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第19話 ダンジョンの町“カナヤマ”攻略戦⑧

2021.8.4一部手直し実施しました。

流れに変化はありません。

カナヤマの大門を出たところで、クシナたちは響き渡る叫び声を聞いた。門を守る監視兵を魔法で倒し、今から逃げようとしたその矢先だ。


「マイ!」

「なに?」


クシナの声に、マイはさっと駆け付けた。


「スザが隠した馬車を見つけて逃げなさい」


スザがクシナに教えた馬車のことは逃げながら話していた。マイは何も言えなかった。クシナの顔は、すでにカナヤマに向いている。


「わかった。スザと無事に帰ってきてね」


マイに視線を戻し、ペシッとゆるくデコピンをしたクシナは、


「生意気言わないの・・・頼んだよ」


真剣な表情で頷いたマイに笑顔を見せ、クシナは走り出した。門に入って行く後ろ姿を見送ったマイは、さあ帰るわよと速足で少女たちを引っ張っていった。



「すごい・・・」


サユリは自然とつぶやいていた。その声にナギも小さく頷く。

何十体ものゴーレムが地面に転がって動かなくなっていた。しばらくするとぼろぼろと崩れだし、あるものは輝く鉱物の塊を落としていた。


その中心にはスザがいた。まるで何人ものスザがいるように見える。


「残像か」


ナギはスザの動きが理解できた。ゴーレムの前で一瞬止まり、体をさらす。その姿を認識して攻撃しようと腕を振り上げたときには、既に背後に現れ、体を突き刺していた。一突きでゴーレムが倒れていく。急所の魔石を短剣で破壊しているのだろう。


現れては消え、現れる。わからない人間には、スザが分身して戦っているように見えるだろう。


「でも、まずいわね・・・」


圧倒しているスザを見ながらも、サユリは訪れる悲劇を予感していた。


『スザ!まずいよ、まずい!』

わかっている。このままじゃ体力が続かない。


罠は最初に隙を作るのに使ってしまった。ゴーレムが多すぎて手を休められず、罠の設置もできない。体力を回復する隙も無い。ゴーレムは感情がないのだろう、まるで死神の効果がない。ゴーレムの死体を見てもひるむこともなく、攻撃を仕掛けてくる。すでにスザの気配を掴んでいて、身を隠すこともできない。


スザはチラとギンを盗み見る。腕を組んでふんぞり返っていた。笑顔が張り付いている。余裕の表情だ。


ゴーレムがダンジョンから出てくる勢い、数も変わらない。無限に出てくるとしか見えない勢いだ。

ゴーレムを倒すから、バンバンに等級は上がっているが、使った体力は回復しない。力は増し、動きも洗練され、使う体力も等級が上がることで減ってはいるが、残された体力は回復しないため、ジリ貧状態だ。


「どうした?もう終わりか?」


ギンは、ゴーレムを倒しまくるスザに笑顔を向けた。素人にはわからないが、スザの動く範囲がどんどん小さくなっているのをギンは看破していたのだ。

速度が落ちればやられることをスザは理解していた。なるべく動きを小さくして素早く倒す。まだ終わらない!その目はまだ死んでいなかった。


「もう飽きたな。戦争は物量なのだ。少年にはわからないだろうがな」


ギンは体ごと視線をそらした。


『ぐぬぬぬ』

「黙れ!」


一瞬で姿を消したスザは、瞬時にギンの左側面に現れていた。と同時に体重を乗せ、剣を前へ。

渾身の突き!


ギンッという金属音と共に、スザの体は勢いのままつんのめる。ギンはただ剣を鞘から半分ほど抜いて、鋭い突きを刀身で流したのだ。くるりと体を回転させながら剣を抜いたギンは、スザのがら空きの背中に切りかかる。


「簡単に釣られる。経験の少なさ故か」

『スザァアァァ!』

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