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第5話 スザ、大地に立つ②

「俺には無理だ」

「いいえ、あなたなら私はできると思うわ」


赤髪の悲しい笑顔は、変わることはなかった。


「これを使えるのは、・・・・・か、・・・・・なやつだけだよ」


肝心な部分が聞こえない。


「・・・・」

「・・・・」


赤髪と「私」が話し合っている。自分が「私」の目線のようだ。結局赤髪は首を振り、胸の光が集約して皮の本となった。それを「私」に手渡した。


「さらばだ」


背を向ける赤髪に、


「この力は持っていきなさい。あなたの遺伝子があれば引き継げるわ」


本の中から光が飛び出し、赤髪に吸い込まれた。


「・・・すまない。・・・ありがとう」


赤髪が出ていった扉から視線が動かない。


「私たちは悲しくても、涙なんて流せない・・・」


数々のミニチュアから光が消え、部屋の中にあったスクリーンも、机も椅子も消え去った。

扉は開き切ったまま。ものすごい勢いで明るくなり暗くなりを繰り返す。一日が点滅するように過ぎ去っているのだ。


代り映えしない部屋と点滅するように過ぎ去る一日。突然、点滅が終わる。


一人の5歳くらいの幼い少年が扉から入ってきた。そのまま窓に張り付く。

その幼い少年は身長が低く、目の部分しか窓から出ていない。


次の日の少年は上半身を窓にべったりと貼り付けて外を見ていた。足元には小さな階段ができていた。海が見えないとつぶやけば、次の日は窓が横に拡張され、雲が見えないと言えば、次の日には窓が縦に拡張されていた。


ドンドンと少年はたくましくなり、15歳を迎えていた。その少年はスザといった。初めて願いを聞かなかった。扉を閉じてしまった。出さなかった。


「開けてください!助けにいかなきゃいけないんだ!」


叫ぶ俺の後ろ姿。


「あんたが毎日毎日私の部屋で楽しそうに窓の外を見て・・・だから手助けしてあげるわ」


ハッとして、振り向く俺。


「スザ、あんたが求めたんだよ。みんなを助けたいって」


俺は椅子の上から本を取った。それは赤髪が置いていった本だった。

本は俺の胸に吸い込まれ、俺は落下していった。


「スザ、あんたはどうする?みんなを助けた後、私を捨てる?赤髪の英雄だなんて呼ばれていた、あいつのように・・・」


「私」は、もちろんイズだった。

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