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第65話 戦場はイの国⑥

2021.8.5一部手直し実施しました。

流れに変化はありません。

翌日、スザたち5人は東の村に向けて出発した。予定として10日間を見ているが、場合によってはもっと日数が必要になるかもしれない。


東の村には、川沿いから谷、山の中腹、森を抜け、くねくねとした道を通ってたどり着く。村は丘の上にあるので、急な坂道を作ると、荷を積んだ馬車の登り下りができなくなるかもしれない。


「じゃあ、どう道を作っていくの?」


代表してクシナがスザに問う。


「途中まで川が側にあるから、斜面が崩れないよう措置をしながら、川の水位が上がっても大丈夫な高さでなるべく広い道を作っていく。山の中腹や森はなるべく道の傾斜がゆるくなるように道を作って、急なところはくねくねと蛇行しながら、傾斜がきつくならないように道を作っていくつもり」


スザは昨日の夜、イズと話し合って、どうすればいいか聞いていたのだ。山のどこに道を作っていくか、山の画像を見ながらだいたいの道筋を決めていたので、それを現地で確認しながら、山を削り、道を整備していく。イの塔のイズと連絡を取りながら、イズは画像を見ながら指示を出してくのだ。


南門を出てすぐに、カナヤマに行く道筋から東に分岐し、細い獣道を拡張していく。山に近づくまでは10m幅でどんどん進んでいった。マイも慣れたもので、魔力の減りも少ないようだ。

山のふもと、川縁に着いた。


「ここからは、道幅を6m程度にする。道の傾斜は、今までと違い川側につけて、雨が川に向かって流れるようにする」


マイは頷いた。


「俺が道の基礎を作るから、マイは石塊を作って並べて行って」

「わかったわ」


イの塔の街に近い山のふもと周辺は、川と山の間に距離があり、山の低木や草などを除いて道を作るだけで済んでいた。勾配がわからないほどの傾斜を付けて、どんどん山側に進んでいった。1日目は障害が少ないこともあり、距離でいうと4分の1程度進んでいた。


「順調じゃない?」


夕食後、土魔法で作った小屋の中、クシナは笑顔でスザを見た。スザは小さく首を振り、


「明日から手間取っていくので、今日はどうにかここまで来たんだよ。つまり、予定通り」


その言葉にマイはえっ!?と驚きの声を上げ、スザを見る。


「これから川幅が狭くなり、同時に谷も深く、川と山肌の距離も狭くなる。昨日も言ったように雨が降ると、簡単に川の水位が上がるんだよ。だから川よりも高い位置に道を整備しなくちゃいけない」

「そうよね。そして、じわりと登り傾斜を付けて道を整備していた」


マイはクシナの言葉にうんうんと頷いている。


「そう。急に道の高さを上げると坂が急になるので、そうならないようにじわりじわりと傾斜を付けてたんだ。で、道幅を確保するために、明日からは山肌も削るようになる」


マイがおお・・・と呟き、顔を覆う。


「ああ、基本俺がやるから、マイには削った土で道よりもさらに大きな石塊を作って、壁にしていってほしいんだ」


削っただけではそこから雨水が出てきて、土も流れ出る。そこから土砂崩れになるので、それを止める石の壁を作るとスザは説明した。


「なら私は、道と壁の石塊を作って、道と壁に積んでいけばいいのね」


次の日から6日間かけて、川沿いの道を整備し、全行程の4分の3が完了した。


「やった!残り3日で4分の1の道を整備すればいいのね!」


マイは川から離れた夕方、小屋を建てた後にそう叫んで両手を天に突きあげ、喜びを表していた。


「申し訳ありませんが、」


夕食が終わった後、スザは切り出した。マイは後の言葉を想像し、がっくりと頭を落とす。


「川がないだけで、やることは一緒。最悪、両側の山肌も土砂崩れの対策をしなくてはいけなくなるかもね」


マイは、ミナミにがんばれ♡!と頭をなでられている。


「そして村の近くで急に坂を作れないので、明日からもう少し蛇行しながら、丘の上に道をつなげられるようにしていくから」

「・・・寝る・・・」


マイは離れ、横になった。ミナミとクシナは苦笑いしていた。

思ったより、両側の山肌を削るところも少なく、予定通り10日の夕方、東の村に着いた。イズから連絡を受けていたようで、ユウがオーク肉を準備して待っていてくれていた。


「お疲れぇ!さあ、スザもマイも食べて食べて!」


マイは両手に肉で、モグモグ無言で食べまくっている。


「明日は朝から行政府と国王府を建てるから」


スザをキッと睨み、


「そんなことはわかっているから、食べさせて!」


と叫んでいた。らしい。実際は、


「ホンガ〇×△ハハ〇×・・・ヘ!」


ミナミの通訳がなければ、誰もわからなかった。

住宅は戴冠式前の、この村用の肉を取りに来た時に建てていた。村長のタロウさんは、今のところ追加はないと言っていた。


ユウ達はダンジョン入り口に仮にスザが建てていた小屋で寝泊まりしていた。その中には入れないので、その横に小屋を建ててスザたちは休んだ。



翌日の朝から、ダンジョン入口の横に行政府兼国王府を建てることにした。つまり、ユウたちとスザたちが寝泊まりした小屋の位置だ。タロウにも許可をもらっている。


丘の上はどこまで広くない。縁には柵があり、その下は急な斜面になっていた。行政府は斜面を利用して建設することにした。

スザは土魔法で、斜面に穴をあけ、何本もの石柱を地中深くから立ち上げた。斜面が崩壊しないように、石塊を作って補強する。マイは慣れたものだ。


丘の上に2階建てを、斜面の部分は3階建てにして、合計5階建ての行政府兼国王府を建てた。丘の上、1階部分は相談室、会議室、村長室を設け、その奥、斜面側の1階には兵士の休憩所と解体場、調理場兼食堂を設けた。2階は国王府で、兵士長室(今はユウ)、会議室、国王室、居住室を設けた。斜面の下3階のうち2階はすべて兵士の部屋にした。食堂の下の階は、半分が武器庫で、半分が兵士の部屋とした。結構大掛かりだったんで、丸々1日かかった。


次の日、タロウを新たな村長室に案内し、話をすると、村の入り口から下に降りる階段を作ってもらえないかとスザは言われた。水を汲みに行ってるのだが、道が悪くて量を運べないらしい。


階段はマイに任せて、スザは丘の中央付近に井戸を作ることにした。山に浸透した水が出るはずだ。タロウに許可をもらい、直径1m程度の穴を掘る。その土を利用して掘った穴の壁に石塊を作って積み立てていく。30mから40mくらい穴を掘ったら、水が湧き出てきた。落下防止に壁を立ち上げ、タロウに桶とロープを用意してもらい、水を汲んでみる。


その水を見て、村の人たちは大喜びだ。

午後からは丘の周りの柵を土魔法で補強し、さらに土地の開いていたところに住居を立てた。

3日目の朝、スザたち5人は、東の村を後にした。みんな大喜びでまた来てねと手を振っていた。

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