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第150話 教会の少女⑧

本日は昼のみの更新です。

すみません。ストックが少なくなってきました。

ゴーレム馬、ゴーレム馬車を連れたイズ、ナナミ、ミサ、トラは、スザ、クシナ、ナギと合流し、教会の町の門の前まで来た。監視櫓からミナミが飛び降り、スザに抱き着く。ミナミを下ろした時、ギギギ・・・と音を立て門が開いた。


監視櫓にいた白いローブの少女、騎士と禿げ頭の白マントのおっさんが現れた。


「この教会の町を束ねている司教でございます」


禿げ頭を下げるおっさんは教会のお偉いさんだった。


「この度は助けて頂きありが・・」


司教の言葉を無視して、白のローブの少女が駆け出し、スザの前に跪いた。


「救世主様!あなたはあの壁画に描かれた救世主様です!」

「えっ!?」


2人目の時を止める少女がここに誕生した。



「これです」


スザたちはハルカ、サトシ、禿げ司教に案内され、教会の祈りの部屋に通されていた。


「この壁画がいつ、誰によって描かれたのかは誰も知りません。しかし、この壁画はこの世界の歴史が描かれていると言い伝えられております」


ハルカの言葉に禿げ司教も大きく頷いていた。

スザは動かない。


「どうしたの?」


クシナが怪しがり、スザの顔を覗き込みながら声をかけた。スザの目は大きく見開かれていた。ハッとしたスザは振り返りイズを見た。


「俺はすべてじゃないけど、この光景を見たことがある」


スザはそう言って壁画に近づき、壁画の右側の部分を示しながらイズを再び見た。


「ここだ!この部分!ダンジョン核に触った時、何度かこの光景を見たんだ!」


噴火する山々と灰色の建物を崩し、人々を踏みつけ食べる魔物たちが描かれている。


「こっちの綺麗な建物や空を飛ぶものも見た。魔物たちが溢れていたところが、最後には塔や洞窟に代わっていくんだ。俺が見た光景がなんでここに描いてあるんだろう?」


イズは黙って指差した。それは、壁画の中央にあるひび割れた球。


「もうあんたはそれが何か知っているでしょ?」


イズの問いに、スザは頷いた。


「ダンジョン核。でもひび割れている」

「でも球として存在している。・・・それに、ここには3人魔法を使えるものがいる」


イズとスザは、ハルカとその後ろにいるレン、カイトを見た。視線を受け、ハルカは口を開く。


「私はこの球から言葉を受けました。人々を救えと・・・そうしたら、人々を癒す魔法を使えるようになっていました」

「俺も・・・」


レンとカイトもハルカの言葉に大きく頷く。


「そして先ほども言葉を聞きました。外を見ろと・・・そしたら、魔物の大群が迫っていました」


イズはスザに顎をしゃくった。

スザは近づき、ひび割れた球に右手をペタンと当てた。



スザは宙に浮かんでいた。隣に何かいる。しかし、何かはわからない。ぼんやりとしたもの。


足元では、いろんな色の四角い箱たちがものすごい速さで走っていた。その横には巨大な建物が乱立している。透明になっていて、中にたくさんの人々がいた。笑顔で、たくさんの料理を食べ、飲み物を飲んでいた。


海の横に巨大でぐにょぐにょの細長い管が接続された物体が乱立し、高い円筒の上部から煙が空にまき散らされていた。それが無数にあった。

海には無数の巨大な鉄の箱が泳ぎ、空には巨大な鉄の細長い翼を持った物体が無数に飛んでいた。


砂の上で動物が死んで干乾びていた。人も干乾びていた。

森林は焼けていた。海に浮かんだ巨大な氷が崩れた。海の生物が浮かんで死んでいた。山が崩れた。川が氾濫した。


人々が殺し合っていた。爆発で飛び散る人々、大地。


たくさんの白衣を着た人々が話し合っていた。

画面には丸く青いものが描かれていた。そこにたくさんの黄色い光が灯されていく。箱や透明な物体、画面が設置され、人々が笑顔で握手していた。画面が分割され、同じような笑顔の人々が映っていた。


巨大な建物の中、地中に埋め込まれる筒。さらに地上から天へと伸びる建物。さらに燃える森林。氾濫する川。白衣の人々の背後の箱の光が激しく瞬く。ゴーレムのようなものが動いて透明な容器をいくつも作っていく。中には何かが水の中に浮かんでいた。


どんどん大きくなり、透明な容器が割れる。弾ける無数の容器。建物を突き破る魔物。竜や地竜、数多くの魔物が散らばって行った。白衣の人々は右往左往している間に魔物に殺されていた。それが黒い画面に反射していた。

画面に映し出される青い球体。その中でいくつも点灯していた黄色い輝きがいつの間にか赤く点灯していた。


地上を席巻していた魔物が殺戮をやめ、引き上げて行く。その先には洞窟や塔ができていた。青い球体の上で点灯していた赤い光が青く変わっていく。すべてが青く変わった後、ひとつ、またひとつと消えて行った。


フヨウナソンザイ・・・コノホシヲケガスモノ・・・カナラズ・・・


人々が跪いている。全員がこっちに向いて頭を下げていた。なぜか守りたいと思った。海も山も動物も植物も。そして、目の前で喜び悲しみ祈る人間も。


やせ細った少年2人と少女。魔物に殺されそうになる3人。少年たちは少女を庇い、魔物に飲み込まれる。ズタズタの血まみれの3人が目の前に横たわっている。息はある。3人の体が輝き、傷が治った。徐々に暗くなる。

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