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◇113 家具すらないなんて

まさか家具さえない物件ってヤバくない?

 私達はそれから他の部屋も探してみた。

 廊下のあちこちに隠れスイッチがあるかもしれない。

 慎重に手のひらを壁に添わせ、ザラリとした感触が無いか、神経を研ぎ澄ます。


「おっ、ここ部屋だよー」


 フェルノがまた一つ、スイッチを発見した。

 試しに押し込んでみると、凹凸が生まれる。

 自動ドアが勝手に開閉すると、現れたのはキッチン。


「ここキッチン? にしても広くない?」

「そうか?」

「そうだよ。一般家庭のお家は、こんな広くないよ」


 現れたキッチンはとてつもなく広かった。それこそ、料理店の厨房みたいに広い。

 一般家庭だと絶対に取れない間取りをしている。

 おまけに設備も科学的で、IHコンロ? みたいな何かや、電子レンジ? 的な何かまで揃っている。ファンタジー感はもう無く、SFの世界だった。


「にしても殺風景だな」

「「確かに」」


 いくら設備が良くても、ノッペリとしているのは変わらない。

 何処までも殺風景で気持ちが乗らない。

 そんな私達は次の部屋を見つける。


「ここはなんだろう?」


 私は奥の方にある部屋を見つけた。何やら隠されている感じがして楽しみ。

 きっと凄い部屋に違いないと、開ける前から期待すると、自動ドアが開閉。

 私は中の様子を見ると、絶句……否、凍り付いてしまった。


「な、なにこれ?」


 部屋の中は真っ暗闇。おまけに血見たいなニオイがする。

 換気が行き届いていないのか、それとも……まさかね? そんな訳ないよね。

 私はゴクリと喉を鳴らすと、最悪の想像をしてしまって気持ちが悪くなる。


「うえっ」

「どうした、アキラ?」

「大丈夫? って、また新しい部屋見つけたんだ。よーし、その部屋も調べて」

「もう終わったよ!」


 私は慌てて部屋を閉じる。こんな部屋、二人にまで見せられない。

 首を捻って同然疑問を持たれた。

 それでも私はなにも言わない。ドクロマークのステッカーを張り、二人を連れていち早く部屋を離れた。



「それにしても、色んな部屋があるよね」


 私はポツと呟いた。多分だけど、あれから一時間以上は経ってる。

 それで見つけや部屋の数はえーっと……たくさんだ。


「そうだな。これだけで百以上の部屋を見つけた。ステッカーが足りない」

「あはは、まだ部屋もありそうなのにねー」

「そうだな。とりあえず次が最後の部屋にするか」

「そうだねー。疲れたもんねー、みんなはそうでしょ?」

「フェルノは相変らずだな」

「元気元気。まだまだ行けるよー」


 無尽蔵の体力を、フェルノは見せつけてくれる。とは言え、一旦今日はこれでお終い。


 この謎の建物にはたくさんの部屋が眠っている。

 一つ一つ探すのはとても大変で、メモしていたNightも疲れている。

 だから今日は最後にする。もう一つだけ部屋を開けると、待っていた景色はいつも通り。


「ここは広い部屋だね」

「そうだな。リビングには使えそうだが」

「なーにもないねー」


 すっからかんにも程があり、どの部屋とも大差ない殺風景な景色。

 私達は感想の一つも浮かばなくなってしまった。

 それだけ当り障りのない部屋で、落胆しそうな心を留める。


「変なものも無いか」

「そうだね。家具すら無いもん……ねっ?」

「ん? どうした、アキラ。なにか見つけたのか?」

「うん。アレ、またスイッチかな?」


 部屋の中を見て回る私達。特に変わったものは無い。

 クルリと振り返り、部屋を出ようとする私。

 すると壁にスイッチがあることに気が付く。壁に溶け込むように隠れていた。


「あれー、スイッチだよー?」

「そうだな。押してみるか?」

「押しちゃって大丈夫なの? もしかしたら罠かもしれないけど」

「ここまで来てそんなことが……あるか」

「うん。多分、電気なんだろうけど……今更だけど、なんで電気が通ってるのかな?」

「そんなの後々―。えいっ!」


 フェルノは何の躊躇いも無くスイッチを押す。

 すると突然景色が一変した。


「「「うわぁ!?」」」


 流石に私達は同時に声を出した。それくらい不思議なことが起きた。

 何を隠そう、部屋の中の様子が変わった。

 殺風景だった部屋。もちろん家具は無いけれど、部屋の模様が真っ白なから、気持ちのいい洋館の広間に変わった。


「な、なにこれ!?」

「どうなってるんだ。突然部屋の模様が……感触も本物だ」

「あはは、面白いねー。もう一回押したら……あれ、押せない?」

「嘘っ、一回だけなの!?」


 何もかもが不思議だった。スイッチを押した途端に部屋の模様が早変わり。

 ましてや一回しか押せないみたいで、そのまま固定されてしまう。

 おまけにもう一つ。この模様替えは立体映像なんかじゃない。ゲームの中なのは置いておくとして、触ってみると本物の感触が伝わる。特に床の絨毯なんて気持が良すぎる手障りだった。


「信じられない。一体何が起きているんだ」

「Nightにも分からないの?」

「この状況を丸分かりできる奴がいたら会ってみたいな」

「確かにー。不思議だよねー」


 もうその一言でしか解決できない悩みだった。

 私達は謎の陣個物の凄さに触れる。

 考えることを止め、ただ殺風景じゃなくなった部屋をリビングにし、床にペタンと座った。やっぱり椅子が欲しい。そう思った矢先、突然メッセージが届く。


「おっ!?」


 油断していたタイミングだったから、私は驚いちゃった。

 目を開くと、目の前には届けられたメッセージを開くよう促し掛けるアイコン。

 私はメニューを開き、メッセージバーから新着メッセージを開くと、簡潔な内容と名前が表示されていた。


「みんな、急いで噴水広場に行こう!」

「ん? なんだ、なにかあったのか?」

「ダンジョンに冒険に行くのー? 行こう行こう、鈍る前に行こうねー」

「そうじゃないよ。雷斬からメッセ」

「「雷斬?」からー? なんでだろうね」


 私は流れで雷斬とフレンド登録した。

 けれどこんなに早いタイミングでメッセージが送られるなんて、何かあったに違いない。

 メッセージの内容も意味深で、少しだけ不気味だ。



雷斬:〔お伝えしたいことがあります〕

—覚悟が決まりました。お呼び立てして申し訳ございませんが、スタットの噴水広場までお越し願います—



 となっている。

 私は二人にもメッセージを見せると、神妙な顔をされた。


「雷斬が、なんの用だ?」

「分からないけど、行ってみようよ」


 雷斬から呼び出すなんて珍しいと思う。

 ましてやまだ一回しか付き合いの無い私達だ。

 きっとなにかある。Nightは疑っているみたいだけど、それはすぐに晴れた。


「うーん、そうだな」

「Nightが素直だ。素直に返してくれた!」

「私を難だと思っているんだ。雷斬は裏表のある人間じゃないだろ」

「確かに」


 初対面の時から伝わる善人のオーラ。

 忘れちゃいけないと悟り、首を縦に振る。


「それじゃあ決まりだねー。待たせちゃってるかもだからー、早く行こっか」


 私達は建物探索もそこそこに切り上げた。

 それから向かうのは噴水広場だ。

 雷斬が待っているらしいけど、なんの用かな? 後、覚悟ってなにかな?

 私は色んな事を考えると、もう一つ気になることがあった。メッセージがちょっと読みやすくなっていた。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


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また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。

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