結
受雷と真美の旅。
翌日の津堅島。
受雷と真理は和子たちと共に島を満喫した。
しばし、事件を忘れ、マリンアクティビティや自転車でサイクリングを楽しむ。
翌々日島を離れる日、フェリー乗り場には、和子たちが見送りにきてくれた。
和子、真理、凜、佐為が2人に別れを惜しむ。
「じゃあな。世話になった」
受雷は無愛想に感謝を告げる。
「もう。ちゃんとありがとうって言いなさいよ」
真美は苦笑いを浮かべる。
「私たちも明日、広島へ帰ります」
真理が言い、凜は頷いた。
「そっか、和子、じゃ寂しくなるな」
受雷は慮った。
「そうね」
和子は静かに目を伏せた。
「俺がいるさー」
佐為が胸をはる。
「あんたはいいの」
皆から一斉に笑いがおこった。
レンタカーでの帰り道、2人は瀬底島のウミカジテラスに寄って、海が見えるおしゃれなカフェテラスでタピオカドリンクを飲んだ。
受雷はミルクティー、真美はマンゴー味で、ちびちびと飲みつつ、事件と旅の疲れから2人は、ぼんやり海を眺めて無言だった。
ふーと息を吐く真美。
「でも、何だったのかな」
彼女の横顔を見て受雷は言った。
「何が?」
「あの展望台で見た女の人」
「ああそれか」
「やっぱり葵さんかな・・・それとも」
「そうだな」
受雷は目を伏せた。
「あの島は喜びも悲しみも背負っている。だからずっとみんな見守っているんだ」
「そう」
「ああ」
受雷と真美は津堅島の方角のある夕焼け空に目を移すと、しばらくじっと眺めた。
おしまい。
完結まで読んでいただき感謝です。