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第110話 ダンジョン五重塔②

またブックマークをして頂きました。

ありがとうございました。

『私たちの目的は何?』

「俺たちが関与するすべてをイの国にして、皆を幸せにすること」


イズの問いに、間髪入れずスザは答えた。イズはうんうんと頷く。


『目的は失っていないようね。じゃあ、それを成すために必要な目標は何?』

「目標?」


スザは首を傾げ、クシナ、ナギ、ミナミを見る。3人ともスザと同様、わからないといった表情だ。


『簡単よ、イの国化する村や町を救うこと。じゃあ、その目標を達成するためにすることは何?』

「・・・魔物などから人々を解放すること?」


イズはうんと頷く。


『魔物から人々を解放するためにすることは何?』

「魔物との戦いに勝利すること」


スザの目がどんどん輝きを増してくる。


『勝利するためにすることは何?』

「俺が強くなること!」

『違う!』

「えっ!?」


スザは驚き、クシナを見る。クシナも驚いている。ナギもミナミも驚いていた。


『イの国の王であり、イの国の希望そのものである、スザ。あんたが生き残ること!』


イチは再び深く頷いた。


『あんたがいれば、魔物との戦いは勝利できるわ。希望があれば人は戦うことができ、最後には勝利できる。だから、あんたが生き残ることが最も重要なのよ。つまり!』


イズは、クシナ、ナギ、ミナミへとゆっくりと視線を動かし、スザを見た。


『スザを守って他の仲間が死ぬこと!』


スザはわなわなと口を震わせる。クシナ、ナギ、ミナミはスザを見て、そして3人が視線を交わし、頷いた。


『スザ、あんたの代えはいない!でも・・・仲間の代えは効く』

「何をばかな・・」

「わかりました!」


スザの言葉を打ち消すように、クシナが返事をした。

すべてを理解した、晴れやかな表情だ。


「セイラもユリもアヤメもレイも、自分の役目を果たしたのですね!だから笑顔で死ねたのですね!」

「そうだ!4人とも死んだのに笑顔だった。笑顔だったのは自分の役目を果たしたからだ!」


ナギも大きく頷いた。


「覚悟が足りなかったのは、私もです。セイラ、ユリ、アヤメ、レイの足元にも及ばなかった。もう一度、言わせてください。私は、絶対にあなたを守ります、生き残らせます。私が必ず」


ナギはスザを見つめた後、頭を下げた。


「私も、スザ様の盾となりますぅ♡!その代わり!」


クシナもスザもイズも、ミナミに視線を吸い寄せられた。


「早く赤ちゃんが欲しいですぅ♡!」

・・・


おっと、時が止まったようだ。ミナミは時を操る魔法が使えるんだね


『ん・・ゴホン!その辺は、スザとクシナとミナミで話し合うように』

おい!止めろよ!

『覚悟が決まったか?ああ、もちろん生き残ることよ?』


スザはほっとして


・・・いや、ほっともできないよ


「決まるわけないよ!皆が俺のために死ぬなんて耐えられるわけない!」

『・・・まあ、あんたがそんなに簡単に“俺のために死ね!”なんて言えるわけないわね、そりゃ。でも、クシナ、ナギ、ミナミ、いいわね?』


3人はキリリとした表情で頷いた。


「おいっ!俺は」

『ほんと、うるさいわねぇ。3人が勝手に覚悟を決めたのだから、あんたが悩むことはないのよ!ぎゃーぎゃー言う前に、復讐とか敵討ちとかではなく』

「それはわかりました。俺たちの目的を達成するために、キドウマルを討つ。俺を守ってくれた4人のためにも、俺は必ず勝つ。そのためにはやるべきことをすべてやる!」


クシナ、ミナミ、ナギへと視線を回し、イズを見た。


「俺が強くさえいれば、俺の代わりに死ぬなんてことはないからね!」


そしてスザは応接台の上の4つの魔石を見て、


「死んでからも頼るなんて申し訳ないけど・・・4人とも俺の力になって欲しい」


クシナの目には、4つの魔石がはいっと瞬いたように見えた。

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