2.彼女の死を追って
前回の区切りはあまりよくなかったと思って、反省しました。ごめんなさい。
今回は区切るところを定め、次回話が気になっていただけるようにしてみました。
僕は自分の考えを整理する。口にする必要性も意味もないのだけれど、一人で考え事をしていると独り言として勝手に口に出している。
結果から言えば、教師からは何の情報も得られなかった。しかし当然と言えば当然であった。京のあの悲惨な死に方は他殺としか考えられないはずなのに、ニュースでは自殺としてカウントされていたし、今回もおそらく学校のブランドに傷をつけたくなかったのだろう。こうなると、後は京の親しかいない。ただ、親の方が話したくないのではないだろうか。それでも行くしかないと思い、僕は向かうことにした。
京の家は思ったよりも近く、僕の家から徒歩で20分程度だった。踏切を1つ跨いだけれど、もしかするとこの線路を小学校では区分にしていたのかもしれない。2階建ての洋風建築で、見た目は新しく、赤い屋根の家だった。お昼に尋ねたのに2階の一部屋だけはカーテンで覆われていた。きっと親視点からすれば、誰かもわからない高校生がいきなりやってきて娘のことを聞かれることになる。そう思うと、僕は躊躇した。でも僕は京のことを知りたい。京に何があったのか、京は何を思っていたのか、京に優しくしてもらったのに僕はあまりにも京を知らなかった。だから僕は今戦わなければならない。深呼吸をし、覚悟をして、チャイムを鳴らした。
「はい、どなたですか…?」
京の母親なのだろうか、女性の声がインターホンから聞こえる。
「京の友人です。京のことを聞きに来ました。どうか話を聞かせてください。お願いします。」
少し早口にまくしたてるようになってしまったが、僕は用意した言葉を口にする。しばらくすると、母親が玄関から顔をのぞかせた。僕は会釈し、自分がここに来た理由を話した。彼女は戸惑っていたようだった。重い空気になり、覚悟を決めたはずなのに僕は逃げ出したくなっていたころ、彼女はやっとの思いで口を開いた。彼女の決意が固まるまでに時間がかかったのか、それとも重い空気に耐えかねたのか、それとも帰ってもらうためには話すしかないと思ったのか分からないが、いずれにしても僕にとっては第一の障壁を突破したという意味を持っていた。
「あなたが来ることは分かっていました。」
母親は静かに下を向いたまま僕に話しかけてきた。僕は全く予期していなかったから動揺して何の返事もできず、ただただ母親の顔を見ていた。
「娘は最近、ずっとあなたの話をしていました。自分とは正反対で暗い顔をしていたあなたが一緒に散歩しようと言ってくれたことが、娘にとってはすごくうれしかったのでしょう。しばらく辛そうにしていた娘が久しぶりに笑ったものですから、私は本当に嬉しかった。」
京が辛そうにしていた…?どういうことだろうか。
「あ、あの。京が辛そうにしていたってどういうことですか…?」
「詳しいことは分かりません。でもずっと下を向いていましたし、あれだけ笑っていた娘がいつの日か笑わなくなったんです。」
どういうことだ。京は僕が登校している時によく声をかけてくれたし、いつだって笑っていた。いや、一度だけ違った。そうだ。目の前に女子の集団がいた時だけは京らしくない反応をしていた気がする。
「そういえば、京は僕との登校中に一度だけ暗い顔をしたときがありました。その時は目の前に女子の集団がいて、京の友達じゃないのかって聞いた時でした。もしかしたら京は友人関係で悩んでいたのかもしれません。京の携帯を見せてもらえませんか?」
僕は情報共有のつもりで記憶を話した。
僕の提案を母親は聞き入れ、カーテンで覆われた暗い部屋に入っていった。やはりこの部屋が京の部屋だったらしい。部屋は荒れていた。破られた紙片が床に散布していたり、服が散らかっていた。そして携帯を母親が持ってきてくれた。パスワードは何かと考えていたが、その必要もなかった。なぜならパスワードは要求されなかったからだ。京は確かにオープンな性格だったが、これはオープンというより無警戒だろうと頭の中でツッコんだ。画面を一通り見ると、1つだけ目に留まったアプリがあった。それはSNSのUnionだった。Unionは友達とチャットしたり、写真や動画を共有したり、電話したりできるアプリであり、今や老若男女問わずユーザーがいるアプリなのだが、通知が80件と異常だったのだ。
Unionを開いて僕は目を疑った。
このお話は長くなってしまうような予感がします。
私としては感情を抑えない様に意識しているのですが、もともとの性格のせいで伝わりずらかったらごめんさい。
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