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第49話 父と子と・・・③

2021.8.4一部手直し実施しました。

流れに変化はありません。

5人は午前中、昼前に湖の畔に着いた。湖の南の端、北の湖の町の、湖を挟んでほぼ反対側にあたる。とりあえず、5人は昼食をとることにした。


「ここまで一緒に来ていただき、ありがとうございます」


タケルは礼を言うが、それは少し違うとスザもクシナも思う。


「いや、礼には及びません。我々はこれから起こるかもしれない戦闘を避けたいと思っているので、そのために動くタケル殿に協力するのは当たり前です」


スザの言葉にクシナも大きく頷いた。


「ここから先、どうするんですか♡」


タケルは首を横に振る。


「この湖にダンジョンがあり、そこにタキ様が守護主としておられるとは聞いております。しかし・・・ダンジョンでタキ様と会えたのは、開祖様だけと聞いております。ダンジョンへの行き方もなにも口伝されておりません」


タケルは顎に手を当て、ムウゥゥと唸っている。

クシナがスザを見て、顎をタケルに向かって振る。


何か言えって?イズからも何も聞いてないし・・・

「ご飯を食べた後、湖畔に行って、「おお!タキ様!我に力を!」って祈ってみたら?」

はあぁ?みたいな顔をクシナがしている。ならクシナも考えてよ!

「・・・そうですね、やってみましょう!」


よしっ!と右手を握ったタケルは、再び昼食を取り始めた。クシナはじとーとした目でスザを見ている。


まあ、タケルがそうしたいなら、いいんじゃない?


スザがクシナと視線を合わせると、クシナは鼻で小さくフッと息を吐いて食事を再開した。



5人は昼食後、湖の水辺まできた。水面には何もない。はるか遠くまで湖が続いている。対岸側に小さい黒い点が見える。それが北の湖の町らしい。


「タキ様!私に力を!父は自らの野望のために、イの塔の街を攻めようとしております!私はそれを止めたい!」


何も変化はない。突然タケルは走り出した。そのまま湖に入り、腰まで水につかり、


「今の私では父を止めることができません!父を止めたい!町の人々が父の野望に飲み込まれ死んでいくことなど望みません!タキ様!得た力を私欲のためには使いません!町を!イの塔の街も、カナヤマの町も、イの国も守る!人々を助けるためにしか使いません!タキ様!私に力をお与えください!」


何度も何度も叫び続けるタケル。その背中を見ていたクシナは突然走り出した。バシャバシャと湖に入り、タケルの横に並ぶ。


「私もお願いします!タケルさんに力をお貸しください!」


2人が叫び続ける。


「あああぁ、もう!」


その姿に、スザは髪をガシガシとかき、湖に飛び込んでタケルの横に並んだ。


「俺はイズと一緒にイの国を建てました!今はイの塔の街とカナヤマの町が入ってますが、北の湖の町も入ってほしいと思っています!この戦を止めて、タケルと力を合わせて北の湖の町もイの国と一緒にみんなで幸せになれればいいと思っています!タケルが暴走しないように仲間たちと一緒に協力していきます!イズも力を貸してくれると言ってます!タキ様も俺たちに力を貸してください!」


3人は大声で叫んでいた。


「何か、いいですぅ♡」


3人の背中を見て、ミナミはほんわかしたものを感じた。


「そうですね、私もその中に入れたらいいのですが・・・」


ミナミは首を傾げ、きょとんとした顔でナギを見上げた。


「ナギさんは面白いですぅ♡スザ様と一緒にいたいと思ったら、もうその中に入っているんじゃないですか?♡つまり、私もナギさんもスザ様の仲間ですぅ♡」


思ったもの勝ちですぅ♡とウィンクして、ミナミは3人に視線を移した。


「そうですね、もう仲間です。思ったもの勝ちですね」


ナギは笑顔で仲間たちを見ていた。


『その思いは本当か?タケルよ』


突如、言葉が聞こえた。タケルはスザとクシナを見た。2人は大きく頷いた。


「タキ様!私は無意味な戦闘を止めたい!父を止めたい!町の人を守りたい!人々を守りたい!」


力の限り、タケルは叫んだ。


『ならばそれを証明せよ!』


その声と共に、水面が渦巻き、穴が現れた。洞窟のようだ。タケルはその穴に躊躇なく飛び込む。スザとクシナは視線を合わせ、頷いた。


「ナギさんとミナミはここで待っていて!」


スザはそう言って返事を待たず、タケルの後を追って穴に飛び込んだ。クシナも続く。3人を飲み込んで穴は閉じ、すぐに元の水面に戻った。


「スザ様♡、クシナ姉さん、タケルさん、ご無事で♡」

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