表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

147/231

◇147 本物のA

もし表記ミスが有ったらごめんなさい。

 突然現れたのはA-スさんだ。

 私達がこんな危険な目に遭った原因の一つ。

 ここまで一向に姿を現わさなかったけど、今ようやく合流できた。


「A-スさん、遅いですよ!」

「ん?」


 私はA-スさんに私は泣きつく。

 ギュッと拳を付くって腕をブンブン振るった。

 するとA-スさんは首を捻り、真顔になる。


「私達怖かったですよ」

「そ、そうか?」

「はい。本当に死んじゃうかと思ったんです」

「そりゃあ、あんな高い所から落ちたら死に掛けるよな」


 分かり切っていたらしい。

 なんだろう、ちょっとだけイラっとする。

 何せ完全に他人事な言い回しで、私だって黙ってない。


「本当に怖かったんですよ!」

「はっ?」

「なんでポカンとしているんですか。それでも責任者さんですか!?」


 私は詰め寄ってしまった。

 本気の私は怖い。

 堂々とした殺意の目を剥き出しにされると、A-スさんも唾を飲む。

 恐怖心に心臓が止まりそうになると、過呼吸寸前だった。


「落ち着いてよー、アキラー。怖いよー」

「だって怖かったよ? なにが起こるか分からないし」

「全くそうよね。でもA-スさんに怒鳴り付けても仕方ないでしょ?」


 なんでだろう。こんな時だけ、急にベルが大人ぶる。

 よくよく考えて見たらそうなんだけど、何故かムカッとする。

 もちろん誰かが悪い訳じゃない。

 なんだけど、何か無性に引っ掛かる。


「そもそもの話、お前は一体何処にいたんだ?」

「はっ、それはこっちの台詞だっての」

「こっちの台詞だと? どういう意味だ」


 急に意味の分からないことになった。

 A-スさんは嘘を付いていない。それだけは確かだ。

 だけどそれだと言葉の意味が半分おかしい。

 なにがって、A-スさんとの意識の齟齬が生まれる。


「私はずっと持ち場で待ってたんだぞ」

「えっ、持ち場って?」

「いつもの調子でやってやろうと息巻いていたのに、全然来ないじゃねぇか」


 A-スさんは急に怒鳴り付けた。

 もっとややこしくなる。

 そんな私達の顔色を窺うと、A-スさんは爆弾を投下した。


「ちょっと待てよ、アンタ等なにか勘違いしてるんじゃないのか?」

「「「えっ?」」」


 勘違いって一体なんのことだろう?

 私達はポカンとしてしまう。

 するとA-スさんは頬をポロポリ掻いた。


「おいおい、アタシにアンタ等の記憶は一切無いんだぞ? 一体なにと見間違えたんだ?」


 ・・・えっ、如何いうこと?

 私達は顔色が悪くなり、互いに見合う。

 首を捻ってしまい、理解に苦しんでしまうと、ポツリと口にした。


「見間違えた?」

「えー、えっと、A-スさんだよねー?」

「おうそうだぜ。みんなの船長、A-ス様だ」


 A-スさんは短剣を抜いた。

 YESと言いたそうで、私達は身構える。

 完全にA-スさんが担当するレジャーの上だった。


「あっ、設定だってことは忘れんなよ?」


 まさかの保険を掛けられた。

 そんなことを言うスタッフは聞いたことが無い。

 私達は調子が崩れそうになるが、Nightだけは踏み込む。


「どういうことだ」

「どういうこともなにも、見間違えたんだろ?」

「そんな筈が無いだろ。その格好、その口調に言動、なにを取ってもお前だった……うおっ!?」


 しつこくNightは突き付けた。

 追及がウザかったのか、A-スさんはちょっかいを出す。

 指を前に出し、デコピンをNightの額に繰り出す。


「危なかった」

「へぇ、避けるんだな。ナイスだぜ」

「ナイスじゃないだろ。私達は一応試乗試験に」

「それなんだよな。アタシ、試乗試験のことをミーNaに頼まれて、仕切りに来たっていうか、見張りに来たっているか、安全が確保されてないとダメだろ? それなのに一向に現れないから、アンタ等を探してたんだよ」


 ・・・今度は何を言い出したの?

 初耳に近い情報が飛び出し混乱する。

 けれど私とNightは意識を変えたり、思考を切り替えたりして、何とか話に食らい付く。


「ちょっと待ってください。それじゃあ私達が会ったA-スさんは?」

「だから見間違いだろ。それにこんな危ない場所、ギルドが容認する訳ないっての」

「ええっ、それじゃあ前提が全然」

「崩れるな。一体なにが起きていたんだ?」


 そもそもの話、この場所を指定したのはギルドだ。

 だけどリュウシン大渓谷は詳しい情報が開示されていない。

 そのせいか、初めて訪れるダンジョンだから迷ってしまった?

 その可能性はあるけれど、Nightが間違えるとは思えない。


「もしかして、地図が違っていたのか?」

「そ、そんなことあるの!?」

「それ以外考え付かないだろ。実際、この場所によく似た地形の可能性もある……よな?」


 Nightは一応確認を取った。

 するとA-スさんは自信満々な顔をする。

 さっきと同じことを堂々と伝えた。


「だからよ、そもそもこんな場所を指定する訳ないだろ?」

「そうか。いや、この地図には……」

「地図? ちょっと貸してみろ……ん、なんだこれ?」


 A―スさんは地図を要求した。

 この地図はNightが代表して持っていた。

 ギルドから受け取ったものだから、間違いない筈なんだけど、顔を歪められる。


「私が見ていた地図と違う?」

「「「ええっ!?」」」


 Nightは地図を取り出した。

 まさかのことを言われてしまい、私達は驚く。

 地図に視線を落としたけど、確かに、なんとなく、違うのかな?

 よく分からないけど、きっと違ったんだ。


「どうなってるの?」

「化かされたんだよ。このダンジョンに立ち入った時にな」


 ここまでのことをされるなんて。

 もう笑っちゃうよね?

 私は「あはは」と笑ってしまう中、Nightは悔しがる。


「腹が立つな。ここまでバカにされるなんてな」

「仕方ないっての。実際、本来のレジャースポットと、この場所は似てるからな。ほれ、船員受け取れ」


 船員(クルー)呼びは相変らずだ。

 だけど思い返せば、今目の前に居るA-スさんと最初に会ったA-スさんとは口調が違っていた。

 特に違うのは「アンタ達」と「アンタ等」だ。そこを見逃していたらしい。


「た、確かに似ているな」

「本当。でも滝が小さいわね」

「当り前だろ。このリュウシン滝とは比べ物にならないっての」


 A-スさんも笑ってしまった。

 確かに見せて貰った地図に描かれている滝とは規模感が全然違う。

 これはもう完全に一本取られちゃった。そう思うしかなく、私達は呆れてしまった。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


下の方に☆☆☆☆☆があるので、気軽に☆マークをくれると嬉しいです。(面白かったら5つ、面白くなかったら1つと気軽で大丈夫です。☆が多ければ多いほど、個人的には創作意欲が燃えます!)


ブックマークやいいねに感想など、気軽にしていただけると励みになります。


また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