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鉄の世界に咲く花は  作者: イロハ
一年生
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修学旅行 #4

昼食を終えた私たちは、2列に並び、新富士さんの後ろに続いて歩く。


「工場へは、この建物の2階から伸びる渡り廊下を使います」


階段をのぼり2階につくと、左手に大きな廊下があった。

新富士さんがそちらに向かって歩きだしたので、私たちも後に続く。

おそらくこの大きな廊下が渡り廊下だろう。

まるでトンネルのような廊下は、私たち1人1人の足音を深く響かせる。


廊下を渡り終えると、そこにはこれまた大きな扉があった。

新富士さんが胸ポケットに手を入れ、中からカードを取り出した。

カードには新富士、と書かれており、写真が載っているため社員証かと思われるそれを扉についているセンサーにかざすと、ガシャンという音とともに扉が開きだした。




扉のむこうにあったのは機械、機械、機械。何百メートルもの長さがあるであろうベルトコンベアの上を、今まさに製造中の機体が流れている。ベルトコンベアの数は8本。バスから見たところ、他にも建物があったから数は何十本とあるだろう。各ベルトコンベアの横には巨大な機械が隣接していた。


「ベルトコンベアの横にある機械が機体を組み上げていきます。しかし、細かな部品の調整はあの機械では困難なため、人為的に行います」


確かに、機体には作業服を着て、腰に工具を装備している人が数人のっていた。

こくこくと頷きながら新富士さんの話を聞いていると、肩をつつかれた。

つついた葉菜の方を見やると、葉菜は私たちが見ている方とは真反対に目を凝らしていた。


「ねぇ、あそこにあるの、《神風(かみかぜ)》じゃない?」


「あっ、ほんとだ。私あれ見たことあるよ」


神風は、比較的新しい機体で、現状十分な性能を持った機体である。サイズは13メートルでMサイズ、非常に優れた機動力を持ち、スピードで相手を撹乱しつつ格闘武器で戦う戦闘スタイル。

色は薄い緑色で、縦に黄色のラインがはしっている。


「あっ、あれ見て!《不知火(しらぬい)》があるよ!かっこいい…」


思わず少し大きな声が出てしまった。

侍を模した見た目の機体で、腰部には長い刀が携えられている。汎用機中ではトップクラスの性能を持ち、外見もかっこいいためとても人気がある。

しかし、その性能と主力武器の刀の扱いが難しく、誰でも乗れるような機体ではないのが玉にキズ。

私の好きな機体の1つでもあり、将来あれのパイロットになれたらなあ、なんて思うこともある。


「やっぱり、日本機もかっこいいなー」


「あ、比べちゃう?」


「まあ、夢だからね。仕方ないでしょ」


葉菜と2人、顔を見合わせ小さく軽口を言い合う。

そうしていると、前方を歩く新富士さんがこう言った。


「では下へ降りましょう。足元だけでなく、頭上にも十分気を配りながらついてきてください」




カンカンカンと高い音を響かせながら階段を降りる。

一番下まで降りると改めて機体の大きさに圧倒される。

練習機と同じSサイズの機体はある程度見慣れてはいるが、M、さらにはLサイズともなるともはや感動的ですらある。

ベルトコンベアを流れる作りかけの機体を眺めているだけで鳥肌がたつのがわかる。


兵士の卵としての魂が暴れているのだろうか。

何にせよ落ち着かねば。

………おっけー私、深呼吸をするのだ。


将来あれらに乗れるかもしれないと思うと自然と笑みがこぼれる。


「紗愛、やっぱり楽しそうな顔してた。いや、この笑みは気持ち悪いというべきか………」


「もうっ、葉菜ひどいよ!そういう葉菜だって口元歪んでるくせにー」


からかってくる葉菜の頬を指で弾きながらからかい返す。

そして向かい合ったまま再び笑い会う。

友達どうしの何気ない会話のなかで生まれる笑みであることは間違いないが、その裏に隠れた真意を知るのは、今は私たち2人で十分だと思う。




その後も製造ラインの細かい説明を聞いたり、工場内を歩き回ったりして様々な知識を蓄えた。


工場の外へ出ると、新富士さんが左手の腕時計を確認、時刻は午後4時を少し回った頃。


「少し予定の時間を過ぎてしまいましたね。今回の見学は以上になります。ぜひ、学んだことを覚えて帰ってくださいね。ああいや、まだ修学旅行は明日もあるんでしたね。みなさん、楽しんで来てください」


私たちは新富士さんの前に整列し、話を聞いていた。

話が終わると、


「では挨拶をしましょうか。谷本さん、お願いします」


宮井先生に呼ばれた谷本さんが、「気をつけ」と号令をかける。


「ありがとうございました!」



「「ありがとうございました!」」


どうも!風邪気味のイロハです。

長いこと投稿がありませんでしたが、まあ細かいことはお気になさらず(汗)


本編の話に参りましょう。

今話で工場見学が終わりました。

何種類か機体が出てきましたが、それを考えるのがやはり面白いです(笑)


工場見学終了の時間が4時ということで、このあとは特にやることもなく、宿泊先へ向かうことになります。

次の話しもお楽しみに。


今話も読んでいただきありがとうございます!

また次回!


さて、ここで少し設定の話をしたいと思います。

設定の話といっても覚えなくてもさほど差し支えないのでお時間あればお読みください(苦笑)


<機体のサイズについて>

SSサイズ  5メートル未満

Sサイズ   5~12メートル

Mサイズ   12~22メートル

Lサイズ   22~30メートル

2Lサイズ  30~38メートル

3Lサイズ  38メートル以上

その他母艦などもいずれ登場します。


<登場人物>

新城(しんしろ) 紗愛(さな)

とてもマイペースな性格。また、ちょっと天然、ちょっとS。葉菜とは幼なじみ。敢ジャニのファンで、CDはコンプリートしている。座学の成績は中の上ほど。


永咲(ながさき) 葉菜(はな)

とても元気で活動的。紗愛とは幼なじみ。紗愛と同じく敢ジャニのファン。敢ジャニファン歴は紗愛より長く、良さを説いたのも葉菜。座学の成績は紗愛と大差ないが、少し下のよう。


谷本(たにもと) (りん)

真面目なせいかくで、学級委員を務める。趣味は音楽を聞くこと。

噂ではゲームが上手いとか………?座学の成績はクラスでも上位。


宮井(みやい) 桃華(ももか)

紗愛達の担任の先生。新米の先生で、紗愛達が初担任。バスに弱い。専用機体は???。


南風野(はえの) 藤花(とうか)

2年生の担任。教師歴は比較的長く、またパイロットとしての腕前も一流。専用機体はグラッジ。


敢ジャニ

アイドルグループ。ベテランのグループで、不動の人気を誇る。

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