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152/230

◇152 戦車のサイですか?

無駄な与太話を排除しました。

リメイク前より読みやすい筈です。

 八月になった。

 学生にとっては最高の休日。

 夏休みに突入し、時間にとんでもなく余裕が貰えた。


 おまけに高校に入ったら義務教育じゃなくなった。

 おかげで課題の山に襲われることもない。

 ましてや美桜高校は、進学校じゃない。だから部活にも入っていない私は、こうしてゲームにのめり込んでいた……訳でも無いんだけどね。


「ってことで、ギルド会館に来てみたんだけど」


 私の足は早速ギルド会館にやって来ていた。

 何せ行く所が無いし、目的がない。

 残念ながら今日はソロで、暇も暇だった。


「ギルドランクを上げたいって思ってたけど……」


 ここに来た目的はいい感じの依頼を受けるため。

 受理してこなせばこなすほど、ギルドランクは上がりやすい。

 

次のランクはC。

 まだまだ遠い感じがする。

 だからここは頑張らないとな気分で、私はギルド会館にやって来たんだけど……


「これはどういうことですか、ミーNaさん?」


 何故かミーNaさんに呼び止められてしまった。

 しかも私の姿を見るや否や、手招きをしていた。

 明らかに何かある。だけど無視も悪い気がして私はノコノコ向かった。


「お待ちしていました、アキラさん」

「待ってた? んですか」


 受付の窓口にやって来ると、何故かそんなことを言われた。

 明らかに怪しい。

碌でもない話しなのは確定で、私は身構える。



「実はとある荒野にモンスターが出現したそうです」

「モンスターですか?」


 そんなの普通だと思うけど。

 しかも荒野なんて、私は少なくとも行ったことが無い。

 

「変なことですか?」

「あまり見かけないモンスターでして」

「はぁ?」


 珍しいモンスターなんて山ほどいると思う。

 だけどそんな提案されるなんて。

 これは私の興味が顔を覗かせる。


「ちなみにどんなモンスターが現れたんですか?」


 私がほんの少し、本当にちょっぴりだけ興味が顔を出した。

 するとミーNaさんの顔色が変わる。

 私はゾクリとしてしまうが、モンスターの名前を呼ばれた。


「タンクライノスと呼ばれるモンスターだそうです」

「タンクライノス?」


 なんだそれ。戦車とサイ? 組み合わせ的に想像しやすい。

 だけどそんなモンスターが現れるなんて、ますますファンタジーじゃない。

 SFに片足を突っ込むと、私はポカンとする。


「このタンクライノスは、Cランク相当ではありますが、Bランクにも近いとされています」

「それじゃあほぼBランクってことですか?」

「そうとも言われていますね」


 つまり強いってことだ。

 勝てるのかな、そんな相手に?

 あれ、なんで私勝つ前提なんだろう。


「まさかとは思うんですけど、討伐とかじゃないですよね?」

「察しがいいですね、まさにそうです」

「無理です」


 即答した私。

 タンクライノスなんて強いに決まっている。

 私は断固として首を縦に振らないでいると、ミーNaさんはもう一声。


「こんな機会滅多にありませんよ?」

「つまり珍しいってことですか?」

「もちろんです。いい経験になると思いますが?」


 どっち? それはどっちを言ってるの?

 人生経験的な意味? それとも経験値的な方?

 訳が分からないでいるも、私は自問自答をする。


「えー、えっ?」


私はよく考えることにした。

 唸り声をつい上げてしまいそうになる。

 それだけは必死に抑え込むと、心の中で唱える。


(タンクライノスの討伐か……)


 きっとフェルノなら飛びつくんだろうな。

 私は遠い目をしてしまった。

 とは言え珍しそうなモンスターの名前で、興味はある。

 興味はあるんだけど……ちょっとね。


「どうですか、アキラさん?」


 それにしても不思議だ。

 どうしてそんな話を私なんかにするんだろう?

 この前もそうだけど、変な話だな。


「でもどうしてそんな話を私にするんですか?」

「アキラさん達なら、きっと調査に向かってくださると思うからです」

「えー」


 なんでそうなるのかな?

 完全に使い勝手にいい駒にされてる。

 ムカつくなと思いつつ、ミーNaさんはこっちを見ている。


「それでどうされますか?」


 ミーNaさんの期待の目。

 気持ち悪いくらいキラキラしている。

 これは流されてはいけない。私は波から外れる。


「うーん、私一人じゃどうにも」

「大丈夫ですよ、皆さんと一緒でしたら」

「ごめんなさい。興味はあるんですけど、もう少し簡単な依頼にします」


 私は笑顔で立ち去る。

 何せ今回の依頼は難しそう。

 ソロだととてもじゃないけど無理だし、みんなにも悪い。

 前回のことがあるから強く言えず、私はミーNaさんの期待? を踏み潰す。


「あっ、待ってください」


 そんな私の背中をミーNaさんは引き留めようとする。

 だけど私は無視も無視。スルーを決め込む。

 このままだとマズい。なんでそう思ったのか分からないけど、余計なことを言った。


「それに、この依頼を無事に達成していただければ、〈《継ぎ接ぎの絆》〉はCランクにあと一歩になりますよ?」


 私はピタッと足を止めた。

 それは旨い話過ぎないかな?

 怪しいと思う私だけど、一旦窓口に戻った。


「それって本当ですか!?」

「はい。本当ですよ」


 この依頼をこなせば、一気にpも稼げる。

 そうすればCランクまでは一直線。

 私は正直悩んでしまった。


「うーん、勝手に引き受けてもいいのかな?」

「ギルドマスターであれば、構わないと思いますよ?」

「うーん、職権乱用な気がするんですけどね」


 完全にギルマスの立場を利用するように迫っている。

 むしろ脅迫にさえ聞こえる。

 私は目を泳がせつつも、逃げられないと悟った。


「分かりました、頑張ってみます」

「本当ですか!? ありがとうございます」

「ありがとうございますって……」


 如何して感謝されるのかは分からない。

 まだ依頼もこなしていないし、上手く行くかも分からない。

 保証が全くできない中、私は渋い顔をした。


「あっ、アキラさん。それともう一つ」

「えっ、まだなにかあるんですか?」


 立ち去ろうとする私を、ミーNaさんは引き留める。

 踵を返すのを止めた私。

 嫌な予感がする。


「はい。あくまでも噂なんですけど」

「う、噂……」


 大体この手の噂は碌なことが無い。

 それは前回で証明済みだ。

 私はげんなりした顔になるも、ミーNaさんは楽しそうで、単に噂を誰かに話したい人になっていた。




「って、ことになったんだけど、いいかな?」

「「よくない!」わ」


 私はギルドホームでみんなに説明した。

 正直勝負にはならないって分かってた。

 案の定、Nightとベルに反論される。


(あはは、こうなっちゃうよねー)


 私は目を泳がせた。

 何せ事前に確認も取らなかった。

 だからこうして詰め寄られてしまうけれど、もう受けちゃったんだから、二人もそれ以上は言い返せなかった。凄く気まずかった。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


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