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鉄の世界に咲く花は  作者: イロハ
一年生
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修学旅行 #3

私たちのいた事務室の隣には、事務室が3つ並んでいた。

そして、各事務室の向かいには会議室がある。

その数も事務室と同じで4つ。

奥から2つめの会議室には明かりがついていた。


「あそこの会議室では、旧型戦闘機、《ダイス》の強化版を開発するに当たっての会議が行われています。これから中へ入りますが、事務室同様静かにお願いしますね」




会議室のなかでは1グループが、たくさんの資料と人数分のコンピュータが置かれたデスクを囲んで話し合いをしていた。

資料には、茶色ベースの機体に肩部リボルバー、そして腹部にはサイコロの5のような形をしたマシンガンが搭載された旧型戦闘機ダイスの設計図、装甲、その他性能がびっしりと書かれていた。


「ダイスは中距離射撃を主とする戦闘スタイルの機体ですが、それでは戦場での汎用性にイマイチ欠けるのではと思います。格闘武器、もしくは長距離の射撃武器を搭載するべきではないかと思います」


「汎用性に欠けているという点は確かにうなずけるが、ダイスの現状の出力では素早い動きは難しいだろう。格闘武器は前線で使うものだが、素早い動きができないのでは前線は危険すぎる。搭載するのであれば射撃武器が理想だな」


こういった内容の会話が会議室中を飛び交っていた。


「出力そのものを上げてしまえば格闘武器の搭載も可能ではありますが、そのための費用を考えると果たして合理的でしょうか?」


その後も出力をあげるのに必要な費用はどの程度か、機体サイズは今のMサイズでいくのか、どのような長距離武器を搭載するのか、話題は限りないかと思われるほど出続け、話を聞いているだけにも関わらず、興奮は長いことさめなかった。


「では、本日の会議はここまでとします。この結果を上に提出し、判断待ちとなります。それでは、お疲れさまでした」


班長と思われる人の締めにより、会議は終了した。

職員が席を立ち、会議室から退室していく。

それに続いて新富士さん、そして私たちも会議室から出た。

会議室から出たところで、新富士さんが話し始めた。


「最後の班長の言葉にあったように、会議の結果は、各事務室に1人いる事務室長に提出されます。事務室長の査定を通ると次に各事務室長が集まって再び会議が行われます。これも通過すると、最後に工場長へ提出され、最終判断となります」


「あの、質問なんですけど……」


クラスメイトの1人が手をあげた。


「会議の内容が実行されるのはとても難易度が高そうですけど、そこまで難しくする理由はあるのですか?」


「単純に言うと、通り過ぎても困ってしまうからです。1グループが管理できる機体の数は1つが限界ですし、あまり頻繁に管理する機体が変わっても非常に大変です。事務室のグループだけではなく、それと関係がある工場のチームにまで負担がかかります。そのため、本当にこの変更に意味があるのかを厳しく判断しています。会議内容が通ることは実際なかなかありません」


新富士さんが返事を終えると、質問した子がありがとうございますとお礼をする。

私含め、みんなが新富士さんの言葉をメモする。

修学旅行後にはレポートの提出があるため、情報は極力逃さずにメモしようと修学旅行前から決めていた。

みんながメモを取り終えたのを確認すると、新富士さんが口を開いた。


「メモはおわりましたか?これから昼食の時間になります。それでは、食堂へ向かいましょう」



食事の時間は、混雑を避けるために職員の休憩時間とはずらしてあるため、食堂には裏で準備をしているおばちゃん数人だけがいた。

どうしてこういう仕事はおばちゃんしかいないのだろうか、なんて無粋な事を思い浮かべていたが、宮井先生が話を始めたため想像をかきけして話を聞いた。


「昼食はこちらの食堂をお借りします。みなさん、自由に食券を購入して昼食を楽しんでくださいね」


私たちはそれぞれ思い思いに食券をカウンターへと持っていく。

数分後、食券と交換したベルがなり、カウンターへ料理を受け取りに行く。

デパートのフードコートのような形式だ。

料理を受け取った子から半ば貸し切り状態の食堂で食事をはじめる。

食堂の王道ともいえるラーメン、カレー、焼肉定食はもちろん、ハンバーガーなどのファーストフードもあった。

私は葉菜と共に無難にカレーを頼み、他数人と共に席についた。


「おおう、おいしい!ねー紗愛!」


葉菜の言うとおり味も申し分なく、食堂としてのレベルは高いほうなのかな、と思った。

他の食堂、全然知らないんだけど。


「午後からも楽しみだねー葉菜」


「ほんと!というか午後からが一番楽しみだよね!」


周りの子達も同調してくれたようでうんうんと頷く。


午後からは機体製造ラインの見学。時間が近づくにつれ、私たちの期待は着々と膨らんでいった。


こんにちはイロハです。読んでいただきありがとうございます。

今までの話よりは少し長めの話になったかなーと思います。


修学旅行3話目ですが、いかがでしたでしょうか。

新しい機体が出てきましたが、やっぱり機体を考えるのが一番楽しいです(笑)

次回は製造ラインの見学ということでいかにも機体がたくさん出てきそうですね(笑)


さて、次話でまたお会いしましょう。

今回も読んでいただきありがとうございました。

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