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魔女、若しくは聖女

馬車に乗り込んだノアークがマリアローゼを降ろすと、ルーナが早速マリアローゼの仕度を始めたのを見て、

ノアークは馬車を降りていく。


「……用意が終ったら、声をかけてくれ」

「畏まりました」


馬車内で待っていたノクスも、ルーナがノアークに返事とお辞儀をしてからマリアローゼの仕度へ戻ったので、

ノアークに続いて馬車を降りていく。

寝やすいように柔らかい生地の簡素な服に着替えさせて、足につけていたナイフを装具ごと外して枕元に置く。

そして、マリアローゼをベッドに座らせると、ルーナは丁寧に美しい銀髪を梳った。

小さい枝葉も取り除き、香油を含んだ水分を吹き付けて、丁寧に丁寧に髪を梳いていると、マリアローゼがふわあ、

と大きな欠伸をした。


「本当はお兄様達のお話を聞いて居たかったのですけれど、気持ち良くて眠ってしまいそう」

「何かあればノクスが報告致しますので、どうぞお休み下さいませ。ルーナもお傍に居りますから」


ルーナに優しく言われて、マリアローゼはころん、とベッドに横になった。

横になろうとしたルーナはハッとして、起き上がる。


「ノクスとノアーク様にお伝えして参ります」


馬車の入口へ行き、扉を開いて二人に用意が整ったと伝えて戻ると、マリアローゼはすうすうと寝息を立てていた。

起こさないように細心の注意を払いながらも、ルーナはマリアローゼの目の前に横になる。


真っ白い肌に健康そうな薔薇色の頬、青味を孕んだ美しい銀の髪。

何処にも傷がない事を再確認して、ルーナはほう、と溜息を吐いた。



馬車が出発して、口数の少ないノアークの代わりに、カンナが主に説明を始めた。

ノアークは間違いがないというように、頷く。

全ての説明を聞き終えて、シルヴァインが片手で頭を抱えた。


「ロサの事があったから、予想はしていたが、母上はご存知でしたね?」

「ええ。今まで知っていたのは4人、お父様とわたくし、ジェレイドとウルラートゥスでしたけれど…」


ミルリーリウムが言い淀むと、シルヴァインが追撃をかける。


「他に知るべき事実があるのなら、教えてください。此処に居るのは命を賭してもマリアローゼを護りたい者達です」


小首を傾げて頬に手をあてながら、そうねえ、と言いつつ母も溜息を吐いた。


「もう目撃もされてしまったのですし、良いでしょう。

マリアローゼの施す従属魔法には、特殊な効果があるのです。まだ断定はしていませんが、強化もしくは進化。

これが、どういう意味を持つか分かりますね?」


言われたシルヴァインが、流石に愕然として言葉を失う。

目の前で変化を目にしていたカンナとグランスは、ミルリーリウムの言葉に黙したまま頷いた。


「……分かります。神聖国は元より、どの国であっても、戦争を起こしてさえ欲しがる力だという事は」


強力な魔獣さえ手懐ける聖女、若しくは魔女。

更に既存の魔獣よりも強化されたそれを、自分の意志で操れるとしたら。


「決して知られるべきでないという事も、分かりました。それで、どうされるおつもりですか?」

「旦那様とわたくしの考えは、まずマリアローゼの魔力適性とその安定化を優先する予定ですわ。

領地には教師としてルキオラ家から招いていますの。鑑定眼もありますし、マリアローゼの従魔については能力を伏せて鑑定して頂く予定よ」


ミルリーリウムの言う予定に、シルヴァインは考えを巡らせた。

確かに魔力の適性と、魔法の研鑽は急務である。

マリアローゼが戦う力が無い内は、どうしても主人を護ろうと従魔も優先的に行動してしまう。

咄嗟に魔法が使えるくらいになれば、その危険性は低くなるだろう。

読んでくださり、ありがとうございます。

お陰さまで290万PV到達致しました。

少しでも、楽しんで頂けたら嬉しいです。

ブクマ・いいねもとても嬉しいです。励みになっております。

※下記のひよこのPixivから飛ぶと、自作のAIイラスト(未熟)で作ったキャライメージイラストがありますので、宜しければご覧になって下さいませ。

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