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悪役令嬢?何それ美味しいの? 溺愛公爵令嬢は我が道を行く  作者: ひよこ1号


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いつか一緒に冒険に

マリアローゼは謹慎中のため、晩餐は部屋で摂っている。

本来ならば1人寂しく食事をするのだが、マリアローゼの希望でルーナやオリーヴェ等の女性使用人と、客人扱いのカンナとユリアが参加して、さながら女子会の様相で和気藹々とご飯を食べていた。


流石は公爵家の料理人達は優秀で、マリアローゼの開発したマールケチャップを使って作られた、

エビのマールクリームソースという甘みと爽やかさが秀逸なパスタを美味しく頂いていた。


「えーヤバ。これマジで美味ですねぇ」


嬉しそうに笑顔で食べるユリアに、マリアローゼがふと問いかけた。


「そういえば、ユリアさんはご自身でお料理などされますの?」


「ええ!孤児院にいた頃は年長者が料理当番も任されますし、と言っても私もユウト兄さんも割とすぐに異端審問官として別の施設で訓練してたので、その先はどちらかというと野外演習の一環みたいなサバイバル飯が多かったですけど。教会では食事も出ますけど、出先は場所によっては出ないので自活しないとでしたからねぇ」


にこにこと語られる過去をマリアローゼは興味深そうにふんふん、と相槌を打ちながら聞いている。

ウナの料理は過去の記憶からきているとしても、焼き加減には確かにうるさそうだった事を思い出してマリアローゼは納得した。


「カンナさんもお料理できますよね?」


とユリアに話を振られて、カンナは食事の手を止めて頷いた。


「うちは兄弟が多いので、家にいた頃は料理はしていました。あとは冒険していると野宿もするので、狩猟や料理も自分達でしていましたね。あ、でも公爵邸で頂くような上品なお料理ではありませんが」


苦笑するカンナに、ユリアもあはは、と笑った。


「いやー庶民の料理か教会の料理か狩猟料理が一般的ですよ。貴族の料理なんて平民の口には入りませんからね。高級宿屋も平民お断りの所が多いですし」


「まあ、そうでしたの?」


マリアローゼが目をぱちくりさせると、カンナとユリアは頷いた。


「宿屋以外のお店でも高級店は大体そうですね。経営者も従業員も元貴族を雇ってるところが多いですよ。接客や礼儀の作法が教えやすいのもありますし、雇われる側も高給なので…でも、王国はその辺まだ緩い方だと思います。

王都以外の主要都市ならまだあるでしょうけど、大体はお金さえ持っていれば断られはしないんじゃないでしょうか?神聖国は、聖職者優遇ですけどね」


「寝るだけの為にそんなお金もかけたくないので、冒険の時は大体冒険者ギルド経営の宿か、系列店に泊まってましたけどね」


(確かに?

冒険者ギルドの一階は飲食店のようになっていて、二階は宿でしたわね)


とマリアローゼは通り過ぎてきた町の冒険者ギルドを思い浮かべた。


「系列と言いますと、元冒険者の方が経営なさってるとかでしょうか?」


「ええ、そうですね。ご家族が元冒険者だったりと、ギルドと強い繋がりがある宿屋で、他の宿より信頼出来ると思います」


冒険者が泊まる宿なので戦える人々もいるし、今迄見てきた冒険者達は気の良い人々で、過去の物語に出てくるような世紀末ヒャッハーみたいな人々はいなかった。

時折、何であんな犯罪者が冒険者やってるのか?と疑問に思う事もあったのだが、王国では私闘も禁じるなどかなり厳しい規制と降格処分や資格剥奪等がある。


「わたくしは今迄出会った事はございませんが、悪い冒険者さまはいらっしゃいますの?」


マリアローゼが小首を傾げて問いかけるのを見て、相も変わらずユリアははわ~と歓喜のため息を零している。

カンナはそんなユリアをみて苦笑しつつ、思い出すように視線を上に向けた。


「ん~、そうですね。いない事はないと思います。冒険者って割とパーティで固まっていると思われがちなんですけど、1人で行動する人も中にはいるんですね。あと、即席パーティというか…依頼によっては、他の人達とも組んだりするので、冒険者同士の知り合いって増えていくんですよ。だから問題ある人というのは絶対に噂が出回りますね」


「その噂は冒険者ギルドにも伝わるものですか?」


「ええ、伝わりますね。というか、依頼が終った時点で問題があった場合はギルドに報告して、二度と組まないという通知をする事もありますので」


(ブラックリスト……!)


確かに問題ある人と命の危険がある仕事はしたくないだろう、とマリアローゼは考え込んだ。


「多数の人にそう思われる方がおりますと、ギルドは何らかの処分をされるのですか?」


「それは度合いに拠ると思いますけど、利益がらみや分配で揉めた場合はギルドに仲裁に入ってもらう事もありますし、昇格試験によってはパーティ必須なので、降格にはならなくても昇格出来ないといったことはあります」


マリアローゼはふむふむ、と頷いて、食事を再開したカンナを見詰めた。


平民とはいえ、カンナはフォルティス家の嫡流で、貴族の嗜みもある。

最年少でトップランカーになる実力者だ。

それにお姉様とはいえ、まだ17歳だ。


……え?17歳でその貫禄ですか!?


「ユリアさんは冒険者の資格もありますよね?」

「ありますよ~。普通は無いんでしょうけど、ユウト兄さんと仲間誘って任務の合間に色々やってましたね~。まだA級ですよ」

「まだ、て。どこまで上り詰める気なんですか」


カンナの苦笑に、ユリアはにっこにこと良い笑顔を見せた。


「えーだって、何時かはマリアローゼ様やカンナさんやルーナさんと冒険、行きたいじゃないですか」


「行きたいですわ!」


マリアローゼがぴょん、と椅子の上で飛び上がるように反応すると、カンナも嬉しそうにふふ、と笑った。


「それは行きたいですね。女性だけで行くのも楽しそうです」


「まあ、まあ……それは楽しそうですこと!」


カンナの言葉に、マリアローゼは胸の前で小さな手をぱちん、と打って嬉しそうに微笑んだ。


「あ゛ーーーー尊い……天使…はぁぁ、寿命延びました絶対、ありがとうございます」


いつものユリアの戯言に、楽しそうに笑って食事は和やかに進んでいったのである。


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