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ブレーク*タイム(短編集)  作者: 関 かもく
7/8

7曲目*弟



ぼくのお腹の中には、生まれたときから「弟」がいる。


ぼくと一緒に保育園にも行くし、電車のオモチャでも一緒に遊ぶ。

「弟」は寂しがり屋だから、寝るときはぼくのお腹を「トントン」してあげるんだ。


こないだ、ぼくが4歳の誕生日を迎えたときに「弟」も一緒にお祝いをした。


まわりのお友だちにも弟がいるけれど、ぼくの「弟」とはちょっと違う。

何度か、お母さんに話したけど答えてくれなかった。


きっと、ぼくの「弟」は特別だから皆に秘密にしなくちゃいけないんだと思う。


なんだか嬉しかった。



ある日、ぼくだけ長野のおじいちゃんちに行くことになった。

おじいちゃんもおばあちゃんも大好きだったから、すごく嬉しかった。


毎日、おじいちゃんの畑を手伝ったり、おばあちゃんと絵を描いたりした。

伯父さんにテレビゲームを教えてもらったり、従兄弟のお兄ちゃんにサッカーをして遊んでもらった。

カエルを捕まえて、星空を見て、毎日がとても楽しかった。



だから、

ぼくのお腹の中から「弟」がいなくなったことに気が付かなかったんだ。

呼んでも返事をしなかった。

すごく、すごくびっくりした。

ぼくは、生まれてはじめて、一人ぼっちになった。



どのくらい寝ただろう。


お父さんがぼくを迎えにやって来た。




お母さんが妹を産んだのだ。






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