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八 ぬちょぬちょでべとべとなb

 さて、そういうわけで私は粘液を浴びないようにシュワスプリンガーを遠くへふっとばしてから石片を射出して破裂させているのだった。


「それにしても、不思議だよねー。ただ石投げても吹っ飛ばせないのに、魔術で飛ばすだけで吹っ飛ばせるんだから」


 いいながら、次のシュワスプリンガーを見つけて足元に落ちている小石を拾い上げる。

 軽く魔力操作をして、腕に力を込めると、私は振りかぶって小石を投げた。


 シュワスプリンガーがその小石にあたって吹っ飛ぶと、しばらくして空中で止まる。

 相変わらず、魔物は無傷だ。


「これ、ランペイジボアの皮膚にも突き刺さる速度なんだけどな?」


 なお、流石に倒せるわけではない。

 ともあれ、いい感じに吹き飛ばせたからこのままとどめを刺そう。

 私は手を前に突き出して、意識を集中させる。


<剣山!>


 直後、シュワスプリンガーにぶつけた小石が、ニードル型の岩になってシュワスプリンガーへ突き刺さり、破裂させた。

 ぱーん、という音と共に、白いアレを撒き散らす変態。

 もといシュワスプリンガー。

 十分距離を取っているので当たることはないが、やっぱり見た目がアレだ。

 これ、R-15タグつけないで大丈夫かな……

 まって何の話?


「ふぅ、にしても今日はシュワスプリンガーを結構見かけるな……」


 というか、ダンジョンに入ってここまでシュワスプリンガーしか見かけていない。

 普段だったらもう少し、別の魔物も見かけるのだけど。

 ……ちょっと、嫌な予感がする。


 そういえば前に上層には近くに別の冒険者がいるから安全、といったけど今日は冒険者の気配もない。

 これは単純に、今日が安息日だからだ。

 この世界にも曜日の概念は存在する。

 当然、週末は休むものという概念も存在し、日曜は前世で言う安息日――休むことを推奨された日だ。


 なぜそんな日に私がダンジョンへ潜っているかといえば、安息日にダンジョンへ潜る冒険者もいるからだ。

 でも、全員ではない、平日と比べればその数は雲泥の差だろう。

 なので、安息日に窮地に陥っても助けがないことがある。

 しかし、私が安息日に上層を探索するようにしていれば? もしかしたら、助かる命もあるかもしれない。

 というわけで、私は安息日をダンジョン内の不人気討伐クエスト消化に当てることとしている。

 少なくとも、これまでに何度かそれで生命を救った冒険者はいるからね。


 というわけで私は、目につくシュワスプリンガーを討伐しながら、ダンジョンを進んでいた。

 これまでに討伐したシュワスプリンガーは11体。

 普段の状況と比べると、あまりにも多い。

 誰の目から見ても、これが異常であることは明らかだった。


 とはいえ、今は私が終わりにすると決めた時間までダンジョンを探索し、シュワスプリンガーを倒していくしかない。

 そして今も、


「また見つけた」


 新しいシュワスプリンガーを見つけて、私はそれを討伐することとする。

 気づいたのが早かったおかげで、距離はだいぶ離れていた。

 これなら今回は特に奇をてらうことはなく、拾った小石を射出して倒すのがいいだろう。


 私はそう思って小石を拾い上げ、構えると、


<射出!>


 それを、放った。


 ――この時、私は本当ならある可能性を想像しておくべきだった。

 これだけシュワスプリンガーが多いなら、例えば――



 ダンジョンの死角から飛び出してきたシュワスプリンガーが、ちょうど私の放った石の弾丸の射線上に現れる……とか。



「あっ、ちょ!」


 いきなり現れたそれは、盛大に爆発した。

 私の目と鼻の先で、回避する暇もなく。


 破裂したシュワスプリンガーの白濁液を、私はまともに受けてしまうのだった。(フラグ回収)

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