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八 ぬちょぬちょでべとべとなc

「ミアさん!!!!!」


 もはや我慢ならぬ。

 もはや生かしておけぬ。

 もはや許しておけぬ。


「クロナさん、それってまさかシュワスプリンガーの……」

「そうですよ!!!!!」


 私は今、ギルドにいた。

 水属性の魔術を使えない私が、魔物の白濁をなんとかする方法はギルドで水魔術スクロールを借りてシャワーにするしかない。

 宿にも何枚かあるけど、ギルドの方が早いのだ。

 ああもうなんでこういう時に限って、水魔術スクロールを持ち歩いてないかなあ!!

 普段から持ち歩いてませんでしたね、はい!

 他にも隔壁とかの魔術で粘液が飛んできても大丈夫なようにすればとか、言いたいことは色々あるけど。

 そもそもあんな事故が起きなければ、そういう工夫は必要ないんだよ、普通。


 ちらちらと、周囲から視線を感じる。

 女性の酷く同情的な視線と、男性のどこか卑猥な視線だ。

 今日は安息日というものの、ギルドには酒場の機能があるため冒険者はギルドに集まってくる。

 おかげで普段とさほど変わらない人混みの中、私は羞恥プレイを強いられていた。


 めっちゃ恥ずかしい。

 女になって、結構経つがこういう視線には未だに慣れない。

 普段はそこまで露出のある服は着てないし、発育もそこまでいいわけではないので、たいして視線を集めることはないのだが。

 時折こうやって自分の女性としての部分を意識させられると、なんというかむず痒くなる。

 普段はアレだよ、慣れで特に気にしなくなっているだけ。

 いやまぁ、慣れってすごいもので、今ではそれなりに女性的な生活や行動も板についてきた……と思うけど。

 こういう視線だけは、未だに慣れない。


「と、とりあえず水魔術スクロールを持ってきますから、奥の部屋でそれを洗い流しましょう、クロナさん」

「ありがとうございます。これ以上ここにいたら羞恥心で消えてなくなっちゃうよ、私」


 ぎゅっと両腕で身体を抱きしめると、もう何ていうか、そういう絵面にしか見えなくなって。

 前世の私がえっちだなぁ、と思うのと同時に、今の私が消えてなくなりたいと思う。

 とにかく、ちょっと筆舌し難い状況のまま、私はミアさんに言った。


「多分、シュワスプリンガーの掃討クエストを出したほうがいいと思います。そろそろ飽和しそうです」

「そうですね……招集をかけておきます」


 掃討クエスト。

 それはすなわち、新人君たちが放置したことで増え続けたシュワスプリンガーを一斉に討伐するクエスト。

 多分、ギルドが用意する数多あるクエストの中で、もっとも人気の低いクエストだ。

 理由は――まぁ、今更言うまでもないだろう。


 ……そういえば、これはちょっと気になったのだけど。

 私がダンジョンを歩き回っている間、時折私が倒した覚えのないシュワスプリンガーの白濁を見かけた。

 それってつまり、私以外の誰かが今日、シュワスプリンガーの討伐クエストを受けていたということになるのだけど。

 どうして、わざわざ安息日にクエストを受けたのだろう。

 私は、そこに少しだけ引っかかりを覚えるのだった。

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