第71話 イの国の南側③
2021.8.5一部手直し実施しました。
流れに変化はありません。
「お疲れぇ。お、久々男の顔だねぇ」
回転椅子の上で、クルクル回りながら茶化すイズには何も言わず、いつものようにその横に座る。
「やれることはすべてやったと思う」
スザは隣のイズに視線を向けた。イズは小さくフッと息を吹きかけると、スザの前髪が立ち上がった。はっきりとした、大きな目が見える。イズの目から視線は動かなかった。
「旅に出たいと?」
イズの問いに、スザは大きく頷いた。
「配下の数はどうなったの?」
スザはブックを出し、配下のページをめくった。
配下:19/50
配下11:タロウ(長官(村)) 補正:11(徳)×1 信頼心酔度:1/10
配下12:カイ(漁師) 補正:7(力)×1 信頼心酔度:1/10
配下13:ハジメ(長官(村)) 補正:12(力)×2 信頼心酔度:2/10
配下14:マサ(剣士) 補正:8(力)×1 信頼心酔度:1/10
配下15:テツ(剣士) 補正:7(技巧)×1 信頼心酔度:1/10
配下16:ナナミ(魔法使い) 補正:6(魔力)×2 信頼心酔度:2/10
配下17:アスカ(魔法使い) 補正:5(魔力)×2 信頼心酔度:2/10
配下18:ミサ(魔法使い) 補正:5(知能)×2 信頼心酔度:2/10
配下19:トラ(剣士) 補正:3(力)×2 信頼心酔度:2/10
「へぇ、19人にまで増えたんだ。お、魔法使いが3人も。いいわね」
イズはチラとスザの表情を見る。なんとも言えない、ちょっとムスッとした表情だ。
「タロウ、カイ、ハジメ、マサ、テツは想像通りね。で、ナナミ、アスカ、ミサ、トラって?」
スザは一つため息をついた後、
「4人は新たに孤児院に連れて来られた子たち。ナナミとアスカはカナヤマからで、ミサはこの塔の街、トラは東の村の男の子」
ナナミとアスカ、ミサたち3人の女の子は、孤児院を立て直した時、すごく目がキラキラしていたとクシナがぼやいていた。トラは、東の村でオークたちに囲まれたとき助けた子で、突然現れた黒マントがその時は誰かわからなかったが、孤児院を立て直した時にスザだとわかったそうだ。4人ともスザより年下で、12から14歳だ。
「その若さでこれだけの補正値ってことは、逸材ね」
「だから、巻き込んでいいものかと思って・・・」
ははぁん・・・と、納得するようにイズは頷き、
「だから、あんたムスッとしてたのね」
「・・・このイの国を守り、よい国にしていくには協力してもらう方がいいと思うけど・・・」
イズは突然、ガシッと頭を掴む。
「ベアクロー!」
「いてぇ!何!?なにすんの!?」
投げ捨てるように手を放し、イズは立ち上がる。
「大丈夫!」
「は!?」
スザは椅子から落ち、こめかみを両手でさすりながら、なんだよ、べあくろーってと呟いていたが、その勢いにイズを見上げていた。
「私がその子たちを育てよう!あんたが心配しないくらいに!何があっても死なないように!」
イズは笑顔だ。
「だから、スザ!あんたは大きな目的のために突き進め!細かいことは私らがどうにかする!」
フンッ!どうだっ!って感じだ。
「・・・ありがとう」
スザは自然と笑顔に戻っていた。
「そう!スザは笑顔で未来に向かっていけ!深く考えるな!バカなんだから!」
「最後が余計だよ!」
そこから、能力値を確認した。
固定職業:国王 選択可能職業数:2(選択1:英雄(魔法使い+2) 選択2:建築師+2)
等級:38 補正:80+30(英雄(魔法使い)、建築師)
力:73(183) 生命力:78(188) 気力:93(203) 魔力:67(177) 知能:134(244) 体力:94(204) 技巧:145(255) 均整:139(249) 機敏:138(248) 徳:88(198) 運:143(253) (数字)は補正後
選択可能能力:8/10 雷魔法、魔法威力増大、体力増加、不意打ちで即死、投擲、剣術、水魔法、構造把握
常時発動能力:5/5 冷静、鑑定、魔力増加、使用魔力減少、回復量上昇
獲得能力:土魔法、体術、気配感知、気配遮断、急所感知
配下:19/50 補正:476 付与補正:14(技巧)×信頼心酔度×10
配下1:ユウ(騎士) 補正:6(力)×4 信頼心酔度:4/10
配下2:クシナ(魔術師) 補正:14(魔力)×4 信頼心酔度:4/10
配下3:ナギ(剣士) 補正:22(技巧)×3 信頼心酔度:3/10
配下4:マイ(魔法使い) 補正:13(魔力)×3 信頼心酔度:3/10
配下5:サユリ(長官(町)) 補正:16(知能)×3 信頼心酔度:3/10
配下6:ノブ(長官(街)) 補正:15(知能)×2 信頼心酔度:2/10
配下7:ミナミ(回復士) 補正:12(魔力)×4 信頼心酔度:4/10
配下8:タケル(剣士) 補正:12(力)×3 信頼心酔度:3/10
