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第3話

 やがて呼び出されたリンダがやってきました。


「お久しぶりですお父様」


 にこやかにリンダはレーダーマン氏に挨拶をしました。

 どうやらこの二人は普段は没交渉の様です。


「……久しぶりだな。あのアンナの世話をしてもらっていることは私も感謝している。だが、何だ? お前もまた占いなどというものに耽溺しているというのか?」

「お父様、占いは統計学と心理学でございます」


 唐突にそんな最先端の言葉が脇腹の娘から出て、レーダーマン氏はびっくりした様です。


「村の人々が私の占いに関してよく当たる、と言うのは当然のこと。因果関係をよく見て、物事を解きほぐせばいいだけのことですもの。アンナ様がはまってしまった東洋の占いに関しては、ちょっとこれは使い処がおかしかったので、皆をご不幸になさった様ですが、村の人々には私は感謝されておりますし、実際上手くいっていますのよ」

「では何故、今回の結婚をこの様な形で壊そうとするのだ? お前がもし人々を幸せにするために占いをすると思ったならば、どうすれば上手く行くか、の方を占うべきではないのか?」

「あはは」


 唐突にリンダは笑いました。


「何がおかしい」

「確かに私は言いました。お兄様に、動物のことだの衣装のことだの、この先のことだの。でもそこに本当に因果関係があるのかどうかまで調べずに鵜呑みにしたのはお兄様ですのよ」

「何」

「私はただ、不安に思うお兄様の背をちょっと押しただけに過ぎません」

「……お前は」

「追い出すなら追い出して下さいな。そうしたら領主様は自分達に必要な占い師を力尽くで追い出した、ということで大変なことが起きかねませんのよ」

「何故その様なことをしたのですか?」 


 私は口を挟みました。

 父が背後でやめろ、と言いたげだったが、私は手で制しました。


「結婚というものに対する一つの復讐ですわ。母はお父様に囲われる前、好きな人が居たということを繰り返し繰り返し私に話してましたわ。恨み言として。娘として愛せないだけでなく、愚痴袋としてひたすら扱ったんですのよ。アンナ様にしてもご結婚なさる相手を間違えたのだ、と思えば思うほど、私、占いで結婚を壊せないかと思っていたのですわ。そこでお兄様にいい実験台になってもらったのですの」


 リチャードはもう何も言えず黙っていました。

 根が善良な彼には、異母妹がそこまで考えて自分を利用したという事実がなかなか信じられなかったのでしょうね。

 でも私は少し納得できる部分がありました。

 彼はとても善良で、人を疑わない性格だから、とても操りやすかったのでしょう。

 そしてそれは、アンナ様譲りなのだと。

 だとしたら、私は確かに決断した方がいいのでしょう。


「お父様、私は婚約解消をお受け致します」

「お、おいスーザン」

「間違わないで下さいお父様。私はこの件で、リチャード様と結婚したら、私自身のスキャンダル以上に不幸がいつかやってくる、と確信できたのです。それはおそらく、跡取りとしてのリチャード様に対しての評価もそうではないのですか?」


 小娘が言うのも何ですが、とレーダーマン氏には付け加えて。


「ですので、私は自分に関する醜聞はあえて引き受けます。ただし、リンダさん、貴女にはひとこと言わせていただいて宜しいでしょうか?」

「ええ。貴女には酷いことをしたと思っておりますから」

「いえ、真の最終的には、私にとって良い結果ではないか、と思うのですのよ。ただ貴女にとってどうなのか、と」


 するとリンダの表情が揺らぎました。


「それはどういう意味ですの?」

「占いは統計学と心理学とおっしゃった。それはそれで間違いではないと思いますのよ。ただ一つ聞いていいかしら」

「何かしら」

「本当に村の人々は幸せになっているのかしら?」

「え?」

「だって貴女は何だかんだ言って領主様の娘でしょう?」


 私はそれだけ言って、にっこりと笑ってその場を去りました。

 後から「ちょっとまてスーザン!」とお父様の声が聞こえてきます。

 でもまあそれは今は聞こえないふりをしておきましょう。

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