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悪役令嬢?何それ美味しいの? 溺愛公爵令嬢は我が道を行く  作者: ひよこ1号


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人生に必要なもの…それは農業…そして筋肉!

「良いですか?皇位継承争いとは凄まじいものですの。お母様は間違いなく命を狙われる事になりましてよ」

「そ…それは……だが、皇帝にならない事とどう関係する?降りれば無事が確約される訳でもあるまい」


その言葉は正しい。

確約は出来ないのだが、マリアローゼは静かに言った。


「ですので、お母様に病気療養をさせたいと申し出られませ。フィロソフィ領の気候も食べ物もとても良いので療養させたいと申し出るのです。その後は帝都と離れた田舎の離宮で、母と暮らしたいと申されませ。それで、帝位争奪戦から退くと言う宣言となります。

もしもう一歩踏み込めるなら、領地を拝領なさって公爵位を戴くのも良いかと存じます。臣籍降下となりますが、そこまで致しますれば、争いからは更に遠ざかれるでしょう」


「むう…そんな事であの父上が許可を出すだろうか……」


帝国の皇帝、性格の悪い俺様で、兎に角色恋に目が無いイメージしかない。

女性に対しても来る物拒まず、去るもの追わず、でも欲しい物は手に入れたい、というところだろうか、と勝手に想像していたが、生の声を訊く必要がある。


「皇帝は漁色家で、去るもの追わずという方ですわよね?他にどんな特徴がありますの?」

「気に入らない者は誰であれ、すぐ排除なさる御方だ。だが、父上が面白いと思うものに関しては甘さもある。例えば道化だ。町の噂から政情まで、面白おかしく語るが、無礼な口を利く事もある。だが、今の道化は10年以上仕えていると聞く」


ふむ、と暫く考えて、マリアローゼは笑顔で答えた。


「では、こうなさいませ。殿下はわたくしに袖にされたけれど、どうしても会いたいから母の病気の療養を理由にフィロソフィ領へ行きたいと言うのです。美しいとかその辺はちょっと褒めて頂いて、何となく大袈裟に語って誤魔化すのです。きっと面白がって許してくださるでしょう」

「うむ、それなら確かに父上は喜んで許可しそうだな。我はいい笑い者となるかもしれんが、良いだろう」


うんうんと頷くルドルフの顔を見詰めて、マリアローゼは首を傾げた。


(この方は素養は悪くないのでは…?)


出会い頭は偉そうな物言いだったが、とても素直なのである。

自分が笑い者になる事に関して寛容でいられる王族は珍しい。


(今迄どれだけ虐げられてきたのかしら?)


マリアローゼが逆に心配になるほどだった。

ルドルフはうーん、と考えて更に考えを進める。


「でも後ろ盾はいなくなるな…僻地に引きこもるとして、誰が我々を守るのだ?」


少し残念そうな表情でマリアローゼは言い放った。


「何を仰いますの殿下。殿下が誰より強くなってお母様をお守りするのですわ」

「な、何を、まだ我は7歳だぞ」


確かに子供だし、子供同士の話としては物騒な部類ではある。

でもここで甘やかす訳にはいかない。


「殿下、ですからフィロソフィ領でのんびり過ごせるなんて、思わないで下さいませ。最低限の魔法に剣の修練をして頂きますわよ?それに、生き抜くための知識に農業も欠かせませんわ」

「農業」


あまりの言葉に言葉を失ったルドルフだが、お構い無しにマリアローゼは続けた。


「良いですか?殿下。農民は国家の礎ですの。彼らが額に汗しながら働くから、わたくし達は豊かな食事を得られるのです。自分で作る事が出来れば尚良いではありませんか。それに、食物を育てるだけではありませんの。農業をすれば、筋肉も育ちますわ!」

「筋肉」


グッと拳を力強く握ったマリアローゼの勢いに、ルドルフは若干身を引いた。


「筋肉があれば、大抵の事は解決出来ますのよ?殿下は見た目を気にしてらしたけど、筋肉があれば、多少多く食事を摂っても太りませんのよ」

「そ、そうなのか?それは知らなかった…」


ルドルフは見た目の話になって、自分の丸いお腹をさすった。

興味があるのを見て、マリアローゼは再びルドルフをじっと見詰めて、更に言い募る。


「それから顔の赤い出来物ですけど、殿下は脂っぽい物や甘い物を好んで戴いてませんか?」

「う……何故それを……」


焦ったように汗を垂らすルドルフに、マリアローゼは人差し指を立てて追い立てる。


「食事を改善なさいませ。お野菜をまず戴いて、それから、脂身を落とした肉、足りなければ野菜のスープと少量のパン。甘いものは1日に掌に載る分までとしますわ。これをお守り頂けないのでしたら、わたくしも手助け致しません」

「わ、分かった!言う通りにしよう。……その、今日は無理に連れてきて済まなかった。この船の持ち主である、ロードス卿がそうすべきだと何度も言ったので仕方なく……でもオルサスが人目を忍んで連れて来たのであれば…」


そこまでルドルフが言った時に、廊下が騒がしくなった。


「くそ、来てしまったか」

「殿下、わたくしは大丈夫です」


多分そのロードス卿なる人物が癌なのだろう。

バタン、と乱暴にドアが開けられて、貴族らしい出で立ちの男が現れた。


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