表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/230

◇14 掲示板……あれ?

イメージでは、一応木の看板だけど、公民館とか市役所に外に置いてある系の掲示板です。

 私はソウラさんに促される形で、掲示板の場所までやって来た。

 すると見えて来たのは本当に掲示板。

 私は瞬きを繰り返してしまった。


「あれが掲示板? えっ、嘘でしょ……」


 細い道をクネクネ曲がってやって来ると、小さな広場がある。

 その真ん中に突っ立っているのは、公民館に置いてあるような掲示板。

 私はあまりの現実感に、ゲームなのかと疑った。


「こんな吹き曝しな場所で、嘘でしょ?」


 何度も何度も私は頭を抱えた。

 今場所にポツンと一つだけ掲示板が設置されているなんておかしい。

 むしろ気味が悪くて仕方がなく、周囲には誰も居ないことも相まってか、私は眉間に皺を寄せた。


「これは一体なに?」


 私は掲示板に近付きたくなかった。

 だけどソウラさんに着るものを借りた以上、近付かない訳にも行かない。

 ここは意を決していくしかない。

 如何してこんなことで気を引き締めないといけないのか分からなかった。


「見るんだ……」


 私は誰も居ない中、たった一人で掲示板を見に行った。

 すると掲示板にはガラスで覆われていて、中のボードに何枚か紙が貼ってある。

 よくあるタイプ。そう思ったのも束の間、貼ってある紙の内容は物騒だった。


「げっ!? 変なお願いばっかりだ」


 ボードに貼ってあったのは、たくさんの面倒事だった。

 というのも、RPGお馴染みの依頼書というものらしい。

 私は依頼書に書いてある内容を読んでみる。



〔緊急:グリフィンの羽根を採って来て!!〕

[愛用している杖をもっと良いものにしたいので、グリフィンの羽根を採って来てください。報酬は言い値で払います!]



「いやいや、グリフィンの羽根なんて無理だよ」


 正直無理難題な依頼がズラリと並んでいた。

 私は唖然としてしまい、一瞬にして引いてしまう。

 正直、ここは私にとって場違いの場所だった。


「帰ろうかな」


 早々に帰ろうと結論付けられるには充分。

 私はそそくさと後ろ歩きになり、踵を返そうとする。


「いや、ちょっと待って。灰色の爪だけはなんとかしないと……」


 ここで踏み止まれたのは、灰色の爪が手に入っていないからだ。

 ソウラさんに頼まれた以上、断れない。

 私は掲示板に戻ると、もう一度くまなく覗き込み、灰色の爪案件を探す。


「灰色の爪、灰色の爪、灰色の……あった!」


 私は掲示板の中でも真新しい物を見つける。

 他の依頼書に重ねる様に貼ってあるその紙に、灰色の爪と書いてある。

 如何やらこれがソウラさんの知り合いから依頼されているもののようで、私は剥がして近くで見る。


「えーっと、なになに。依頼主は……あれ?」


 私は固まってしまった。

 まるでアニメのキャラみたいにカチコチになってしまう。

 というのも無理も無く、依頼主の欄が引っかかった。



〔灰色の爪を売ってください〕

[灰色の爪を探しています。グレーウルフの爪と言うことは分かっているのですが、生憎戦闘系ではないのでなかなか仕入れることができていません。是非、灰色の爪を売ってはいただけませんか? 報酬は、その時々のアイテムをお渡しいたします。——ソウラ]



「ソウラさんから!? なんなの、それ!」


 友達でもなんでも無かった。

 まさかの本人からで、私は良い様に使われた。

 頭を抱えてしまうと、今着ているジャケットさえ、うんざりしてしまう。


「どうして私に頼んできたの? もしかして、初心者だって分かって貰えてないのかな? 掲示板を見に行こうとするなんて、間違いなく初心者……じゃない?」


 その瞬間、私は頭の中で情報が点と点になる。

 一本の線に繋がると、ここに来たこと自体が間違いだと悟る。


「そうだよ。掲示板を見に行くなんて、CU慣れしているプレイヤーじゃないと、無理だよね? うっわ、私のミスだ。やっちゃった……」


 自分から墓穴を掘ってしまったと悟った。

 掲示板を見に来るプレイヤーなら、それなりにこのゲームに慣れているプレイヤーに限られる。

 慣れているプレイヤーだから強く、無理難題な依頼にも挑戦できた。


とは言え、考え方を変えてみよう。

私はソウラさんに頼まれたんだ。

この依頼を無事に達成できれば、きっと何かが開かれる。

 そんな気がしてしまい、私は灰色の爪を採りに行くことにした。


「しょうがない。灰色の爪、採りに行こうかな」


 私は依頼書をインベントリの中に入れた。

 掲示板の立っている場所には、結局誰も来ていない。

 私もその場を立ち去ると、本当に寂しく残ってしまった。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


下の方に☆☆☆☆☆があるので、気軽に☆マークをくれると嬉しいです。(面白かったら5つ、面白くなかったら1つと気軽で大丈夫です。☆が多ければ多いほど、個人的には創作意欲が燃えます!)


ブックマークやいいねに感想など、気軽にしていただけると励みになります。


また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