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初めてのテイム

以前に通った庭へ出る通路を走り抜け、庭に飛び出して従業員の住む家の傍を駆け抜ける。

マリアローゼは、従魔師の棲家に駆け寄り、たむたむと扉を叩いた。


「んだよ、うるせぇな」


とぶっきらぼうに言いつつも、ウルラートゥスは迎え入れてくれた。


「見て!」


マリアローゼが胸元に手を突っ込んだのを見て、ぎょっとするウルラートゥスの目の前に、

ピンク色のスライムが差し出される。


「は?テイムしたのか?」

「できてますか?」

「見た感じ、出来てるようだが、こりゃ珍しい色してんなぁ」

「最初は薄い水色だったのですけれど、血を与えたら可愛らしいピンク色になりましたの」


マリアローゼの言葉を聞いた途端、ウルラートゥスが眉を顰めて怖い顔をする。


「それは、誰にも言うんじゃねぇぞ」


低い声でウルラートゥスが言う。


「……俺から公爵殿には言っておく」


しかめっ面のまま、ウルラートゥスは不機嫌そうに呟いた。

マリアローゼはその様子に、きょとんとした顔で背伸びする。


「どうしてですの?」

「お前の力は、テイムしたと同時に魔獣を変異させてるんだ。

もし、強力に変異させる事がお前の血で可能なら、間違いなく狙われる。

強力でなくても…能力に変化が起きるのなら、同じ事かもしれねぇ。

血だけじゃなくお前が必要だとしても、狙われるのは一緒だろうな」


まあ、鑑定してみねぇとわからねぇが…と腕組みしてウルラートゥスはぶつぶつ言っている。

ウルラートゥスがすぐにしないということは、鑑定の技術はなさそうだ。


「鑑定はどなたが出来ますの?」

「鑑定士って特殊な魔法使いもいるが、従魔師の中にも従魔の鑑定が出来る奴もいる。

この屋敷にも何人か雇われてっから、中にはいるかもしんねぇな。

暫く様子見て、そいつの変化が定着してる様なら公爵に聞いてみろ」


親切に説明してくれるウルラートゥスに、マリアローゼはこくん、と頷いた。


「分かりましたわ。ありがとう存じます」

「しっかし、稀有な力だな。よく分からんが、やべえのだけは分かる」


ふむ?

小説では魔力は絶望的だったはずなのに、後付で出てくる設定だったのだろうか?

しかし、表紙を流し見したけどモンスターと一緒に居るのは見たことが無い。

イケメンと2ショばかりだったはずだ。

ただ、絵面的にイケメンと二人だけになった可能性は捨て切れない。

モンスターと2ショットの悪役令嬢というのは、確かにあまり販促にならないだろう。


「お父様にお伝えするのはお任せ致しますね。あと、この子を隠したいのですけれど…」

「スライムは擬態が出来るから、アクセサリーか服の一部にでもすりゃいい。

それも含めて旦那には言っておく」

「まあ、ありがとうございます、ウル」


少し驚いた顔をしてから、フイッとウルラートゥスは顔を逸らして頭をワシワシと掻き毟った。

慣れない呼び方に、痒くなったのかもしれない。


「勝手に略すな」

「だって長いのですもの」

「それもそうか」


怒ったように言ってはいるが、顔を逸らしたままなので、真剣に怒っている感じはしない。

ゴリ押すように言うと、フッと溜息をつきながら納得した。

見た目も態度も怖そうに見えるが、彼が心配してくれるのも伝わってくる。

マリアローゼは嬉しそうに微笑み返した。


「また参りますわ!」


今日は忙しいので、別れのお辞儀をして、

無言で手を振るウルラートゥスに別れを告げると、次は治癒師のマリクの元へ急いだ。

読んでくださり、ありがとうございます。

お陰さまで20万PV到達致しました。

少しでも、楽しんで頂けたら嬉しいです。

ブクマ・いいねもとても嬉しいです。励みになっております。

※下記のひよこのPixivから飛ぶと、自作のAIイラスト(未熟)で作ったキャライメージイラストがありますので、宜しければご覧になって下さいませ。

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