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【リメイク版】VRMMOのキメラさん〜モンスターのスキルを奪える私は、いつの間にか《キメラ》とネットで噂になってました!?  作者: 水定ゆう
3ー2:謎が未知満る島

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112/231

◇112 ツルツルのテカテカ

擬音、モリモリ。

 私達は意を決して謎の人工物の建物に、足を踏み入れた。

 そこで私達を待っていたのは、思いもよらない光景だった。


「こ、これは……」


 私は言葉を失った。失っちゃった。

 目の前の景色、それこそ“無”が広がっている。

 そう、ここにあるのは“無”だった。


「うわぁ、白いね」

「そうだな。白いな」

「白すぎて怖いよ」


 建物の中は信じられないくらい白かった。もう真っ白っていうより眩い白だった。

 それこそ床も壁もツルツルしていてテカテカしている。

 コーティングが行き届きすぎていて、目がチカチカする。


「ううっ、ちょっと痛いね」

「そうだな。あまり見すぎるなよ。目に悪いからな」

「でも見ないと先には進めないよ?」

「それは分かっている。だが、進まない訳には行かないな。壁と伝うぞ」


 私達は一斉に壁に寄り掛かった。

 目を細め、眩しすぎて痛くなった瞳を閉ざす。

 ゆっくり進むと、一つだけ……いや、何個も奇妙なことがあった。


「ねぇ二人共。この建物、近未来だよね?」

「そうだな。私の所有している施設と同じくらいには近未来感がある」

「施設ってなに? そんなの持ってるの!?」

「研究施設くらい、そこそこの富裕層なら誰だって持っているだろ。驚くな」

「驚くっていうか、言葉が出ないよ……」


 正直、軸がブレている気がする。話の軸が勝手にズラされてしまうと、私は頭を抱える。

 けれど建物が近未来感満載なのは分かっている。

 ファンタジーを完全にブチ壊していて、私は呆れもしない。


「後、なんにもないよ?」

「そうだよね。なんにもないよね」

「うんうん。外ものっぺりしてたけど、建物の中ものっぺりしてない?」

「明らかに異質で異物だよね。なんのためにこんなもの」

「……プレイヤーになにをさせる気だ? なにを期待しているんだ?」


 Nightが面白いことを言った。明らかに運営の目線の話だ。

 確かに視点を変えてみれば考え方も一変する気がした。

 何せ、私達が見つけたこの建物は、人間の恐怖心を刺激するのと同時に、好奇心も刺激している。大抵の場合、様子を見たくなるのが普通だった。


「もしかして、プレイヤーに見せるために?」

「その可能性はあるな。例えば、私が解いたあの謎。それに対する報酬だとすればどうだ?」

「そう言えばこの鍵って副賞だったけど、あの意味が分からない謎解きの成果だもんね」


 Nightが言いたいのはシンプルだ。謎を解いたから謎っぽい物が貰えた。

 満島って名前も不明、謎の人工物の正体も分からない。

 それから……


「廊下長いよね!?」

「うんうん、この通路長いよー」

「それと他の部屋が無いのか? 扉らしきものは……ん?」

「どうしたの、Night。って、なにっ!?」


 Nightが面白いものを見つけたらしい。

 立ち止まって壁に指を押し込むと、のっぺりとしていた壁に凹凸が生まれる。

 急に扉が出現すると、自動ドアだったのか、スライドして勝手に開いた。


「うわぁ、凄い」

「ここって、研究室かな?」

「そうみたいだな。とは言え、綺麗すぎる」


 ドアの向こう側にあったのは大きな部屋。

 たくさんのテーブルが置かれ、壁にはガラス戸の扉が設置されている。

 

中に入っているのはビーカーとかフラスコ。まるで理科室だ。

一発で研究室だと分かると、Nightは部屋の様子の問題を指摘する。


「確かに綺麗だけど、掃除が行き届いているんじゃないかな?」

「そうだとしても、埃の一つも落ちていないぞ」

「埃は……無いね?」

「そうそう、全然無いねー。でも、そう言うものじゃない?」

「それで考えることを辞めれば人間はお終いだ。私はそう単純じゃない。この部屋、“一度も使われていない”な」


 Nightの見立ては正しそうに感じた。

 私もこの部屋を見た瞬間、とっても無気力になる。

 人のいた気配も思い出も無い。ただ箱が用意されているだけで、空虚過ぎた。


「気持ちが悪いね」

「うーん、確かに気持ち悪いかもー」

「だが、ここに有る物は使えるぞ。とはいえ、専門的な知識が無ければ危険なものが多そうだが」


 研究室なんて、多分欲しい人はとっても少ない気がする。

 少なくともうちにはNightが居る。

 きっと使いこなしてくれる筈。私はNightに期待した。


「それじゃあ出よっか」

「なんか入っちゃダメだよねー?」

「そんなことは無いぞ。とは言え、この部屋は一旦見なかったことにするか」


 そう言いつつ、Nightはメモを取り始めた。

 忘れないようにデジタルで取り留めると、部屋をソッと出る。

 すると自動ドアが急に閉まり、凹凸部分が無くなってしまった。


「あれ、自動ドアが無くなった」

「なるほど。スイッチ式か」

「「スイッチ式?」」


 そう言えば如何して自動ドアが開いたんだろう。

 私とフェルノが首を捻ると、Nightはシールを張る。

 赤いステッカーが壁に貼られると、丁寧に教えてくれた。


「いいか。ここにスイッチがある。触れば分かる」

「触ればって? あっ、本当だ」

「ここだけザラザラしてる」


 何の特徴もない丸いステッカーが貼ってある部分だけ、壁がザラザラしていた。

 手触りが良く、丁度指先に噛み合う。

 これなら一発で分かると自信を持つと、Nightは建物内部を隅々まで見てみる。


「どうやらもう少し見て回るしかないだろうな」


 本当に不思議な建物だ。

 今の時代でもとんでもビックリな機能が満載。

 私も壁を触って回ると、早速スイッチを探してみることにした。

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