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【リメイク版】VRMMOのキメラさん〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!?  作者: 水定ゆう
4ー1:風が舞い込んで

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115/231

◇115 シェルダーウッド

伏線回収しました!

 私達は今日もゲームの世界にいた。

 現実では七月になり、「もう夏かー」と言いたくなる季節。

 火傷しそうな暑さを前に、私達がやって来たのは鬱蒼とした森だった。


「Night、この森は?」

「ここはカイバシラの森だ」

「「カイバシラの森?」」


 私とフェルノは声を上げた。だってそんな森合ってほしくない。

 現に私達が今いるのは何処から如何見ても普通の森。

 別に貝柱っぽさは……まあ無いかな?

 流石に物申してしまうと、Nightは指を指した。鬱蒼としていて、何を指さしているのか全く分からない。


「私達が探しているのはシェルダーウッドだ」

「それは分かってるよ。それを()りに来たんだよね?」

「分かっているじゃないか」

「分かってるよ。でもそんな木何処にも……まさか!?」

「もしかすると、この森に生えている木がシェルダーウッドなのではないでしょうか?」


 雷斬の言うことには一理あった。確かにカイバシラ=貝柱って考えると納得だ。

 何せシェルダーウッドは貝のように硬い木。

 シェル=貝を現わしているって考えたら、尚更そんな気しかしない。いや、絶対それだ。


「そもそも、Deep Skyとの関係性をより築くために、シェルダーウッドが必要なんだろ?」

「あっ、そっか。イベント前に言ってた奴だー」

「うっ、あの無理難題をついにやるんだね」

「そうだな。で、その無理難題を解決するのは……」

「私ですか?」


 何故かNightは雷斬を見つめている。

 無理難題な理由は単純で、シェルダーウッドがとんでもなく硬いから。

 しかもただのパワー系ならフェルノがいる。それでも採れないのは理由があるらしい。


「シェルダーウッドは芯まで硬い。フェルノの力技も私の【ライフ・オブ・メイク】で生み出した道具もほとんど意味がない。現実離れした硬度。それがシェルダーウッドの希少性の理由だ」

「希少性?」

「何処にも生えてはいるが、流通が少ないから希少になる。非常に厄介な代物だが、雷斬の腕なら採れるかもしれない」


 Nightは雷斬に期待していた。

 正直可哀そうだと思ったけれど、雷斬は期待に応えようと胸に手を当てる。


「期待に添えられるかは分かりませんが、善処させていただきます」

「頼んだぞ。お前が頼りだ」

「はい、任されました」


 雷斬は頼られたことでスイッチが入った。

 私は無理は禁物だと雷斬に伝える。

 こうして体制が整った私達は、目の前に現れたとんでもなく巨大な木に目を奪われてしまった。


「えっと、これはなに?」

「コレがシェルダーウッドだ」

「コレが……シェルダーウッド……えっ!?」

「デカ過ぎるってー」


 フェルノは超が付く程ストレートで最も簡潔な感想を発した。

 だけど私も同じ意見で、とんでもなく大きい。

 幹は太くて背は高い。多分だけど二十五メートル以上は軽くあり、目を丸くしてしまった。


「無理無理無理無理、絶対に無理だって!」

「無理だと? まあそうだな、このサイズは無理があるな」

「そうでしょ? だから……って雷斬はどうして構えてるの?」


 私はNightに無理だと絶対抗議した。

 するとNightも分かっていたらしく、珍しく冗談のつもりだったらしい。

 流石にこのサイズは無い。ホッとしたのも束の間で、雷斬はマジになってる。


「この木を切ればいいのですね?」

「待ってよ、Nightも冗談のつもりで言ったんだよ?」

「そうだぞ。大体このサイズだと……」

「いえ、結果を残し相手に大きな借りを作るのであれば、このサイズは的確だと」

「そう言う損得勘定や貸し借りで測っている訳じゃない。いいか、このサイズは……」

「では、行きます。皆さん、離れてください」


 雷斬はとんでもなく真面目だった。目の前の木を切ることが大事だと悟った。

 流石に言っても聞いてくれそうにない。

 だけどこのサイズだ。多分Nightの心配は分かるけど、雷斬の腕でも樹皮に跡を付けるくらいしかできないかも。そう思い私達は道を開けた。


「まさかね」

「ああ、まさかそこまで考えていない筈は……」

「いっけぇ、雷斬!」

「はい」

「「ああ……」」


 フェルノは何一つ分かっていなかったけど、雷斬は少し距離を取る。

 一体何をするのか、と思えば全身から電撃が流れた。

 青白い光、種族スキル【雷鳴】を発動。眩い輝きに包まれると、シェルダーウッドに向かって走り出す。


「雷流剣術—水輪」


 雷斬は刀を鞘から抜いた。その瞬間には、木の幹の後ろに居る。

 目にも止まらぬ速さとはまさにこのことだって気がした。

 だけどシェルダーウッドには傷は何も無く、倒れる気配もない。


「お疲れさま、雷斬。やっぱりこのサイズは……」

「皆さん、少し離れてください」

「ん? 充分離れているだろ」

「いえ、その方向に倒しますので、離れてください。それっ」


 雷斬に言われ、私達は反対側にやって来た。

 それを確認してから、雷斬は木の幹を蹴る。

 軽くチョンと押すと、木はメキメキと言う怪しげな音を立て初め、次第に傾き始める。


「えっ、ちょっと待ってよ。まさか!」

「倒れますよ」


 雷斬がそう答え、木の幹はメキメキと必死の抵抗を見せる。

 けれどそれも虚しく、バッサリ倒されてしまった。

 ドス―ン! と轟音が響き渡り、森の中で休んでいた鳥達が一斉に空へと逃げる。

 巨大な切り株が目の前に生まれると、私達は言葉を失い唾を飲む。


「えっ、ちょっと待ってよ。嘘でしょ?」

「嘘じゃない。現実だ」

「現実って言うかゲームだけどねー」

「それじゃあ偽物なんだけど……これは本物だよね?」

「はい、本物ですよ。無事に倒すことができました。後はどのようにして持ち帰りましょうか?」


 二十五メートル級のシェルダーウッドは雷斬の超絶すぎる技に倒された。

 バッサリ切り株の断面まで真っ平で綺麗になっている。

 あまりにもおかしな技に頭を抱えるが、雷斬は満足そうにしていた。


「雷斬、今のなにしたの?」

「少しだけですが、技を使いました」

「技?」

「はい。雷流の剣術です。あまり人前で見せるような技では無いのですが、Nightさん、これで大丈夫ですか?」

「ん、ああ、大丈夫だ。だが、如何やって持ち帰るつもりだ? このサイズはインベントリに入らないぞ」


 雷斬の活躍を素直に褒めたいけれど、今回はそうもいかない。

 何せこのサイズはインベントリに入らない。ましてや切り分けても難しい。

 だから雷斬のやったことは手間を増やしただけ……最初から気にしていたけれど、やっぱりこうなっちゃった。私もNightも必死に止めればよかった後悔したが、とりあえず雷斬は気にしていない。一応はセーフだ。


「それでは切り分けましょうか」

「そうだな。余ったものは……引き摺って持って帰るか」

「イェーイ、なんだか上手く行ったね!」

「はい、お役に立ててよかったです」


 Nightが【ライフ・オブ・メイク】でソリを作る間、雷斬もフェルノも満足そうな顔になっていた。

 私はNightに近付き、「ありがとう」と声を掛ける。

 「気にするな」と返されると、私達はシェルダーウッドを持ち帰るため奮闘した。

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