雷斬、もう少し強くやっていいぞ」

「分かりました」

「うあっ!」


 Nightが悲鳴を上げた。

 雷斬が少し体重を掛けたからだ。

 これぞ自業自得。なんて、流石に言えない。


「ちなみにどんな生態なの?」

「えっと、ミーNaさんの話だと、好戦的な性格らしいよ」

「……他には無いの?」

「他には? えっと、脚が無くてキャタピラになっているんだって。どんな悪路も装甲できて、自慢の角でどれだけ硬い岩もモンスターも粉砕しちゃうらしいよ?」


 何だか特撮ものの何かに見えて来た。

 もちろん私は知らない。

 単にフェルノやお母さんの受け売りで、私はポワポワとした想像を働かせた。


「カッコいいねー」

「カッコいい?」

「カッコいいじゃんかー。だって戦車でサイなんでしょ? 強そうだし、カッコいい。ミサイルとか撃って来るのかな?」

「それは分からないけど、ミサイルなんて危ないよ。止めよ」


 ミサイルなんて物騒な物使って来て欲しくない。

 ましてやそんなファンタジーから逸脱したものは嫌だ。

 私は自分自身のイメージと重ね合わせる。


「そんなことはどうだっていい」

「Night?」


 Nightの口振りがいつもとおかしい。

 何故か険しい声を上げている。

 ふと見れば私達はタジタジになった。

 Nightが怖い。苦しいを通り越している。


「私にここまでの仕打ちを与えたモンスターだ。絶対に許すか」

「こ、怖いよ……」


 Nightの怒りの矛先がタンクライノスに向いていた。

 目が怖い。今にも撃ち殺されそう。

 触らぬ神に祟りなし。私達も穏便に済ませる。


「って、Nightが運動不足なだけでしょ? 普段からちゃんと運動しておけば、こんなことにはなってないわ」

「おい」

「ベルもNightも喧嘩は無しだよ。変にいがみ合わないで」


 一触即発の現場に遭遇。

 触らぬ神に祟りなしと誓ったばかりなのに、すぐにこれだ。

 まあ、ベルの言い分の方が正しい。Nightは悔しくなると、視線を落とした。


「適材適所があるだろ、適材適所が」

「そ、そうだよね。Nightにだって苦手なことはあるよね?」

「当り前だ。私は完璧じゃないからな」


 自分で自分のことを卑下する。

 Nightらしいと言えばNightらしいかも?

 私はポカンとする中、Nightは雷斬に背中を伸ばされる。


「痛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「Nightさん、体が硬いですよ?」

「ううっ、最近仕事が多いんだ」

「仕事ですか?」

「ああ、そうだ。だからアバターにも反映されて……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 如何やらNightも忙しいらしい。

 そのせいか腰も背中もガチガチに固まっている。

 背中をちょっと押しただけで地獄のような顔をして、とんでもない悲鳴を上げた。

 そのせいか、Nightはこの世の全てを恨んだ。私達はモンスターが来ないか不安になった。


「よかった。モンスターが来ないね」

「うーん、つまんないのーだ」

「つまんなくないよ。これから戦うんだから」


 そう、私達はタンクライノスを討伐しないといけない。

 今回はそういう依頼で、腕が鳴るっていうのかな?

 フェルノはニヤニヤしていて楽しそう。

 対して私は面倒で、上手く行くか不安だった。


「戦って勝てるかな? 今回の相手、かなり強敵かもしれないんだよ?」

「だからなによ? 勝てないって言いたいの?」

「そんなことはないけど、勝ちたいよね?」


 私達の今のランクよりも高いランクのモンスター。

 それがタンクライノスだ。

 どんな見た目なのかは分からないけれど、少なくとも実力的には付いている。

 だけどそれを抜きにしても、戦ってみないと分からなかった。


「勝てないなら逃げればいい。無理なことはするな。それが身のためだ」

「Night!」


 Nightは言葉を噛み締めた。

 これぞNightらしさ。私はそう思って嬉しい。

 だけど今回は少し違う? 何故か怒っている。


「とは言え今回ばかりは違うぞ」

「えっ?」

「私をこんな目に遭わせたんだ。必ず叩き潰す。解体するぞ」

「こ、怖いよ!」


 とんでもない怖い言葉を吐き出した。

 殺気がビシバシ出ている。

 痛い、痛すぎる。私は臆してしまいそうになると、一歩を出した。

 

「さてと、それじゃあ行くか」


 雷斬の強制ストレッチを受けて、奇跡の復活を遂げたNight。

 まだ苦しそうだけど、Nightは立ち直る。

 体を起こし、率先して前に出る。


「あれ、Night。何処行くの?」

「決まっているだろ。今回の狙いタンクライノスだ。それならまずは、そのための仕掛けを施すのみだ」


 Nightらしい発想だった。

 確かに仕掛けを施せば、きっと楽になる。

 私達は首を縦に振ると大賛成する。


「仕掛けって、一体なにするんだろう?」


 Nightのことだ。きっと凄い作戦でも考えている筈。

 私はそんな期待を寄せると、背中を追い掛ける。

 罠の正体に興味津々になりながら、タンクライノス討伐に胸躍らせた。

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