十五 そして四人が集うa
そういえば、ふと思う。
偶然にも師匠とコノハと行き会うことができた。
だったら師匠にコノハの事を紹介してみるのもいいのではないか?
出会った経緯が経緯なものだから、私達三人は謎の連帯感とともに、昼食を三人で食べることとなった。
場所は色々と考えたが、無難にギルドだ。
一番近かったからね。
ギルドの食堂部分でそれぞれ食べるものを頼んで、昼食にする。
アルコールを入れる選択肢もあったけど、気分ではないので遠慮した。
師匠はこの後、特に当てはないけど市場を回ろうと考えていて、コノハはそもそもお酒は飲まないそうなので全員アルコールは無しだ。
そうして食事に手を付ける段階で、改めて師匠にコノハを紹介する。
「というわけで改めて、彼女がここ最近面倒を見ることになった冒険者のコノハです」
「よ、よろしくお願いします」
「君もいよいよ後輩の面倒を見るようになったか……まぁ、三年もギルドと仲の良い冒険者をしてれば当然な気もするけど」
「それで――」
うんうん、とうなずく師匠が、運ばれてきた飲み物に手を付ける。
「――コノハは、実は光属性と闇属性の魔術に適性がある勇者なんです」
「ぶふぅーーー――――っ!」
師匠!?
リアルで飲み物吹き出して驚く人初めてみたよ!?
じゃない!
慌ててこぼれた飲み物をタオルで拭きつつ、
「師匠大丈夫ですか?」
「ごほ、ごほ、ゆ、勇者って……あの勇者かい?」
「あ、そ、その勇者です……」
律儀に、コノハが答えてくれた。
師匠はなんとか気を取り直すと、改めて飲み物を一口飲んでから話を再開する。
「いや……クロナくんが規格外なのは知っていたけど、人との出会いも規格外だったとはね……」
「師匠は私を何だと思ってるんですか?」
「じゃあ改めて、Bランク冒険者でクロナくんの師匠のアスノだ。よろしく、コノハくん」
スルーされた!?
一応さっきも名乗ったけど、腰を落ち着けて改めて挨拶を交わす。
おっかなびっくり差し出された手を握り返したコノハを見て、私も一安心。
ここまで驚かれるとは思わなかったけど、師匠もコノハに対して好意的に接してくれた。
まぁそもそも勇者ですって名乗られてもなにそれ……となるのが今の時代なので、そうそう変なことにもならないだろうけど。
シロナ様って勇者なんだよっていうと、「そうだったの?」って返されるからね、一般的に。
「それにしても、勇者か……私も話に聞くだけだったけど、本当に実在したんだね」
「まぁ、現れるのは百年に一度程度だそうですから、師匠の年でも出会う機会がないのは当然だと思いますよ?」
「私の年齢に言及する必要はあったか?」
ないです。
そもそも師匠は人間換算でまだ二十代なので、年齢を気にするような年でも性分でもないです。
ともあれ、今はコノハのことだ。
「私に紹介してきた辺り、色々と困ってるんだろ? 私に教えられることなんて、せいぜいが旅の心得とか冒険者としての過ごし方とかそんなだが」
「それが一番欲しかったんですよ……! コノハは……って戦闘の才能がすごくあって、特に魔術に関しては教えることがなにもないくらいなんです」
「え、あ、きょ、恐縮です」
流石に、親しい二人の会話に入っていける度胸はコノハにはないだろう。
私達の会話を聞きながら、視線を向けられたことで返事をしてくる。
かくかくしかじか。
まずは師匠にコノハの事を話すことにした。




