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初恋の人は、二回りも離れた女性でした。

作者: 大藤さな

「――――さん」


勇気を出して誘った初デート。旦那が待ってるからと、「またね」と、別れをつげ、背中を向けて歩いていこうとする彼女の後ろ姿に声を掛ける。


数瞬の間、声を掛けるのをためらったせいで手を伸ばしても届かないくらいの距離ができてしまった。


俺の呼びかけに振り返ってくれる彼女。数歩の距離を詰めながら、少しの間ももどかしいとばかりに腕を伸ばした。


彼女の腕を掴み、無理やりにでも俺の方を向かせるべく引き寄せる。思いのほか力が入ってしまったらしく、彼女は「痛っ」と小さな声を上げる。思わず離してしまいそうになる手に力を入れて抱き寄せながら顔を近づける。


そして、ふたりの唇が、、、、、





ゴツと言う重い音がして額に痛みが走る。


勢い余って彼女の頭に頭突きをしてしまったらしい。ふたりの距離が少し離れてしまった。


「もう、いきなり何するの」少し怒った声で彼女が言った。ぶつかったと思われる前頭部をさすっている。


「ごめんなさい」と謝るが、元来の小さい声と緊張すると話せなくなる性格のせいで音にはならない言葉だけ残る。



嫌われた。


そう思って弁解しようとするが言葉が出てこなかった。

何かを喋ろうとして口がパクパクと動いていることだろう。昔、金魚みたいだと馬鹿にされたことがある。そんな体験が、まともな会話ができない自分に拍車をかけているのはなんとなく気がついていた。



「こんなことすると彼女はできないぞ」と彼女は、軽く握った手で俺の頭に触れた。


「キス、、、しようと、、、思った。でも、こんなこと、、、、初めてだから、加減がわからなくて、、、、ごめんなさい」っとしどろもどろに、つっかえながらどうにか言葉を発することが出来た。



何を言っているのだろうか、俺は。

キスしたい。それは、心の底から思ったことだ。でも彼女は、、、


「こんなおばさんに何言ってるの。もっと若くてかわいい娘がいるでしょう。大人をからかうんじゃないの」と言われてしまう。旦那もいるのよ、とはぐらかされてしまった。


2回りも年下の男は、対象にならないのだろうか。

28歳にして初めて好きになったひとは、母親より少しだけ若い妙齢の女性だった。彼女いない歴イコール年齢。「誰でもいい」と、自棄になっているのかもしれない。


だけど、


この女性(ひと)を俺のものにしたいという思いは本気なのに。




「今度こそ、バイバイ。こんなおばさんじゃない、いい娘を捕まえなさいよ」と言いながら彼女は去っていった。


「好きです」の四文字も言えず、行動でアピールしようとしてもダメだった。



離れていく彼女の背中を遠く見つめながら、俺の頬にひと筋の涙が伝うのが悔しくてたまらなかった。

魔法使い=彼女いない歴年齢のアラサー。


アラサーってなると急におじさん、おばさん感が出ますね。なんかいやだなぁ、、、



ああ、恋がしたい。

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