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123/230

◇123 圧倒的精度

元のスキル名から変えました。

「ここが皆さんのギルドホームですね。初めてギルドホームを拝見しましたが、近未来的なのですね」

「そうですね、雷斬」

「ええ、ベル」


 私達はポカンとしてしまった。

 何だか雷斬を二人見ているように感じる。

 けれど私は気が付いていた。ベルさんは無理をしているような感じがした。


「あの、ベルさん」

「なんですか? アキラさん」

「えっと、アキラでいいよ?」

「では、私のこともベルで構いませんよ。それでどうかされましたか?」

「無理してるよね?」

「……はい?」


 私はベルに訊ねるが、急に空気が変わった。

 ベルの顔色が明らかに悪くなると、私のことを睨んでいる。

 何だろう、何かマズいことしたかな?

 私は空気が読めてないと感じると、Nightが割って入る。


「そんなことはいい。とりあえず私はNight、こっちがアキラ、ソレがフェルノ」

「「こっち?」ソレ?」

「どうでもいいだろ」

「「どうでもよくない!」」


 いつものダラダラとしたノリが出てしまった。

 するとベルは一瞬だけ素に戻ったように呆然とする。


「ベル、やっぱり無理して……」

「それはいいではないですか? それより話は伺っています。早速向かいましょうか」

「切り替えちゃった……そうだよね。行こっか」


 ベルが気にしているのなら無理に口を挟むのもよくない。きっと何か事情があるんだ。

 私達は早速タイコモリ―に向かう。

 そんな中、雷斬が私の肩をポンと叩いた。


「アキラさん」

「雷斬どうしたの?」

「ありがとうございます。やはりアキラさんは気が付かれたみたいですね」

「ん?」


 一体なんのことを言っているんだろう。

 私は分からないふりとかじゃなくて、普通に首を捻ってしまう。

 しかし雷斬に「お願いします」と謎発言を受け、私は混乱してしまった。




「ここがタイコモリ―ですね」

「そうだよー。でさ、たまーに飛んでるんだよねー」

「たまに飛んでいる……そうですね、聞こえてきます」


 ベルはソッと目を閉じて耳を澄ます。

 すると先程まで吹いていなかった風が吹き、何処からか翅音を届ける。

 ギュンギュンと鼓膜が痛くなると、私達は顔を背けた。


「急に音が聞こえたよ!」

「コレはなんだ。お前のスキルか、ベル」

「はい。私の種族は<シルフィード>。四大精霊が一つ、風のシルフの亜種です。種族スキルは【風招き】と言います」

「「【風招き】?」」

「なるほど。お前の場合は風の風量を自由自在に変化させる種族スキルか」

「「強い!」」


 人によって種族スキルや固有スキル変わる。

 同じような固有スキルでも微妙にできることは違う。

 それと同じように種族スキルも異なっている。だからこそ面白くて、個性がより濃く出る。


「それによりますと、この先……二百メートル程先……ではないですね」


 ベルが一点を見つめている。

 この先にメガビブラートがいるのかもしれない。

 もちろんまだどんな姿か図鑑でしかベルは知らない。

 それでもある程度の目測を立てると、背中に背負っていた折り畳み式の弓を取り出す。


「ベル、それは?」

「私の武器です。名前は蜉蝣羽(かげろうばね)です」

「カッコいい」

「ありがとうございます。では皆さん、少し離れてください。構えますから」


 ベルは迷うことなく弓を構えた。まさに職人だ。

 この道をずっと通って来たのが窺える凛とした立ち姿。

 つい見惚れてしまうと、矢の入った矢筒から一本矢を取り出す。

 軽くて丈夫。鏃が黒く尖っている。

 

「カッコいい、もしかして見えてるのー?」

「いいえ、見えませんよ?」

「見えて無いのに、射抜けるのか?」

「ふふっ。もちろんですよ」


 ベルは何故かほくそ笑んでいた。

 一体何処から来る自身なのか、私は考えてみる。

 すると先程の種族スキルが答えだと気が付いた。


「もしかして、【風招き】?」

「……」

「当たっちゃった!?」


 確かに【風招き】ならできなくもないかも?

 よく分からないけれど、風の抵抗が完全に無くなる。

 つまりは理論上、ベルの射た矢は何処までも飛ぶ。それを体現するように全身を使って弦を引いた。


「ベル、頑張ってください」

「かなり遠くから応援している雷斬に言われたくはないですがね」

「うっ」

「「「……」」」


 雷斬は未だに離れている。木の影に隠れて応援している。

 そんな中、ベルは引いていた弦を放す。

 矢が飛んで行くと、木々の合間を抜けて飛ぶ。その速度は衰えない。ましてや落ちもしない。何処までも真っ直ぐに、あらゆる抵抗を突っ切る。


「すごっ!」

「流石の腕……あと精度だな」

「「精度?」」


 私とフェルノはただただ凄いと感じた。けれどNightはそれだけじゃない。

 ベルの射た矢は圧倒的な精度を誇っている。

 もちろん私達はポケーッとしたけれど、矢が飛んで行った先、何かにグサリと突き刺さる。


 バキッ!


「当たった!?」

「なにかには当たりましたね。見に行きましょうか」

「待って待って、それ凄すぎじゃなーい?」


 淡々と進めるベルをフェルノは止めた。

 普通に考えてこんな芸当出来っこない、

 腕を掴まれ面倒そうにするベルの顔が一瞬見えると、フェルノは顔を詰める。


「ベルって、【風招き】をどう使ったの?」

「……えっと、標的の位置を風で囲っただけですが」

「本気か? そんな真似、お前にしかできないだろ」

「そうですね。ですから私の誇りです」


 何となく私の予想は当たっていた。けれど本当にそんな真似をしてみせるなんて。

 私はドン引きしてしまいそうになるが、ベルはソッと腕を払う。

 屋の行く先を追いかけようとすると、スッと手を挙げた。


「それでは私が見てきますね」

「ベル、一人で行くの?」

「大丈夫ですよ、皆さんはここにいてください」


 そう言うと、ベルは一人で矢を回収しに向かう。

 それだけじゃないのは、仕留めた筈のメガビブラートを採取しに向かった。

 如何やら虫が触れるらしい。本当に凄いなと思ったけれど、雷斬は心配そうだ。


「ベル……」

「雷斬、やっぱり気にしてるのかな?」

「「ん?」」


 Nightとフェルノは気が付いていないらしい。

 けれど私には雷斬の思う所が少しだけ分かる。

 このままはダメ? そうとは思わないけれど、心配になったのでベルを追いかける。


「ちょっと行って来るよ」

「えっ、アキラ?」

「心配だから。なにか、無理してそうだから」


 私はベルを追いかけることにした。

 ここは雷斬もいるからきっと掻い潜れる。

 そう信じると、なにも無いことを願っていた。



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