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第14話 ダンジョンの町“カナヤマ”攻略戦③

2021.8.4一部手直し実施しました。

流れに変化はありません。

炊飯の煙も納まり、町は夜に包まれ、家や道に灯りがついていく。スザは気配を隠したまま、町中をめぐり、時を待った。食事が終わり、ほっと一息つき、自然とざわついた時、スザは少女たちがガヤガヤと動く中に突然現れた。それに気が付いたのはマイだった。


ふわりと風が吹いたと思ったら、窓際に人影があったのだ。唖然としたマイに、


「クシナはどこ?」


と小さな声で聞く。マイはサッと窓際に近づき、スザの姿を背で隠しながら周りの視線を遮るように立った。


「ここにはいないわ」


マイは口をあまり動かさないよう小声で続ける。


「昨日の夜、責任者に合わせろと騒ぎを起こしてこの部屋から出て、帰ってきていないの」

みんなのために行ったのだろう。


あいつらしいとスザは思う。


「わかった。向かいの建物に責任者というか今回の首謀者がいるだろうから、一緒に確認してみるよ」

「クシ姉をお願い」


気づいたら、もういなかった。本当にスザだったのか、そもそもそこにスザがいたのだろうか・・・。


存在感がないのはいつもと一緒だったが、柔らかい雰囲気はなかった。クシナがいつも気にかける、頼りないスザではなかった。スザの顔をした別人だと言われても、認めてしまうくらいだ。マイは複雑な思いのまま、立っていた窓から外を眺めていた。


スザは講堂を去ったあと、広場を挟んで反対側にある建物に張り付いていた。


入り口の看板には「町役場」と書かれている。本来であれば町長がいるところだ。しかし午前中に集めた情報では、冒険者「ギン」という男が町長の代わりを務めているようだ。町長を補佐していた行政官「サユリ」という女性も町長と一緒に行方知れずらしい。


今、この町は「ギン」とその副官「ナギ」という冒険者二人で行政を回しているのだ。町民は何の説明もなく、突然軍を掌握した「ギン」に困惑していた。左頬に大きな傷を持つ「ギン」は相当な剣術の使い手だったが、面倒見のいい冒険者の頭のような存在だったらしい。


しかし一週間前、何日も潜っていたダンジョンから戻ってきた時から、様子が変わったようだ。そして突如町長を更迭し、軍を掌握、そのまま町民に何の説明もなく良好な取引相手だった“イの塔の街”を攻めて少女たちを拿捕してきたのだ。


何も言わないナギや軍の様子に町民たちは恐れ、ギンに従っているらしい。しかし「少女たちを連れてきたのはやりすぎだ」という声が小さいながらも町の中であふれていた。特に女性たちは相当怒っている様子だった。


スザは新たな能力に入れた体術で身体能力の底上げを行い、静かに建物の壁を上って一番の上階、3階の光が漏れる窓の近くに身を潜めた。小さいながらも内部の話し声が聞こえる。


「ナギ。で、お嬢さんの様子はどうなんだ?」

「まあ、きちんと食事を取っておられます。深く考えられているようですが・・・」

「時間はたっぷりあるからな・・・」


ギンはそれ以上何も言わず、机の書類に向き合った。

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