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137/230

◇137 何か漏れてない?

襲われていた原因が明らかに!?

 私達の乗る筏はドンドン進む。

 プロペラの力は偉大だ。激流をスイスイ乗り越える。

 そんな中だった。大量の鳥が止まり、私達のことを眼下に見下ろしている。


「プピュァ!」


 声にもならない声が聞こえる。

 するとコンドル達が頭上を回る。

 グルグルと群れを成して回転すると、上昇気流を掴む。


「凄い。あんなにたくさん」

「ここが谷の様な形状だからだろうな。コンドルは上昇気流を使って飛ぶんだ」

「そうなの?」

「そうだ。とは言え、様子がおかしい気がするが……」


「アレ、岩よね?」

「そうだな。岩だな」

「そう言えばさっきも岩が落ちて来たけど……」

「あはは、まさかねー」


 トンネル内で酷い目に遭った。

 だからもしかするのかもと、想像してしまう。

 だけどそんなことして来ないよね? 私達が祈ると、コンドル達は飛び上がった。


「「「プピャァ!!!」」」


 コンドル達が死を踊る。

 回転して私達を見下ろすと、足には岩が掴まれている。

 ドンと爪を放した。すると大きめの岩が雨の様に降る。


「やっぱりだぁぁぁぁぁ!」


 私はつい叫んでしまった。

 大きめの岩がドンドン振ってしまう。

 これじゃあ雨に打たれて体が穴だらけだ。

 ボコボコになってしまうのは嫌だ。岩の雨を遮ろうと、Nightとベルは動く。


 バン!

 パシューン!


 Nightは拳銃の引き金を引いた。

 ベルも弓を構え、矢を番えた。

 一斉に打つと、弾丸と矢が空に舞う。


 バキッ……ドーン!!


「凄い。二人共凄いよ!」

「こうなることは分かっていたからな」

「そうですね。では、少しずつ捌きましょうか。雷斬、機動力を上げていただけますか?」

「分かりました」


 ベルは冷静に指示を出した。

 雷斬はオールを使って筏の速度を上げる。

 少しずつ速度が上がると、Nightとベルはとにかく打ち続ける。


「このまま続けますよ」

「そうだな」


 バンバンバン!!!

 バシューンバシューンバシューン!!!


 Nightとベルは作業を始めた。

 遠距離はベルが、中距離はNightが請け負う。

 降って来る岩を粉々に砕いて行くと、コンドルの攻撃を掻い潜った。


「ふぅ、これで……」

「いや、まだだ」


 私は安堵する。けれどNightは睨んでいる。

 まだ何かあるのかな?

 そう思うと、大量の岩の雨が降っていた。


「ちょっと来たよ!」

「流石にこの距離は……」


 Nightとベルでもこの距離は無理だ。

 拳銃でも弓でも、壊せば確実に私達に当たる距離。

 困り顔を浮かべると、唇を噛んだ。


「そりゃぁぁぁぁぁ!」


 フェルノが突然飛び出した。

 すると腕を振り上げ、激しい熱が伝わった。


「ほ、炎!?」

「凄い、全部弾いちゃった」

「こんなのできたんだー」


 まさか本人も分かってなかった。

 フェルノが腕を振り上げると、炎がフワッと舞った。

 その瞬間爪状に展開した炎が小さな岩を砕いてしまう。


「凄いよフェルノ。でもこのままじゃ……」

「そうね。まだまだ数はいるわよ」


 正直コレだと数は減らない。

 もっと直接的にコンドルを制圧する方法が必要だ。

 それこそ恐怖させること。一種の支配ができる方法が無いか模索する。


「仕方ないか」


 Nightがポツリと呟く。

 同時に拳銃(リボルバー式)の弾倉を開けた。

 中身を入れ替えると、もう一回答える。


「耳を塞げ」

「えっ?」

「早くしろ!」


 耳栓を一人だけ付けているNight。嫌な予感がする。

 拳銃を頭上に掲げると、私達は急いで耳を塞いだ。


 パァーン!


