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第1話

「ごめんスーザン、やっぱり君と結婚できない……」


 そう彼が切り出してきたのは、結婚式をもう待つだけになった頃のことでした。

 私、スーザン・ラーシュリーと彼リチャード・レーダーマンとは、社交界にデビューしてからのお付き合いでした。

 お互いの親戚に紹介されてのお付き合いですから、家柄も同じくらい。

 商会をやっている同士で、そちらの付き合いもあって、父同士も気が合ってました。

 そして私達も、最初に出会った時から気が合ったので、周囲のすすめがあっても無くても、お互いの家を行き来する様になりましたの。

 ただ一つ気がかりでしたのは、リチャードのお家のお母様のこと。

 結局結婚は無しになったから義母様とは言えませんわね。

 どうもお体を壊されて、ずっと別荘暮らしだそうでした。

 そしてそのお世話をするために、彼の妹も居るということです。

 いずれはご挨拶に、という話を持ち出そうとするのですが、その都度お父様とレーダーマン様ににこやかに拒絶されました。

 まあ別荘で療養、という場合、本当の療養なのか、別居の意味なのか曖昧なので、私はそれ以上お二人を問い詰めたりはしませんでしたが。

 それ以外の点では、私達のお付き合いはとんとん拍子に進んで、結婚の申し込みもあったのです。

 ところが、です。


「……なあ、結婚したら犬を飼いたい、って言ってたよな」

「ええ、貴方もうちに来るとよく一緒に遊んでいたじゃない。そちらには居ない様だから。いいでしょう?」

「それは止めにしてもらえないかな」

「え? どうして? ……鳴き声がうるさい? でも、貴方のお家も大きいし、貴方の書斎には近づけない…… あ、そうだ、じゃあ猫はどう?」

「いいや、生き物を飼うことに反対なんだ」

「……どうしたのリチャード…… 私に向かって、犬とじゃれている姿が可愛いと言ってくれたじゃない」

「生き物を飼うのは大変なことだと思うよ。生命は大切だし……」

「それはそうだけど、うちも貴方のところも、手をかける人員はそれなりにあるじゃない。それに好きな人だったら、貧しい庶民だって飼っているわ。突然嫌いになったとか、犬の毛でくしゃみが出る様になったなら、素直に言って! 私はそういう理由があるなら、あきらめるから」

「そ、そうだね。うん。犬によくつくノミで発疹がよく出る様になったから、避けたいんだ。いいかな?」


 とってつけた様な内容でしたが、ともかく一応の筋は通ってましたので、私は了承しました。

 さてそれから結婚式の方法でした。

 私はお母様から受け継いだドレスを少しだけ今風にアレンジして使いたいと思ったのね。

 生地も上等なものだったし、刺繍もレースも今見ても素敵なものだったもの。

 だからそれを少しだけ今ふうに、レースの部分を変えたりすればいいと思ったの。

 さすがにヴェールは新しいものにするけどね。

 だけどそれに対しても彼は「駄目だ」って言うのよ。

 何から何まで新しく揃えなくてはならない、と。そのためなら費用は惜しまない、と。

 費用の問題ではなく、私はお母様のそれが好きだからなんだけど、どうしても彼はその点を理解してくれなかったのね。

 そしてまあ、呼ぶ人々とか色々決まって、向こうのご家族と相談している時に、彼が突然こう言った、という訳。


「君とは結婚できない」

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