第4話 スザ、大地に立つ①
「うわぁぁぁあ・・・」
叫び声が響き渡る。
本を開いたと同時に、足元にボッカリと開口ができてスザは落下したのだ。なんか同じタイミングで本が光ったがそれだけだ。いつの間にか本はなくなっていた。
長い垂直に近い滑り台を滑り下りているようだが、真っ暗でよくわからない。スザは高速でクネクネと滑り落ちているのだけははっきりと理解していた。
その滑り台も突然終わる。
横になったと思った時には、小部屋の中に現れ、床を滑り、最後にはゴロゴロと転がって止まっていた。
「おーい・・・」
どこからともなく声が聞こえる。
スザは身を起こし、キョロキョロと周りをうかがう。部屋の中は明るい。でも照明装置はない。天井全体がほんわか光っているのだ。
「おーい、聞こえてる?見えてる?」
身を起こしたスザの正面で少女が右手を上げてブンブンと振っていた。スザはとりあえず様子見といったところか。
「おかしいな。“ブック“は渡したよね・・・聞こえない?見えない?」
更にブンブンブンと右手を振る速度を上げながら少女は近づいてくる。
金髪だ。
美少女だ。
クシナが赤髪のボンキュッボン美少女なら、この子は金髪のペラペラ美少女だ。
「誰がペラペラ美少女だ!」
突然、スザの目の前に整った顔がドンと目いっぱいに出現した。スザはひっと後退去りする。
「あんたがこの外見を求めてんのよ!スザくん?」
スケベなくせに、人のせいにするんじゃないわよ・・・と上半身を起こしながら、
「ほら、立ちなさいよ。この街の状況わかってるんでしょ?」
ハッとしたスザは、勢いよく立ち上がった。
「みんなを助けなきゃ!」
「わかった、わかった。まずは落ち着こう、ね、スザくん?」
ペラ美少女は、ドウドウとつぶやきながら両手を上下に振っている。馬じゃねえ!
「黙れ馬!ペラ美少女じゃないわ!イズよ、イズ。金髪様美少女様イズ様とお呼び!」
「・・・金髪様美少女様イズ様」
「・・・イズで許してあげるわ」
おかしいわ、姿のせい?このキャラ変。あいつの時は成人女性だったから?ぶつぶつと何か言っているが、スザはスルーする方がいいと判断した。
はっとしたイズは、
「ところでスザ、あんたは覚えてる?」
ん?ん?という表情だ。
「この落下中に何か頭の中に浮かばなかった?」
再び、ん?ん?だ。
「“ブック”の使い方とか・・・こう、頭の中でバッバッって映像が・・・」
三度目の、ん?ん?
「・・・わかった。とりあえず“ブック”って言って。その説明が終わってからよ、あんたの願いをかなえるのと街のこれからについて話をするのは」
イズに早くしろという目で見られ、スザは仕方なく“ブック”とつぶやいた。
瞬間、胸の前にドンッと本が現れた。びっくりするスザに、
「出たわね。それがあなたに渡した能力。全世界を手に入れることができる能力の集合体“ブック”よ」
ジトーとした目でスザはイズを見つめた。
「まあ、信じられないよね。いいわ。使っていけばわかるわよ」
イズはフッと寂しい笑顔で肩をすくめる。
「さあ、ブックの使い方を習ってきなさい!」
どーん、と胸の前の“ブック”を指さしたと同時に光が溢れ、スザは気を失った。
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