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肌寒い春の訪れ

ちょいと久しい登校日だ。俺は以前通り、早めに家を後にして足早に通学路へと着く。


少しばかり眠気が孕んだ状態での徒歩となるが、学校もそれほど遠くはないし、早めに家を出発したのにも理由がある。


「席に着いたら睡眠セカンドラウンド突入だな。」


そう。俺は学校がある日は自身の席で二度寝をするのが習慣化していた。


というのも俺の席は教団から見て右側の最奥に位置しており、窓側でもある。


その為午前の時間帯は絶妙な角度で日光が差し込んでくる。


俺は特に現在のような肌寒い時期の寒暖の饗宴が大好物であった。


久しぶりのその感覚が味わえると楽しみにしながら、ボサついた髪と手の甲を肩に乗せ、学校指定の鞄を背負うように、猫背の姿勢で足を進めていると


「おーい」


なんだ朝から騒がしい


「おーい!」


呼ばれてる奴早く気づいてやれよ。俺はセカンドラウンドが待ってるんだよ


「おいてめぇ!無視すんなって!!」


その声音は俺の肩が掴まれるのと同時に耳元で発せられていた。


「お?あぁなんだ。裕司か。」


「聞こえてんじゃねーかよ。今日は家族に続いてお前まで冷たいのかと思ったじゃんかよ。」


こいつは三戸 裕司 だ。


バイト先が同じという事もあり、学校では数少ない…と言うよりただ1人の俺が友達と呼べる存在だ。


「てか裕司、今日は遅刻寸前じゃないのな。」


「そりゃ転校生が来ると知ったら誰よりも先にお目にかかりたいもんだろ。」


何?転校生が?初耳だ。


俺が顎に二本指を当て感がある動作を見せていると


「お前そういやグループ入ってないもんな〜」


こいつは何を、嘲笑の笑みを此方に向けてくる。このやりとりも何回目だと口を挟みたくなるが朝の栄養が回っていない身体では重労働に等しい。ここは流しとくのが得策だろう。


「そんな分かりきったことを」


「実は気にしてるんだろう〜?」


あいも変わらず飽きないものだな。そこだけは感心するぞ。


薄手のシャツじゃまだ少し肌寒く、動物やふきのとうなどの山菜がめを覚ます初春。


お調子者のこいつの隣を歩いているのも案外悪くないなと毎度浸る感慨に今日も浸かりながら肩を並べ学び舎へ一歩また一歩と歩いていた。






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