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第59話 イの国③

2021.8.4一部手直し実施しました。

流れに変化はありません。

ウオオオォ!

イズ様ぁ!

スザ!スザ!スザ!


イの塔の街の中央広場に人が集まり、大声を上げている。

スザはイの塔の最上階、いつも昼休みに覗いていた窓から外を見ていた。


「どう?今の気分」


入り口へと振り向くと、赤髪の美少女が、大きく胸の開いた、そして深いスリットも入っている赤くキラキラと輝くドレスに身を包んで扉から登場したところだった。


「・・・・」

「え!?緊張してるの?」

いえ、クシナのクシナがクシナと主張しているのと、クシナの長くむっちりとしたクシナがクシナと主張しているので、答えられないだけです。


何も話さないスザに、調子が悪いのかと心配してクシナは近づき、額に手をやる。


「顔は赤いけど、熱はないようね」


クシナも少し顔を赤くして、背を向けた。


「き、今日のスザは、ずいぶんと立派に見えていいわね。前髪を上げたのも似合ってるわよ」


そうなのだ。朝一番にイズにいつもの地下室に来るよう言われたので行くと、白の上下に、なんか金色のマント、それと肩から胸まで一体になった金色の胸当てを目の前に出された。そして、有無を言わさず着ろと言われ、着るしかなかったのだ。そして最後に魔法をかけられたら、なぜか前髪が上がっていた。


「今日はその恰好でお願いします」


言われながら、金色の剣を渡され帯剣し、頷くしかなかった。


最上階で待っていると、クシナだけではなく、ナギ、ユウ、マイ、ミナミ、ノブ、サユリ、タケルら配下全員が入ってきた。男は上下のスーツ、女は綺麗なドレスを着ていた。スザと同様、イズが準備したもので、着替えることを要求されたそうだ。


部屋の一番奥には豪勢な椅子が置かれていた。そう、ブックが置かれていた椅子だ。


『それでは、今よりイの国の初代国王 スザの戴冠式を行う!』

イズ様の声だ!イズ様ぁ!


中央広場から声が響いた。そして、


オオオオ!


と声がとどろく。


椅子の後ろから、金髪成人の巨乳美女が姿を現した。そういえば、この部屋の映像を中央広場に映すとイズが言っていたのをスザは思い出した。


「で、あなたはどなた?」


スザは小さい声でつぶやいたので、外には聞こえていない。でも、その場にいた全員がその金髪美女が誰かわからなかった。


金髪美女は、胸の開いた、スリットも入り、宝石をちりばめた白いドレスを身に纏って椅子の前で立ち止まった。スザたちに正対し、微笑んで見ている。その両手には宝石だらけの金色の王冠が乗っていた。


『我が名はイズ。このイの塔のダンジョンマスターである!』


目の前の金髪ボンキュッボン美女が話す声と、外にこだまする声、口の開くタイミングが完全に一致していた。


「えっ!?」


最上階にいた全員が同時に驚きの声を出し、動きを止めた。そしてスザを除く全員が一斉に膝をつく。

それは中央広場に集まった人々も同様だった。


『スザよ、前へ!』


美しい声が響き渡る。スザは、


「はっ!」


と一礼し、イズの前に跪いて頭を垂れた。イズの足が一歩出る。白く、むっちりとした艶めかしい足がスザの前で止まった。


『スザよ!イの国の英雄よ!その能力の限りを尽くし、よくぞこの街を守り、カナヤマの町ではギンの乱を平定し、ダンジョンの魔物の氾濫を防いだ!東に行ってはハイオークから村を守り、キョウの乱では仲間と共に街を守り切った!ダンジョンマスターとして命ずる!今日より、このイの国の国王となり、仲間と共にイの塔の街だけではなく、カナヤマの町、北の湖の町、東の村、そして今後も増える村、町、人々を守り、よき国とするよう努めよ!』


スザは、


「ははぁっ!」


と返事し、一礼した。見上げると、イズの美しい笑顔がある。

ゆっくりと手が下り、スザの頭に王冠が乗せられた。


ウオオオオオ!

スザ!スザ!スザ!


塔にも人々の喜ぶ声が響き渡る。


イズが手を差し伸べた。スザはその手を握り、立ち上がった。

更に外からの歓声が大きくなる。

イズに案内されるまま、スザは椅子に座り、その横にイズが立った。


『今日より、イの国が建国した!イの国の国民よ!我が子らよ!みんなもこのイの国がよくなるよう全員で支え合ってほしいと我は思う!スザは全員が幸せになるよう仲間と協力して皆を導いてくれ!』


ハッ!


最上階の全員が頭を下げた。


『今日は建国のお祝いの日!さあ、我が子らよ!楽しむがよい!』


塔からドンッと大きな音が響いて、宙に花火が花開く。

何度も何度も。


カナヤマのダンジョン入口上空でも、湖の町の畔でも、東の村のダンジョン入口でも同様の花火が上がった。


そして大量の料理が塔、カナヤマのダンジョン、湖の港、村のダンジョンより運び出された。

夜が更けても歓声が止むことはなかった。

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