◇101 女侍を助けたら?
”女侍”なんて言葉、初めて使いましたよw
ここまで読んでくれた猛者たちよ、100話記念にレビューくれくれお化け~
「ううっ……」
「あっ、Night・フェルノ、起きたよ!」
「ここは……」
ギラギラとした太陽の陽射しが、私達を照らし射る。
そんな中、ようやく解放した少女は目を覚ます。
薄っすらと瞼を開けると、視界に映り込んだのは三人の少女達。
私達のことを不審に思いながら見つめると、体をすぐさま起こして刀を手にする。
「離れてください」
「えっ?」
日本刀を鞘から抜いた。
あまりにも素早く、普通に考えて避けるなんて無理。
だけど私は慣れているので、一番近くにいたけれど、無事に怪我をせずに済んだ。
「ちょっと危ないよ!」
「す、すみません。ですが、何故……私、に……」
「お前が倒れたからだろ」
突然攻撃を仕掛けて来た少女は全身から汗を流す。
しかも湿った生々しい汗で、疲労を露わにしている。
そんな少女にNightは溜息を吐く。介抱したにもかかわらずで、私は仕方ないと思って宥めようとした。
「私が、倒れた?」
「そうだ。熱中症で倒れたんだぞ」
「熱中症……はっ、ではこの点滴は」
「私達が用意したんだよ。とっても辛そうだったから、助けてあげたくて」
私は何とか聞き入れてもらおうと思って、必死に説明した。
弁明の様な形になっちゃったけど、その想いが伝わったらしい。
手にしている刀を鞘に納めると、全身から殺気を殺した。
「ふぅ、すみませんでした。助けていただいたにもかかわらず、なんと言う無礼を働いてしまったのでしょうか。本当に申し訳ございませんでした」
「あっ、えっと……」
「律義な奴だな」
「だねー、そんなのいいのにー。後さー」
「ふぅ……あっ、体が」
少女は急に素に戻り、血圧の流れが急上昇から急下降した。
そのせいか、ゲームの中とは言え体を崩す。
フラリと足下から崩れると、砂漠の砂の上にしゃがみ込んでしまった。
「ダメだよ、安静にしていないと」
「しかし、これ以上厄介になるのは」
「今更言っても仕方が無いだろ」
「あはは、追い打ちだー」
少女は私達にこれ以上迷惑を掛けるのを嫌がった。本当に律義で真面目だ。
そんな中、Nightは一切容赦しない。
今更と決めつけて少女の心を抉ると、つい瞼を閉じ前髪が表情を隠す。
「そうですね。本当に、なんとお礼をすればよいのか」
「お礼なんていいよ。それよりもう少し休もう。ねっ」
「ありがとうございます」
「そこはかたじけないとかじゃないんだ」
「かたじけありません」
「ありがとう、フェルノのノリツッコミに乗ってくれて」
少女はとても真面目なので、求められることをする。
自分の格好が武士っぽい、まさに女侍。
だからこそ、言葉遣いをキャラに合わせるが、そんなことしなくてもよかった。
「それで、どうしてこんな所にいたの?」
「そうだな。砂漠に来るなら水分を忘れたとか言うなよな」
「実は……」
「まさか、初期位置か!?」
「うわぁ、それは災難だったねー。うんうん、地獄だよねー」
少女が何故熱中症になったのか。砂漠を歩いていたからだ。
ましてや水分補給もまともに摂れなかった。イベント参加中は、リタイアしない限り街に帰れないからだ。
おまけに初期位置なんて災難だ。どれだけLUK(運)のパラメータが下がっていたのか、私は少女を気の毒に思う。
「大変だったね。それじゃあ、メダルは?」
「残念ながら、あまり」
少女はそう言うと、インベントリの中からメダルを取り出す。
星一つのメダルがほとんどで、枚数も少なめ。
十枚以下しか集まっていないから、正直優勝は難しそう。
って、私達もそんなに集まっていないけれど、もっともっと大変そうだった。
「あっ、そうです。助けていただいたお礼に、どうぞお受け取りください」
「「はっ!?」」
「ダメだよ、流石にそれはダメだと思う」
少女は助けたお礼にメダルをくれようとした。
流石にそんなのダメだ。私は第一声から断る。
すると少女は首を捻り、頭の上にハテナを浮かべた。
「何故でしょうか?」
「何故もないよ。だって、そんなことしたら……」
「私は初めから優勝を狙っていませんので、どうぞお受け取りください」
少女はメダルを差し出し、私の手の中に押し込もうとする。
だけど私はそれを全力で拒否。
コレは受け取っちゃダメな気がした。受け取るなら、もっと良い物がある気がする。
「ダメだって。それにまだ時間はあるよ」
「それはそうですが、私はなにもお礼ができません。そのような真似、私は致しかねます」
「律義だな、本当に」
「うんうん、真面目って言うか律義だねー。面倒だよねー」
「面倒ですか。私も親友からよく言われます。ですがそれが私ですので、なにかお礼をさせてはいただけませんか?」
「どんだけ律義なんだ」
どれだけ言っても聞いてくれそうにない。
こうなったら何か方法を考えよう。
私は頭の中で意識をフル回転。いつもの自分らしくない、豪胆さを見せる。
「それじゃあ私達の護衛をお願いできない?」
「護衛ですか?」
「おい、そんな必要無いだろ」
「あはは、Nightさーん」
私は強引なまでに自分勝手だった。
少女に対し、Nightにした時と同じようなことをする。
強い芯のある瞳を向けると、流石に私を止められない。
「貴女も今は一人だと大変でしょ? だったらこのイベント、最後まで一緒に行動しない?」
「それは構いませんが、皆さんは私が護衛をしなくても強そうですが」
「そんなことないよ。それより、ダメかな?」
私は答えを迫ってしまった。
けれど少女の答えは決まっているのか、コクリと首を縦に振る。
「分かりました。私に護衛をさせてください」
「ありがとう。それじゃあ私の名前、私はアキラ。こっちはNightでこっちがフェルノ」
「略すな」
「あはは、よろしくねー。んで、貴女は?」
私は淡々と自己紹介をした。
もちろん、Nightとフェルノの名前も流す。
すると少女はポニーテールを揺らし、芯のある瞳を向ける。
「私は雷斬と申します。雷を斬り裂く。それが私の名前です」
「雷斬……よろしくね、雷斬さん」
「雷斬で問題ありませんよ」
「そっか。それじゃあよろしくお願いね、雷斬」
女侍の雷斬を仲間に加えた。
とりあえずこれで砂漠探索が楽になりそう。
だけどメダルなんて見つかるのかな? 正直バカみたいな話だけど、私達は頑張るしかなかった。
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