「うっ……」

「これって、音?」

「そうだ。音響弾だ」


 Nightは音響弾を打った。

 耳を塞いでなかったら危なかった。きっと鼓膜が破けていた。

 私達がそう思うと、コンドル達は一斉に墜落する。流石に音には勝てないのか、川の中にドボンだ。


 バッシャー――――ン!!


 可哀そうに何羽も落ちて来る。

 私達は直視できないが、たくさんの水飛沫を見つけた。

 空を見れば数は半分以下になっている。

 コンドル達もこれにはたまらない。Nightのことを睨み付けると、恐怖している。


「あっ、逃げていくよ!」

「一昨日来やがれー」

「「来なくていい」ですよ」


 コンドル達は逃げ帰った。

 岩も失って、数も減って、流石に勝てないと見越した。

 賢明な判断に私は安堵するけれど、フェルノは何故か煽る。

 そのせいでNightと雷斬から怒られるまでがセットだ。


「ふぅ、なんとか掻い潜ったわね」


 ベルはいつものベルに戻った。

 疲れちゃったのか、腕がダランとしている。


「お疲れさま、ベル」

「別に、私はたいしてやってないわよ。ところでフェルノ、なによアレ!」

「なにってー?」

「炎よ、炎! あんなのできるなら最初からやりなさいよ!」


 確かにあの炎は凄かった。

 まさか岩を軽く弾き飛ばされるだけの火力を持っているなんて。

 <ファイアドレイク>恐ろしい。ちょっとだけそう思わされる。


「全く、私の出番要らなかったじゃない」


 ベルはちょっとだけ拗ねていた。

 「そんなことないよ」と、私は声を掛ける。

 けれどあまり嬉しくないのか、筏の上に体重を下ろした。


「はぁー。ちょっと腰を落ち着かせるけど、沈まないわよね?」

「問題ない」

「構いませんよ。オールの調整は私がしますから」


 Nightも雷斬も素直に了承する。

 別にベルはそこまで重くない。

 無理して立っていなくても、筏は沈まない。


「そっ。それならいいけど……はぁ、疲れた―」


 ベルは完全に気を抜いていた。

 一旦冷静になり、体中から脱力する。

 すると互換が研ぎ澄まされたのか、ベルは風の心地よさと水飛沫を浴びる。


「ねぇ、なにかニオワない?」


 そんな中、ベルが口を開いた。

 鼻先をスンスンさせている。

 なにかニオウのかな? 私も鼻をスンスンさせる。


「確かに、ちょっとだけ、変な?」

「臭うかもねー」

「そうよね。コレ、何処からするのかしら?」


 別にこの臭いが問題とは思えない。

 けどベルがやけに真剣に臭いを辿る。

 私達も視線を配り、鼻をスンスンさせ続けると、雷斬がふと川を見る。


「皆さん、川が汚れていますよ?」


 突拍子も無い話題だった。

 流石に嘘だと決めつけ、容易くあしらう。


「バカな、そんな話が……って!?」

「本当に汚れてる。しかも紫色だよ!?」


 けれど川を見ると本当に汚れていた。紫色の、自然界ではあり得ないような色が溶け出ている。

 しかも油分を含んでいるのか、ちょっと浮いてる。

 明らかに異常事態で、私達はドン引きする。


「な、なによコレ。一体何処から……」

「この液体は……ん?」

「Night、どうした……のぉ?」


 ふとNightの視線の先を追いかける。

 すると私は固まってしまった。

 目に留まったのは筏の周りを囲う、浮きの一つだ。


「あ、あれ? もしかしてこの液体」

「ここから漏れてるな」

「嘘でしょ!? なんでアウトリガーから!?」


 紫色をした液体の出どころ。それはまさかのアウトリガーから。

 つまりはこの液体はアウトリガーの中にあった。

 それが漏れ出ている。ってことはつまり……そう言うことだよね?

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


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