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【夢じゃないの?】

夢だ、超リアルな夢だ。ファンタジー感溢れる。俺は、こんな夢を見てるのか。貧乏すぎて、こんな夢を見てしまってる。ヤバイな。


「─おい。──大丈夫──起きろ!」

「ん?」

やっぱり寝てたのか。図書館で本読んでる途中に、しかも、新作を読んでいるのに。時間がもったいなかったな。

「おい。大丈夫か?図書館で本読んでんのに、寝るなよ!」

「あ、すいま……?」

謝り、顔をあげた。つもりだったが、相手の足元で目が止まった。服が、夢の時のままだ。俺の服は変わらないけど。

「そういや、あんたを探してた人がいたぜ?彼女じゃないのか?」

「え?彼女?」

俺に彼女がいたことはない。何をいっているんだこの人は。しかも!まだ夢から覚めてないのか?どうなってんだ?夢の中で寝る?起きても夢の中?ダメだ、整理がつかない。それを考えるのはあとにしよう。

「ああ、あんたと同じくらいの歳の女性さ。」

「その女性はどっちにいきました?」

「ここをまっすぐ行って、右に曲がったぜ。」

ここをまっすぐの右か。よし。

「ありがとうございました。」

「おう!」

とりあえず、その女性に、ここがどこか聞こう。どう見ても、図書館なのは間違いないのだが、地球上にこんな図書館があるなんて聞いたことがない。不思議だらけなので、夢の世界の人に聞くのが一番いい。


「ちょっと!まって!!」

「え?あぁ!勇者様!!」

その女性は、振り返り様に言った。勇者様と。

「勇者様!探したんですよ!召喚師様が、召喚場所を間違えたって言ってて、それで、私が探しに!!」

「ま、まあ、落ち着いて。」

召喚師だか、勇者だか知らないけど、とりあえずこの女性は、俺のことを探していたのか。

あ、凄い。

落ち着いてと言ったこの俺が、落ち着いてこの夢の世界を見れていなかったらしい。図書館から出たときは気が付かなかった。夢だというのにこのクオリティー。しかも、細部まで細かく見える。夢じゃないみたいだ。天気はいいみたいだし。ここは、商店街かな?活気があって、まるで、物語の中に入ったみたい。そう、そこに広がっていたのは、ファンタジーの世界を想像させる町の風景。妖精、亜人、人その他にもたくさんの種族がいる。ファンタジー好きには、我慢できない光景だ。

「さ、勇者様!王室へ行きましょう!」

「ま、待って、君の名前は?」

「名乗るほどの者ではありません。ささ、急いで!」

引っ張られるがままに、俺は、見知らぬ女性に王室とやらに連れていかれた。その道中、いろんなものを見た。見たことのない食べ物。馬車に乗せて運ばれている奴隷。鎖が首にあったので、たぶんそうだろう。俺とは全く違う服を調達する人々。宿屋らしきものに入っていく、冒険者。俺の、小説脳がそう教えてくれた。一年前から書いている経験が、生かされたな。そう、どうでもないことを思いながら、引きずられていった。

「国王の入室です!」

こ、国王?

「皆のもの、顔をあげよ。おぉ、そなたか。勇者とやらは。名を聴いてもいいかね?」

「俺は、金切討魔です。」

「おぉ!トウマと言うのか。今、自分がどういう状況下にいるか理解しているかね?」

状況下?うーん。夢の中にいるとか。そんな感じ?ここは正直に言った方がいいかな。ここがどこなのかも知りたいし、ほんとに夢の中にいるのか確かめたいし。不思議なくらいリアリティーがあるから、夢だと信じられなくなっていると言うこともあるから。

「よくわかってないです。正直、全くわかりません。」

「そうか、皆のもの。引いてもらってもいいか。」

「「「はっ!」」」

「あ、ただし、ニヒルだけ残りなさい。」

「はい、分かりました。」

ニヒル?あ、さっきの女性だ!名乗るものじゃないってどういうことだったんだろう。

「勇者トウマ。君は、異世界から召喚された。この、ラギルダ王国とこの世界を守るために。」

ラギルダ?王国?俺は、召喚された、勇者?え、どういうこと?あの、異世界転生とか言うやつのこと?あの、有名なラノベみたいな?え?俺が?

「困惑するのはわかる。君がいた世界は、魔法がないらしいからな。召喚師とかもいないだろう。もちろん、信じられないのは承知の上だ。何でも聞いてくれ。」

何でも、何でもかぁ。聞くとすれば、これしかないだろう!

「夢ではないんですか?」

「ほっほっほ、夢ではないぞ。現実だ。君は、勇者トウマなのだよ。そして、言い忘れていたのだが、そこにいる、ニヒルは、お前の嫁だ。」

へー。あのニヒルが……は!?よ、よめ?嫁ってあの嫁?マジで?ってか、ニヒルさんって、超美人じゃん。マジで?俺の嫁?なんか、ハテナばっかで悪いんだけど、そのくらい信じられないんだけど。彼女いない歴=年齢、の俺に嫁!うそ、信じらんないわ。

「嬉しそうじゃのぅ。じゃあ。二人で町でもあるいてきたらどうか?と、言いたいところなんだけど、時間がないんだ。この世界に、もうじき魔人が攻め込んでくる。それを食い止めるために、君を呼んだんじゃ。」

魔人?魔人と戦うの?この俺がか。いや、無理でしょ?運動神経超悪いよ。そもそも剣振れないし、魔法も使えない。できることと言えば、勉強。あ、小説。そうだ、小説書きたいんだよ。そうだそうだ。出版するって決めたんだ。

「王様、すいません。お嫁さんをもらうこともできませんし、勇者として戦うこともできません。俺は、本を出版したいんです。なので、できません。すいません。」

「そうか、無理矢理呼び出して無理を言うつもりはない。気がかわったら、言ってくれ。いつでも来るがいい。」

「はい、すいませんでした。」

そうして、勇者と言う称号を持ちながら、本を出版することになった。

一応、勇者として扱われるので、ちょっと人里から離れた、森の中の豪邸に住ましてもらうことになった。もちろん、ニヒルもいる。使用人もいるし、貴族の暮らしみたいに、不自由が無さそうだ。向こうの世界で、お小遣いが500円だった俺には、いきなり豪華すぎて、倒れそうだ。

部屋にはいって、片付けやらなんやらが終わったので、寝ることにした。

「ここが、現実なのか。現実って感じしないよな。まだ夢の中にいるみたい。」

もう、俺の大好きな作家さんがいる世界じゃないんだな。

この世界で、本を出版するのか。ま、出版に至るまで、出来るかな。小説、初心者なんだよな。ん?ポケットになんか入ってる?本?あ!図書館で借りた本!好きな作家さんの新作じゃん。良かった。これがあれば、書き方とか、勉強できる。これで、自分でかけるよ。向こうの世界では、母さんに却下されてたけど、俺は、小説を書きたい!この思いは、この世界でも変わらない。書くんだ!出版するんだ!

次回、 【勇者になってくれ】次回もお楽しみに!

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