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第103話 命散って③

またブックマークをして頂きました。

ありがとうございます。

励みになります。

「どうするのですか?」


アヤメは前を走るスザの背に疑問をぶつけた。


「釣る!」

「えっ!?」


スザは振り返り、笑顔を見せる。


「アヤメは俺が指示するところに魔法を出して」

「はいっ!」

「じゃあ、止まるよ!」


魔物たちから100m程度離れたところでスザとアヤメは走るのをやめて足を止めた。ワイバーンは翼を休めているようで、空には今、何も飛んでいない。


「アヤメ、おいで」


スザは両手を広げ、胸に飛び込めと手をくいくいと動かす。それを見て、アヤメは顔を赤め、


「そんな・・・スザ様・・・こんなところで・・・」


もじもじとしている。

あっ!とスザは驚き、顔を赤らめた。


「いや、違う・・・空に飛び上がるから・・・」


あぁ・・・アヤメは顔を赤らめたままスザの首に手を回し、体を密着させた。スザは細い腰に左手を回し、ドンッ!と風魔法で飛び上がった。一気に30mくらいの高さに届いた。


「ほら見て!」


その声にアヤメはスザの胸にうずめていた顔を離す。


「魔物だらけ!」


アヤメの言う通り、下は北まで魔物で埋め尽くされていた。その北の方に、魔物に囲まれたワイバーンが4体いる。さらにその中央にワイバーンの2倍はある巨大な茶色の魔物が鎮座していた。


魔物名:地竜 特徴:土属性の竜。土魔法を操る。地に潜ることができる。口から火を吐く。 属性:風属性に弱い 備考:小さな翼はあるが、空は飛べない。


「なんてものが・・・アヤメは俺の左手側の敵にウォーターランスを!」


アヤメは首から右手を離し、


「ウォーターランス!」


叫びながら手を振り下ろした。手の先の空間から太陽の光をキラリと反射しながら、無数の水の槍が地面に向けて発射されていく。同時にスザは右手を下に向け、


「バースト!」


その声と当時に灼熱の炎がスザたちの足元に湧き、黒くうごめく魔物の一団に落下した。

突如水の槍に上空から貫かれ、魔物たちが爆散する。


反対側の地上では落下してきた炎の塊が地上にぶつかると同時に膨れ上がり、ドオオオン!と巨大な音を立てて破裂した。その炎に巻き込まれた魔物たちは一瞬のうちに消し炭になり、爆風で跡形ものなく塵となって吹き飛ばされていた。爆発の衝撃波が円形に広がり、周りの魔物たちを吹き飛ばしていく。



「来た!」


クシナは隠れていた森の中から飛び上がる。つられてミナミとナギも立ち上がった。魔物の軍勢の後ろの方で巨大な煙が立ちあがっていた。


「スザ様♡!」


ミナミは枝葉だらけで見え辛い中、宙を自由落下する遥か遠くに小さく見えた黒マントを指差した。

ナギとクシナは、魔物たちが一斉に振り向き、ざわついていることを理解した。


魔物たちの鳴き声が地響きのように響き渡った。ワイバーンが飛び上がる。1、2、3、4・・・。4体のワイバーンが翼をはためかせ、南へと飛んでいく。それに合わせて魔物たちも南側へ移動し始めた。

クシナ、ミナミ、ナギの3人は目を合わせ、深く頷く。そして魔物から身を隠すように森の中をゆっくりと南に移動を開始した。



「うまくいったようね」


閃光、巨大な煙、そしてワイバーンの飛翔を見て、イチは一人呟く。


「来るぞ!準備はいいか!?」

「おお!」


軍司令タカの声に、兵士たちは待ってましたと声を上げた。

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