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第8話 イの塔の街解放作戦②

2021.8.4一部追記及び手直し実施しました。

流れに変化はありません。

『ちょっとキツイわね』


南門の布陣を実際に現場で確認すると、スザもイズと同じ思いだ。


櫓の上の監視兵の数は一人だったが、門の両側に二人ずつ、門左右側の巡回も二人ずつの警備体制だ。一人なら死角や背後から暗殺できるが、二人ではそれを発見されてしまう。投擲して暗殺しようとしても、今の能力じゃあ5mくらいに近づかないと厳しい。すぐに発見され、仲間を呼ばれるだろう。


『職業はまだ一つしか選択できない?』

変わらない。

『職業を変えよう。狙撃手はある?』


あったので早速変えてみた。補正値は5まで下がったが、短剣が当たるだろうと思える距離は約3倍の15mくらいにまで伸びた。


『もうやるしかないわね』

スザは頷く。

『柵の外側、暗闇の中から短剣を投げ続けよう。櫓の上の監視兵を倒して、そのあとは臨機応変に』

えっ!?

『あぁ、じゃあ近くのやつとこっちに気づいてないやつを優先的に。逃げながら職業を暗殺者に変えて、暗殺していくようにしよう』

軽く言ってくれるね。

『重く言ったら、無理に思えるでしょう』

ハイソウデスネ。


スザは南門から離れ、柵を越えた。暗闇の中にまぎれ、森に入り南門の前の少し広場になった手前の木々の中にしゃがんで待機する。


門を中心とした半径10mの広場に南から街道がつながっている。道幅は5m程度。両側に木々が生い茂っている。短剣を投擲しながら街道の南側へとおびき出し、各個撃破を狙う。


ただゆっくりとこの街を、空を、海を、山を見るのが好きだった。ただみんなが楽しそうに暮らす姿を見るのが好きだった。柄じゃないとわかっている。でもみんなを助けたい・・・だからやるしかない!


スザに見えるのは、正面の櫓上の監視兵1人と、門の両側に立つ4人。視線を横に広げると、右手と左手に離れて巡回している4人。休憩している兵はいないのは確認している。中央広場から後程くるのだろう。


投擲できる短剣は8本。足りない分は途中で回収するか、近づいて暗殺すればいい。足元に突き刺した5本の短剣のうち、2本を両手に1本ずつ取り、利き腕の右手で投擲の構えをとる。


『集中!』

了解!


じっと見つめると、命中するであろう範囲が狭まり、動く監視兵の首に焦点が絞られてくる。今だ!そう感じた時には、短剣は宙を舞い、ドスッと狙い通り首に突き刺さっていた。


『次っ!』


すぐさま左手の短剣を右手に持ち替え、構えをとりながら集中する。櫓から落ちた音に4人が一斉に背後を見せた。一番近い1人に短剣を投擲したと同時に地面の短剣を取り、連続で投擲する。1人は首、1人は背中に刺さった。残りの2人は刺さった短剣を発見し、


「敵襲!敵襲!」


巡回している左右の兵士に大声で叫んだ。


『落ち着いて!門から近づく2人に!』


スザは残りの2本を地面から抜き取り構える。十分狙える距離がある。8m!放つ!


「ぎゃぁ!」


左目に突き刺さった短剣で倒れ、のたうち回る。その姿が目に入り、ひるむ兵士。


一瞬の停止。


その時には首に短剣が突き刺さり、兵士は即死していた。のたうちまわっていた兵士も脳に短剣が刺さっていたのだろう。すぐに静かになった。


『予定変更!近い方へ移動!右側の2人に向かって!』

了解!


身を低くし、木々の間を抜け、迫ってくる2人に向かって静かに移動する。


『迎撃!』


木の裏に隠れ、しゃがむ。短剣を取りだし構えた。2人の兵士が門に向かって走ってくる。スザの目の前を通り過ぎる時、手前側の兵士の首に短剣が突き刺さり、どうっと倒れこむ。急停止しようとした兵士の腹に短剣が突き立つ。


「ガハッ」


血を吐き、くの時に折れ曲がる兵士の背中に上部から勢いよく短剣が振り下ろされ、心臓を貫いた。

死亡した2人から短剣を計4本回収し、スザは再び木々の暗闇に潜り込んでいく。


「あっちだ!あっち!」


門へと駆け寄る兵士たちは、倒れている巡回兵から成人より少し小さい影が木々の中へと消えていくのを見つけた。


「一人か?」

「わからん。だが少ない人数だろう」


2人は走りながら頷き、二手に分かれる。1人はそのまま倒れた巡回兵たちへ、もう1人は門の正面側の街道へと曲がった。木々の中で挟み込もうとしているようだ。


『あんた、運がいいわね。かもねぎよ』


スザはイズが何を言っているのかよくわからなかったが、腰くらいの高さの光が二つ木々の中へと入ってくるのが見えた。


『門に近い方から倒して』

了解。


スザは木々の中を南に迂回し、門の正面側街道から入ってきた兵の予想進路の近くに隠れ、兵が近づくのを待つ。投擲は木々が邪魔になって兵まで届かないだろう。背後か横から襲い掛かるつもりだ。


スザを見つけようとカンテラの光を左右に振りながら、兵はガサゴソと大きな音を立てて移動している。スザの近くに来た。カンテラの光は届かない。スザに気づかず更に奥に進む。すでに職業を暗殺者に変えていたスザは、背後から一気に急所を突いて絶命させた。


スザは力を失った兵士が前に倒れないように背後から支えながら、大きな木に死体を寄り掛けさせた。兵士の腰の剣を抜き、体を貫いて木に縫い付けた。カンテラを手で持って上下に大きく揺らす。そして腰に戻して姿をくらました。


「お!?合図か?」


大きく揺れたカンテラの光が目に入り、最後の1人が急ぎ足で死体に近づいていく。


「やったのか?」


返事はない。


「おい、どうした?」


更に近づいて、兵士はやっと気づいた。剣で貫かれ絶命していたのだ。やばい!と思った時には、最後の兵士の心臓はすでに背後から貫かれていた。木から死体を下ろし、短剣と腰の剣を2本奪ってカンテラを消し、スザは門へと戻っていく。


『さあ、またお客さんが近くに来たわよ』

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