第154話 教会の少女⑫
評価をいただきました。
ありがとうございました。
がんばります。
2021.8.10一部手直し実施しました。
流れに変化はありません。
コンコンコンと部屋の扉が叩かれた。外はもう暗くなっていた。
「ハルカ様。スザ様がお戻りになり、お話をしたいと言われております」
侍女の言葉。部屋に明かりはない。ハルカは床に座り、ベッドの縁を背にしていた。ボーと宙を眺めている。
「教祖様襲撃未遂及びサトシ様殺害の首謀者を捕まえて、祈りの部屋に連行しているのです」
ハルカはバッと飛ぶように立ち上がり、ガチャッと扉を開け、侍女を押しのけて階段を駆け下りた。
「スザ様!首謀者が・・・」
祈りの部屋に飛び込んできたハルカは、異様な光景に言葉を止めた。土の棺が5つ立っているのだ。目のところがあいている。近づくと目がキョロキョロと動くので、5人とも死んではいないようだ。
「ハルカさん、すみません。お疲れのところ」
棺の側に立つスザの言葉に、ハルカは首を横に振る。
「お疲れの方はスザ様の方です。私が不甲斐ないばかりにご迷惑をおかけします」
ハルカは頭を下げた。上げた顔の白さ。まだ体調が優れないようだ。サトシを亡くした衝撃をまだ消化できていないのだろう。スザは首を小さく横に振り、
「ここの法律がわからなかったので、とりあえず生かして捕らえました。この5人が首謀者です」
スザは5人の顔の部分の土を取り除いた。
「冤罪だ!」
「司教様!?」
まず叫んだのは、ハルカの前から去って行った禿げ頭の司教だった。
「私はこの4人の町の権力者によって脅され、仕方なく・・・」
「何を!一番熱心にここを攻めようと計画していたのは!司教!あんただ!」
「そうだ!」
「そうだ!」
そう声を上げるのは、ハルカ曰く、この町の経済を牛耳っている豪商たちだった。権力を握る司教とつるんで利権を貪ってきた豪商が、この町を今後も牛耳るために起こした教祖殺害未遂だったのだろう。
ギャーギャー言い合う5人の前ではうるさすぎるので、スザはハルカを連れ、少し離れた壁画へと近づく。
「どうしますか?」
「今までは司教様が犯罪者を裁いていたのですが・・・」
司教は犯罪者として捕まり、騎士団はサトシが死んで壊滅した。司教がすべてを行っていたので、司祭はおらず、小間使いのような若い助祭が数人いるだけ。壁画教とは司教と神聖騎士団が運営していた小さな宗教だったのだ。
「どうしましょうか・・・」
困った表情でハルカはスザを見る。スザは少し考え、
「公開裁判でもしますか?」