第48話 父と子と・・・②
話が終わり、スザはタケルを連れマイに合流した。タケルはスザとマイが半日もしないうちに魔法で3階建ての建物を建てたのを近くで見て、口があんぐりと開いたままだった。
「開いた口が塞がらない♡」
ミナミちゃん、タケルを指差して笑うのはやめなさい
行政府は1階が受付や相談所、会議室、2階が執務室、3階がノブ、マイ、ユウなどが住む居住室となる予定だ。机や椅子はイの塔から持ち込むらしい。あとはマイが明日ノブたちとやるそうだ。
タケルはまた牢に戻った。皆と一緒がいいらしい。タケルと湖に行っている間にノブが捕虜に話をして、この街に協力するのであれば街に入れるとタケルに言っていた。タケルが少しは説得してくれると期待もしているだろう。
スザは地下のイズの元を訪れていた。イズが来いといったからだ。
「お疲れぇ」
気の抜けたマスター様の登場だ。
「あんた、その髪型いつまで続けるつもり?」
「いつまでって・・・」
「幼少期に父と母を殺されたのが、自分の目のせいだなんて、そんなことはないからね」
スザは動きが止まった。
「なんで知っている?って顔ね。知らないわよ、想像よ、想像」
「なにを・・・」
「あんたは優しいから、勝手に思い込んで、自分の目が人から見えないように前髪を長くしてるんでしょ?」
「だから、何を」
「あんたが好きな連中は、十分強い!自分自身で降りかかった火の粉を払うことができるわ」
スザは黙った。
「ナギとクシナはもう十分強いってわかってるわね。そして今回、あのミナミちゃんに命を救われた。あんたと親友のユウだってこの街を守り切った。あんたの目を見ても誰も不幸にならない。たとえ不幸が来ても、その不幸が逃げていくほどだわ。仲間を信じて、そして自分を許してあげなさい」
スザは無言を貫いた。
翌日。スザ、クシナ、ナギ、ミナミにタケルを加えた5人は北門から出発した。道中、簡単な自己紹介をした。タケルはナギとミナミを知らないからだ。
そこでタケルは、
「どうして前髪を長くしているのですか?戦うとき、見づらくないのですか?」
誰もが疑問に思いながらも聞けない質問をスザにぶつけてきた。
タケルは天然なので、自分がスザの地雷を踏んだと気づいていない。
自然な疑問に、スザは、
「・・・ちょっと小さい頃、色々あって・・・なんか伸ばすのが当たり前になったんです」
「へぇ・・・話すんだぁ」
ついクシナが呟いた。
「え?・・まあ、昨日イズにもこの前髪について言われて・・・」
ぷぅ♡とミナミの頬が膨らんだ。
「またイズ様ですぅ♡」
「ほんと!」
なんか、女子たちの視線がキツイです
「私、金髪にしたいですぅ♡」
「ミナミちゃんは、その黒髪と可愛く跳ねる後ろで結んだ髪がとてもいいのよ」
「じゃあ、胸を小さくしたいですぅ♡」
「・・・私も・・・」
いえ、未来はそこにあるのです。輝かしい未来を守りたいです
ナギは先頭を歩いている。なんか速度が上がったような・・・
「あ、ナギ殿、私がご案内します」
おい!タケル!お前がこの空気を作ったんだぞ!逃げるな!
「そりゃ、イズ様だから・・・美人で・・・敵わないですぅ♡」
「なんか口調もおしとやかで、切れ者で、美人で、小さくて、守りたくなる・・・」
クシナさん、あなた、どの人について言っているのですか?
「でも、スザ様を思う気持ちは一番のはずですぅ♡」
「・・・」
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