ぷろろーぐ 。
「 あら 、今晩は 。 魔王様 、我が国の戦力を受けて どのような気分かしら ? 」
目の前にいる 金髪の姫は “ 彼女 ”に向かって そう嘲笑う 。
そう 、彼女 、とは 姫が呼ぶ 魔王様 である 。
エマディリア・フラウ・クラウディアは 魔王だ ・・・ 少々変わった類の 、ではあるが 。
黒の魔猫 。 これが 本人が名乗った訳では無く 城下の人間が付けた エマディリアの二つ名であった 。
話を戻して 。
「 魔王様なら知っていて当然でしょうけれど 。 わたしは 蒼花 って 言うのよ 。 」
ぱさり 、と 自信ありげに髪を振り払った蒼花は そう言って胸を張る 。
自分より遥かに小さな魔王に 対抗しているつもりなのだろうか 。
見てくれはまるで幼女の魔王は 瞼を開いた 。
美しい 、青い瞳が 蒼花を見据えた 。
「 姫様は余程自信がありげに見えるな 、」
「 あら 当然じゃない 。 貴女の前で取り繕うのも面倒なのだもの 」
「 ・・・ ふぅん 、」
エマディリアは 興味が無さそうに 彼女の黒髪を弄る 。
蒼花は 気を害した 、とでも言うように エマディリアの前で喚き散らした 。
「 ・・・ ッ 、だっ 、大体ねぇっ ・・・ ! 貴女みたいな醜女がこーんなに大きなお城に住んでいるのが とてもとても不愉快なのよ!! 早く 、消えてくれない? 」
エマディリアは 醜女と言われたことを華麗にスルーして 言葉を返す 。
「 性格醜女が 。 大層我儘に育てられたようで何よりだな 」
ゆらりと美しく長い黒髪を揺らしてエマディリアは玉座から立ち上がる 。
彼女は蒼花を見下ろし 、言った 。
「 此処は 我が創った ・・・ “ 彼奴ら ” の 、心の ・・・ 安寧になるように 。 そう我が願って創った 、大事な ・・・ 大事な 、場所だ 。 お前のような 性格醜女に奪われて ・・・ たまるか 、」
唇を噛み締め 、悲しげにエマディリアは言った 。
蒼花は目を見開き 、言い返す 。
「 あら 、わたしは全てが可愛くて 、美しいのよ 。 性格醜女 、だなんて ・・・ 、」
確かに可愛らしいその顔に 、蒼花は怒りを滲ませ 、歪ませる 。
「 貴方の気持ちなんて 知らないわけが無いの 。わたしが欲しいから 、寄越せ 、と 簡単に行ってあげているだけのこと 。 そんな事もわからないのかしら 。 はぁ 、馬鹿な主だから 配下の四天王とか言う人たちも不戦敗とかいう馬鹿な結果に出るのよ 。」
蒼花が四天王 、という言葉を口に出した瞬間 。
エマディリアの目の色が変わった 。
青い瞳に 怒りの色を滲ませて つかつか 、と 蒼花に詰め寄る 。
片手には 、青白い炎を纏った 大振りな槍を 。
もう片手で 蒼花の豪奢なドレスの胸倉を引っ掴み 、エマディリアが吠えた 。
「 我の大事な 、四天王達の事を 悪くいうんじゃない 。 少なくとも 、彼奴らはお前よりも 優しく 、強い !! 」
「 ひっ 、 」
蒼花は 心の底から怯えたように 顔を真っ青にする 。
ぱっ 、と 胸倉を掴んでいた手を離し 、どさり と 腰を抜かして床にへたり込む蒼花を尻目に エマディリアは槍を持っていた手を後ろに掲げ ・・・
光よりも早く 、その心臓目掛けて ぶん投げた 。
「 ッ 、あ 、?! 」
蒼花は くずおれる 。
彼女は 「 知っていた 」はずであった 。
エマディリアが 四天王達のことを 愛していた事など 、
城下町では 専らの噂であった 。
・・・ だが 、蒼花は 聞き落としていた 。
エマディリアは 、四天王達の為ならば 。
その 「 世界 」を 敵に回してでも 四天王達の為に 秘めた力を解き放つ 、ということを ・・・ 。
戦闘は終わった はず 、だった 。
エマディリアは再び目を伏せ 、魔法で視点を飛ばしては 愛した四天王達の満身創痍を確認する 。
確認し終え 、視点移動を解除すると 、彼女は自嘲気味に笑った 。
「 ・・・ はは 、守れなかった 。 約束したのに 、この命に掛けて 誓ったのに 。」
ぺたり 、と 床に座り込んだエマディリアは 小さな両手を眺めて ぽたぽた 、と 涙を流す 。
「 死ねもしない 、守れもしないなら 。 こんな広大な力なんて 必要ない ・・・ 、」
震える指で エマディリアは 目の前の空間に 魔法陣を書き出す 。
魔法陣を完成させたエマディリアの目の前に 光輝く錠が降りた 。
エマディリアは目を閉じ 、眠る 。
彼女が自分に施したのは 、無期限の 封印の魔法であった ・・・ 。
初投稿です 。
四天王達はそれぞれ 、
羽月 麗華 ( はづき れいか ) ( メイド様 )
天川 愛 ( あまかわ あい ) ( 騎士様 )
椎名 椿 ( しいな つばき ) ( 魔女様 )
ムルハイヤ ・ ギルタミン ( 愛称は ムギ ) ( 吟遊詩人 )
と 言います 。
彼らが今後 どのように出てくるのかは お楽しみに 。