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悪役令嬢?何それ美味しいの? 溺愛公爵令嬢は我が道を行く  作者: ひよこ1号


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282/377

---ギルドで聞いた英雄譚

次の場所は目抜き通り、ではあるが一番南側にある町の外れ近くにある大きな建物だ。

冒険者ギルドの看板が大きく掲げてある。

そして此処には大きな鮫のような怪物の骨、らしきものが飾りとして看板の上に取り付けられていた。


(きっとマリアローゼが見たら、また興味を示すだろうな)


そう思うと自然とシルヴァインの口に笑みが上る。

シルヴァインとキースが中に入ると、ギルド職員がカウンターから急いで2階へと駆け上がっていき、受付嬢の1人が近寄って来て丁寧にお辞儀をした。


「お待ちしておりました」


ギルド内は他の町と同じく、情報や依頼用の掲示板があり、その前には飲食用の机と椅子がある。

職員用の階段とは別に上に行く階段と、奥に厨房が見えるカウンター席もあり、半分は食事処と宿屋として機能しているのだ。

場所によって造りは違うが、ここでは一体化していて賑やかでもある。

あからさまに貴族と執事の出で立ちをしたシルヴァイン一行に、依頼なのか?お貴族冒険者か?と好奇の視線を向けはするが、2階からドカドカと足音がすると一瞬その場が静まり返った。


圧倒するような巨躯の男が、二階から降りてくる。

鬣のような逆立った髪と、顎と鼻の下に生えた髭が揉み上げまでツンツンと伸びていた。

日焼けした肌に鋭い目付きで、海賊だといわれれば納得してしまうような容貌だ。


「おう、何だジェレイドじゃねえのか」


呼びに行った職員を大男が振り返ると、肩まで真っ直ぐのさらさらな黒髪を揺らして、彼女は首を横に振った。


「先程、フィロソフィ家のご子息がお越しになったとお伝えしましたよね?」

「ジェレイドも子息だろうが」

「彼が来たならジェレイド様と伝えるでしょう。勘違いを他人の所為にするんじゃありません」


敬語だから低姿勢なのかと思いきや、ズバズバと言い返して、冷たい紫の目を細めて睨んでいる。

そんな女性の視線を意に介した風もなく、男は大きな肩を竦めた。


「じゃあ、お初にお目にかかる。この町の冒険者ギルドの主人、ヴァロと申します。以後、お見知りおきを。ところで、例の、小さな女神は一緒じゃないので?」


「ああ、宜しく頼む。妹は後日連れてくるよ。今日は挨拶がてら、薬を持ってきたので納めてくれ」

「ほほう、これが例の…有難く買い取らせていただこう」


ギラッファが渡した紙袋の中身を見て、ヴァロが買取を申し出るが、シルヴァインは首を横に振った。


「これは妹からの贈り物だ。金を受け取ったら俺が怒られてしまう」

「ははあ、どこでも女は怖い物ですなあ」


ちらりと後ろに控える職員に目を向けて、再度睨まれながら、ヴァロは髭を撫でつつガッハッハと大きく笑った。


「そういえば、ジェレイド叔父上とは友人なのか?」

「友人も何も、あの人はこの辺では英雄なんでな。……ああ、聞いてないのか、そうか」


シルヴァインとキースの顔を見て、ヴァロはまた髭を撫でた。


「立ち話も何だ、おい、お前らどけ」


一番近くのテーブルに居た冒険者を追いやって、席に着くと、ヴァロはキースとシルヴァインを手招きした。

冒険者達は食べ物を片手に、怒るでもなく近くの席から興味深そうに一行を見ている。


「何年も前の話になるが、ここから南に5日も行くとダンジョンがあるんだが、そこでスタンピードが起きかけた事がある。


それをダンジョン内に押し留めたのが、ジェレイド達なんだ。まあ、俺らも参加はしたが」


「達、というと?」


シルヴァインはジェレイドの仲間に興味を惹かれて聞くと、ヴァロはニッと笑った。


「魔砲手ヴァネッサ、大魔法使いウィスクム、錬金術師エルナード、仮面の聖女ロータス、重戦車ヴェルム、剣士スペレッセ、普段は単独で行動するか、少人数で動くSS級冒険者達だ」


それは何度か耳にした事のある名前ばかりで、シルヴァインは絶句した。

隣に座るキースも思わず、というように嘆息する。


「まあ、なんだ、大事にならなかったから、話題にもそんなに上っていないだろうが、冒険者界隈では有名人ってこったな。


だが、あいつはこの土地から離れないと決めているようだから、冒険には出ない。

優秀な魔剣士なのに勿体無いという奴もいるが、あいつは領主代行としても優秀だからな、こっちは有難てえ」


ガッハッハ、と笑いながら、ツンツンした鬣をワシワシと大きな手で掻く。

その後幾つかの冒険譚を聞かされて、三人は馬車へと戻った。

読んでくださり、ありがとうございます。

お陰さまで320万PV到達致しました。

少しでも、楽しんで頂けたら嬉しいです。

ブクマ・いいねもとても嬉しいです。励みになっております。

※下記のひよこのPixivから飛ぶと、自作のAIイラスト(未熟)で作ったキャライメージイラストがありますので、宜しければご覧になって下さいませ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] いつも楽しく読ませていただいています。 [気になる点] ジェレイドの仲間の面子を聞いて絶句をしたのはジェレイドではなくシルヴァインの誤字かと思います。
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