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本物の馬で行く

暫く紅茶と焼き菓子を楽しんだ後、マリアローゼは、はた、と手を止めてシルヴァインを見た。


「ところで、お兄様この後予定はありまして?」

「ん?ああ、一応あるけど、ローゼの頼み事ならどうとでもなるよ」


用事があるのに、それを簡単に反故にするのは如何なものだろうか。


マリアローゼはふるふる、と首を横に振った。


「それには及びません。グランスの修練を見に参りたいだけですの」

「それなら!!ユリアが!!お連れ致しますよ。お馬さんに乗って行きましょう」


とユリアが勢いよく名乗り出てくれたので、マリアローゼはにっこり微笑んで頷いた。


「あ、本物のお馬さんの方で」


付け足された言葉に、叔父の姿を思い浮かべつつ、その言葉にはマリアローゼも力強く頷いた。

本を読むのを止めて、紅茶を飲んでいたカンナがユリアの言葉に付け足す。


「では、私がルーナさんとノクス君を乗せて行きましょう」

「まあ、カンナお姉様、ありがとう存じます」

「宜しくお願い致します」


給仕をしていたルーナもぺこり、と会釈をして、控えめに微笑んだ。

紅茶を気に入ったらしいシルヴァインも、肩を竦める。


「まあ、いい。決まった様だから水を差すのは止めて置こう。じゃあ、俺は出かけてくるよ。

晩餐までには戻るから、良い子にしてるんだよ、ローゼ」


立ち上がったシルヴァインが、長椅子の後ろからマリアローゼを抱きしめて、頭に何度か口づけを落とす。

それを見たユリアが毛を逆立てる猫のように、ぶわっと怒りを顕にして、何かを言う前にシルヴァインはマリアローゼを離した。


叔父様といい、兄といい、ユリアさんを怒らせるのを楽しんでおりますわね。


「はい、お兄様。お気をつけて参られませ」


立ち上がって、マリアローゼはちょこん、とスカートを摘んでお辞儀をする。

それに合わせる様に、渋々ユリアも、カンナはビシッと会釈をした。


「さ、私達も行きましょうか!」


ユリアがニッコニコの笑顔で嬉しそうにはしゃいでいる。

相変わらず切り替えが早いのである。


「お、おて…おておててつなぎましょうか!」


怖い。


スッと間にルーナが割り込んで、ユリアの差し出した手を銀盆で叩いた。

ゴガッと割と良い音がした。


「お嬢様は馬房までルーナがお連れ致しますので、ご遠慮下さい」


「痛ぁ……はい、分かりましたルーナさん…じゃあ、カンナさん、繋ぎます?」

「ユリアさんが寂しいなら、どうぞ」


二人の遣り取りにマリアローゼは笑いながら、小さな手をルーナに差し伸べた。


「さ、ルーナ、参りましょう」

「はい、お嬢様」


その手を受け取って、ルーナは笑顔で優しく握った。


厩舎に向かって歩きながらもユリアは賑やかだ。


「カンナさんの手は…ゴツゴツしてて、マリアローゼ様と全然違うなあ~」

「ユリアさんがご不満なら離しますよ」

「ああっ、温もりをとりあげないでくださいっ」


仲の良い二人の遣り取りに、微笑ましく笑いながら、ルーナと一緒に歩いて行く。

ノクスは案内するように、少し前を歩いていた。

厩舎に着くと、早速ユリアが馬丁と話を始めて、穏やかそうな白馬を連れて来た。

読んでくださり、ありがとうございます。

お陰さまで235万PV到達致しました。

少しでも、楽しんで頂けたら嬉しいです。

ブクマ・いいねもとても嬉しいです。励みになっております。

※下記のひよこのPixivから飛ぶと、自作のAIイラスト(未熟)で作ったキャライメージイラストがありますので、宜しければご覧になって下さいませ。

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