配下9:トシ(鍛冶師) 補正:12(技巧)×2 信頼心酔度:2/10
配下10:ヒカル(鍛冶師) 補正:10(知能)×1 信頼心酔度:1/10
配下11:タロウ(長官(村)) 補正:11(徳)×1 信頼心酔度:1/10
配下12:カイ(漁師) 補正:7(力)×1 信頼心酔度:1/10
配下13:ハジメ(長官(村)) 補正:12(力)×2 信頼心酔度:2/10
配下14:マサ(剣士) 補正:8(力)×1 信頼心酔度:1/10
配下15:テツ(剣士) 補正:7(技巧)×1 信頼心酔度:1/10
配下16:ナナミ(魔法使い) 補正:6(魔力)×2 信頼心酔度:2/10
配下17:アスカ(魔法使い) 補正:5(魔力)×2 信頼心酔度:2/10
配下18:ミサ(魔法使い) 補正:5(知能)×2 信頼心酔度:2/10
配下19:トラ(剣士) 補正:3(力)×2 信頼心酔度:2/10
ユウとマイの能力値が上がってた。そしてユウは信頼心酔度も・・・よくわからん。
新しい娘たちは・・・まあ、深く考えないようにしよう。
「で、いつもの3人と行くつもり?」
スザは大きく頷き、
「ナギ、クシナ、ミナミと俺の4人で行く」
「で、どこに行くの?」
スザは、止まった。そして、頭をカキカキ・・・
「・・・それがまったくわからないんだ。どう進めていけばいい?」
「はあぁぁぁぁ・・・」
イズは萎むくらいにため息をついた後、大きく息を吸って、
「やっぱり、バカね!」
スザが小さくなっていくのを見ながら、壁のモニターへと近づく。
「ちょっと見て」
その声にスザは顔を上げ、イズが指し示す画面を見た。
画面の中央右に湖があり、中央に平野、下側には山脈、上には海がある。
「イの国がここね」
イズは画面いっぱいをくるりと人差し指で囲んだ。
「広いと思った?」
スザは素直に頷く。
「じゃあ」
と言いながら画面の両端に各々手を置いて、拍手するくらいの勢いで中央へと持ってくると、その動きに合わせて元の部分が縮小していき、画面の全体には長細い図形が映った。画面の右端で図形は途切れ、上は海が、左端の下には他の島のような図形が少しだけ見えている。下の右半分にも島の上端だけが少し映っていた。
「で、イの国の東の山脈が、この地図上のこの部分」
イズの指は細長い図形の左端下から中央を通って右端上まで、斜めに動いて止まった。
「イの国はここね」
画面真ん中上のほんの一部、湖の周りにくるりと楕円を描いた。画面の8分の1もない。ぼんやりと緑色に光る。
「この山脈が邪魔して、この画面下側には行けないってこと?」
イズは首を横に振る。
「行けないことはないけど、これから冬に向かっていくので、ただでさえきつい山道が雪山になると、そりゃもう死ぬわね。だからこれからの季節では山越えは勧めないわね」
それに目印がないから迷うでしょうねと呟いていた。
「おススメはこちら」
イズは画面上の緑に輝くイの国から、画面左、海岸線を南に向かって指を走らせた。細長い図形の山脈を回避しながら、海岸線に沿って画面下、中央へとめぐり、最後は山脈を西に抜けてイの国へとぐるりと回り戻ってくる道筋だ。
「こんな感じで夏に山脈を突っ切れば、少々迷っても最短で秋には帰ってこれるわ」
「・・・1年がかりってこと?」
スザの言葉を無視して、イズは画面上の何点かを押すと、そこが丸く赤く光る。
「私が知っているダンジョンのある場所。でもすっごい古い情報だから、今は増えてるかもしれないし、何が出るかもわからない」
イズはじっとスザを見つめる。
「最悪、1年どころじゃなくなる可能性もあるのか・・・イズはなんでダンジョンを知ってるの?」
「私のゴーストがささや・・・」
「は!?」
「なんでもないわ。ちょっと昔、色々あってね。少しは知ってるのよ。それに人が住んでいる町や村はわからないから、その土地土地で戦いに巻き込まれでもしたら、とんでもない日数がかかるかもね」
スザは少し顎に手を当てて考えていた。再びイズを見て、
「途中の連絡はどうしたらいい?」
「私が限界範囲前に連絡を入れるから、そこにいつもの魔石の杭を打てばいい。土地の活性化とかをしないで、ただ連絡を入れるだけなら、そんなに間隔を短くしなくても行けるし、ダンジョンマスターの権利を書き換えるのも、魔力さえ繋がっていればいいから大丈夫」
「じゃあ、何かあった時に急いで帰ってこれる用のゴーレム馬を人数分4頭、ターリに頼んで作ってもらおう。準備完了したらカナヤマから南へ出発する」
イズは小さくフンッと鼻から息を吐いた後、
「私はもういいけど、他の仲間にはきちんと了解を得なさいよ」
スザは大きく頷いた。
少しでも「おもしろい」、「続きが気になる」と思って頂ければ、ブックマークをお願い致します。
またページ下部の☆を押して評価頂けたら、とっても励みになります。
気軽に評価☆を押してもらえれば幸いです。




