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第78話 新しい絆②

翌日の朝食時、


「来た!」


スザは朝食をほっぽりだし、小屋の壁に穴をあけ、分岐点を見る。ちょうど今日の進行方向からコヨーテたちが分岐点に向かって姿を現し始めたところだ。

ゆっくりと進むコヨーテとコボルトたち。分岐点を過ぎ、二つ川の村に向かって川沿いを西に曲がって進んでも、まだ後続は途切れることはなかった。


「すごい量ね」

「コヨーテが200匹以上、コボルトも100匹以上見えます」


クシナに続いて、ナギが呟く。


「ちょっと前半の奴らを潰してくる」

「一人で行くの?」


スザはクシナの問いに頷く。マリカは心配そうな表情だ。おっ!とスザは表情を変え、


「ミナミ、マリカさんを守りながら一緒についてきて。手は出さなくていいから、危ないと思ったら風の守りをして」

「ハイですぅ♡!」


スザはクシナを見て、


「後続を潰して。ナギさんは余ったやつを倒して、昼食用の肉をお願いします」


2人の頷く姿を見て、スザはミナミ、マリカを連れ小屋から出ていった。

3人は対岸側からゆっくりと近づき、止まる。


「見ておいて」


スザはマリカにそう言うと、一人で川に近づいていき、


「ウォーターウェーヴ!」


声が聞こえたのか、一斉に川横の道を歩いていたコヨーテやコボルトは止まり、注意を対岸に向けた。


スザを見つけ、襲い掛かろうとした時、目の前に突然壁が立ちあがった。水の壁だ。どんどん高くなり、20mを超えた時、一気に壁がなだれ落ちてきた。

コヨーテやコボルトは水の勢いに流され、溺れ、さらに重さでなどで水死し、道の上で動かなくなっていた。生き残ったものもすぐさまスザが唱えるウォーターランスやカッターで貫かれ、切り裂かれていた。

後続部隊もクシナに焼かれ、ナギに切り裂かれて全滅した。


マリカは興奮しているようで、顔を赤くして喜んでいる。魔物の死体を再び山に埋め、中断した朝食を取りなおして、きつねの村に向けて出発した。


村から少し離れたところで昼食を取り、午後少し過ぎて村の様子がわかる位置に着いた。遠くに朽ちた柵の残骸が見える。家もほとんどが崩れ落ち、煙も見えない。しかし、コヨーテとコボルトがうようよいた。コヨーテが300匹以上、コボルトも200匹以上いそうだ。少し崩れているが大きな家の周辺にたむろしており、見ていると中にコボルトが出入りしている。


「ねえ、あれ、入る数より出る数の方が多いように思うんだけど」


じっと見続けると、クシナが言うように2匹入って4匹出て、3匹入って7匹出てと多く出ているように思う。大量のコボルトが中に待機できるような大きさの家ではない。


「あの家は、村長の家です。つまり私の家です。そんな何十匹もコボルトが住めるような大きさはありません」

「あの家をつぶせば、コボルトが増えるのを止められますぅ♡」

おうっ!ミナミちゃん。そうなんですが、あれはマリカちゃんの・・・

「そうですね、潰しましょう」

えっ!?


スザは驚いて、マリカを見つめた。クシナも同じ表情で見つめている。


「もう、誰も生きていないでしょう。他の家もほとんどが倒壊しています。気にせずに魔物と一緒に残った家も潰してください」


マリカは真剣な表情でスザを見つめている。スザはクシナと目を合わせ、またマリカを見つめた。


「わかりました。その代わり、あの家の中に本当に生き残りがいないかを確認してから破壊します」


マリカは頷き、了承した。

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