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山奥の喫茶店  作者: イエロースリープ
4/5

犠牲者の目撃者

「ジョニーが血を流したまま誘拐された。」


アダムは怯えた声で、何度もその言葉を繰り返していた。

あまりにも急すぎる事態に、ジョシュたちは愕然としていたが、ニーナはすぐに彼らに言った。


「警察に通報してくる。あなたたちは中にいて。外に出るのはダメよ。危なすぎる。」


彼女はそう言って、外が危険だというのにも関わらず、古い携帯電話を持って外に出た。

しばらくして、ニーナは喫茶店に戻り、入り口のドアの鍵を閉めた。

ジョシュは、心霊スポットではないと気づいた。

その”何か“というのは、幽霊でもなく、ヴァンパイアやゾンビのような、何かしらのバケモノであるということを知った。

アダムやジョシュ、エドワードは、ベティーのように、ビクビクしていた。

ベティーは今も前を向いてビクビクしている。

喫茶店の外に何かがいるという状況の中、ニーナは冷静に言った。


「警察が来るまで喫茶店の外に出ちゃダメ。何かがいる。」


喫茶店から出てはいけないということを言われた彼らは、早く逃げ出したかった。

ドアを開けて、車に乗って逃げれば命は助かるはずだが、もしもその間に襲われたらという不安があったせいか、誰も逃げることができなかった。

しかしエドワードは、喫茶店の中で警察を待つよりも、早く逃げることだけを考えていたのか、彼はニーナにこう言った。


「ここにずっといても、ここに来るかもしれないだろ。」


そう言って彼は、その”何か“を確認するために、窓から向こう側を見渡した。

見渡しても森ばかりだったが、彼は目を凝らして辺りを見渡した。

森の中を双眼鏡のように見渡していたら、何かが動く影が見えた。

その影は最初、森の中をうろついているかのような動きをしていたが、急に止まった。

その瞬間エドワードは、視線が合ったかのような緊張感が走った。

はっきり見えなかったが、動物やモンスターではないのは確かだった。

その何かは、エドワードを震えた指で指してきた。

その何かは、指先にしか震えていなかったが、エドワードは、恐怖で身体が震えていた。

エドワードは震えた声で、こうささやいた。


「なんだアレは。」


ジョシュはその瞬間、何かがいるということからか、カメラを手に持って窓の向こう側へ向かった。

ニーナが撮影禁止だと注意しているのにも関わらず、彼はひたすら、窓の向こう側を撮影した。

シャッター音が喫茶店の中で鳴り響いているとき、ニーナは焦った声で言った。


「ちょっと、撮影はダメって言ったでしょ。」


しかしジョシュはやめることなく、ひたすら写真を撮っていた。

そうしていると彼は、エドワードの言っていた何かの存在に気づいた。

その何かを確実に写すために、彼はカメラをズームさせた。

ズームしているとき、その何かは森の奥へ消えていった。

しかしジョシュは、消えていく前にシャッターを押していた。

そのあとジョシュはテーブルのほうへ向かい、椅子に座って、その瞬間をカメラ越しに見たものの、森の中ということもあり、ハッキリと写らなかった。

ハッキリと写っていなかったものの、あることが判明したため、ジョシュは皆に言った。


「髪の毛が存在しているのがわかるから、人間だ。だけど、地面に付くのかってくらい長い髪だ。」


ぼやけているものの、白髪のため目立っていた。

アダムはその発言に首を突っ込んだ。


「バカ言うな。人間じゃねえよ。」


ジョシュとアダムとニーナは、その何かを見るために窓の向こう側を向いていたが、エドワードは窓の向こう側をしばらく見た後周りを見渡していた。

ジョシュやアダム、ニーナは窓の向こう側を今も見ているが、ベティーは今も、前を向いてビクビクしていた。

他の人たちは、その正体を見たいがために窓の向こう側を見ているのに、ベティーだけは窓の向こう側を見ていなかった。

するとエドワードは、そういう状態であるベティーを不審に思ったのか、彼はベティーにこのようなことを言った。


「なぜ窓の向こう側を見ない。たとえ怖かったとしても、この状況なら、興味本位で見るはずではないのか。もしや、”知っている“のか。」


ベティーは首を横に振るも、それでもエドワードはベティーを怪しんでいた。

窓の向こう側を見ていたジョシュとアダムの視線は、ベティーのほうに向いた。

彼らは、外にいた何かとベティーには、何かしらの関係があるのかという疑問が浮かび上がった。

ベティーの身体の震えがより激しくなり、混乱しているかのように目が泳ぎ始めた。

アダムはエドワードに言った。


「謎の解明なんかしなくていい。とにかくここを逃げ出そうぜ。」


『とにかくここを逃げだそうぜ。』という言葉に、アダム自身にある疑問が浮かび上がった。

エドワードがベティーを怪しんでいるとき、アダムの怪しんだ先はベティーではなく、ニーナに変わった。

彼はニーナにこのような質問をした。


「なんでさっさと逃げるという選択をしなかった。俺が中に入って目撃したことを伝えたとき、みんな車で逃げていれば生き残れたのに。」


ニーナは彼にこう答えた。


「もし私が犯人なら、警察なんか呼ばなかった。とにかく、警察が来るのを待って」



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